飛ぶ鳥はとても軽いのだということを
わたしはときどき忘れる
飛ぶために鳥が捨て去ったものの重さを
わたしはときどき忘れる
鳥の骨は細く軽く
すきまだらけで脆いということを
150kg超 ....
沈んでく夕日みつめてひとりきり誰を待つのか知らない黄昏
さよならと言えないままに日は暮れて君と二人でどこまで行こう
終わらないあの日と同じ夕間暮れ悪夢にも似た遊戯は続く
いつまでも日 ....
妻が平日に東京へ行くことになった。
友だちが故郷の鹿児島から仕事の都合でこちらに来るので会いに行くということだった。
ほぼ十年ぶりの再会だそうだ。
鹿児島から東京に出てきて、僕と結婚し、千葉に引 ....
枝分かれしていく 夜の
長く、しなやかな腕は
わたしを覆いながら それぞれ
しだいにたわんで その先端からやがて
着地し、朝に触れる
不必要なほどに震える あなたの
声と、指先 ....
建物と建物の隙間に
嘘が落ちていたので
女は拾い上げると
口にはめた
口は嘘になった
嘘の口から出る言葉は
どれも本当だったが
美しすぎて
人には見分けがつかなかった
女は身 ....
部長室にはいつも
風が吹いてる
日あたりのよいところで
書類の端がめくれている
窓を開けているのは
たぶん部長さんだと思う
机の上で
ピストルが少し色あせてる
微笑みながら毎日 ....
ぎんいろの折り紙で
鶴を折る
ぎんいろ
それは
わたし自身を惑わす窓辺の色合い
ぎんいろの街で
あなたとの足跡を探してしまう
例え人違いだったとしても
あなたに良く似た後姿に
....
寝乱れて 残り香の 漂う
翌朝に 睡眠薬の 後遺症
やってくる あなたへの 依存症
ふあふあと 歩いては たどり着く
通勤の 満員電車 へばりつく
....
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