穴ほど深くなくて
周りから見えないから
身を伏せて
息を潜めて
暗いからよく見えるね
もうすぐおしまい
嘘はどうでもいい
ずっと笑ってる
季節を渡ってくる雲を
草原中が抱きとめる
旅人は小銭をはたいてパンと
冷たい目覚めとを買う
天体のまばたきが鱗粉を降らし
舟は岸から離れていく
枝から伸びる実を吸っては
羽ばたいていく光 ....
寒の暁には
怜悧な羽根の
蜻蛉がつぃーつぃーと
細雪に混ざりこみ
わたしの心を
薄く
うすく
スライスして
春も夏も秋も
冬もなく
町の風景に散らばめてゆき
ます、冷え切っ ....
光る宝石を身に付けた時は
それより輝く命を見逃す

一瞬の煌めきの中で揺れる
原石を持った人の夢だから
重たくて軽い口笛を吹くと
眩しい世界へ届きそうになる

真っ白なノートを開いただ ....
雨の鳥
夜は狭く
髪の内の海
霧は軋む


いつのまにか 朝は文字になり
昼には音になり 土に吸われた
夜は ひとりだった
夜は あたたかだった


む ....
むごい位置にゴム印が
落ちて居た
押すと五重塔が現れて
今を更新する
ケーキが食べたい願望を
不自然に抑圧するのも
不健康だから
五重塔のてっぺんのカラスを
目指して昇って行けば
柿 ....
銀色のトレー、に
ぞんざいに転がされた
私、
だった、血みどろ。の、純潔。
の、フォルム。の、愛らしさ、

(親不知をください
 私の右上の歯肉に埋まっていた
 ワタシをください)
 ....
夜が、急行列車のように
時を、間引いて、過ぎていくから
夢と現実の境界線は、いつも
曖昧に、滲んでいる



抱き締めあう行為は、
波のようなリズムを、刻みながら
深い海に沈んでいく ....
光を消して過ごしました
朝に揺れる光を消して過ごしました
吐かれた煙を夜から夜へ引き継いで
アベンチュリンの若葉を
湛えた私の両目が鏡の中で溺れている


揺れているものすべてを
 ....
夜にはあれほど潤んだ月が
今はただ白く粉っぽい
褪せた青いテーブルクロスに置かれたままの紙切れ
書かれていない恨み言

呼吸を忘れた小鳥たち
見交わす一瞬の生と死を包み込む愛が
朝に急か ....
一度飽きた玩具は分解して内部の構造と仕掛けを知りたくなる
知ってしまえば最早何の値打ちもなくなるのに
元の形に戻す情熱は持たなくて

まだ子供だから赦してあげよう
子供のすることに一々腹を立 ....
冷たい夜に
むらさきとむらさきが向かい合う
岩の径を
音だけがすぎる


鉱と鉛の紙
指を回る火の震え
小さな鈴の音をたて
砕けるように消えてゆく


空の一部をち ....
深淵を覗くような気分の時に
電気ブランを飲んじゃいけないと
よく爺さんが言ってたっけ
modernを鼻にかけたような
きんきんに冷えた電気ブランをグラスに注いで
僕はその戒めを破るのだ
 ....
深夜にカッコウが鳴く

ホトトギスと同類の鳥

托卵が習性とは云え

さぞ悲しかろう

住宅地に陽光の訪れる前に

さぞ恨めしかろう

深夜の睦みが

羨ましかろう

 ....
秒針が描く
冬の森
糸を吸い 粉を吐き
はらわたの筒の冷たさを見る


陽の離陸跡
砂とひかり
夜の木のなか
微笑む水


瞼は凍り 空に近く
空は凍り  ....
微笑みの外骨格を
こじ開けて
嘘のガラス転移点を探り
じっと観察しながら
ビュレットから始める
とある愛の滴定

被験体は少し
怯えているようだ

手袋をはずして
華奢な頸椎をか ....
夜の境界の細いガラス線
危うく立ち 薄目をひらき
沈黙の表面張力 声は貝にねむり
とつぜんの風が雲を掃う、
月の咆哮が闇をきりさく
天秤座の右肩からこぼれ落ちる。
ことなる時間のせりあがる ....
明日はうつくしい晴れになるでしょうと
天気予報が告げた直後
午後の街のやさしい死に顔を
にわか雨が柔らかな水柱にとじこめていった

     ***

 実験用の裏庭でカエルが鳴いている ....
「林檎ってちょっと女に似てるから歯を立てるときぞくっとするね。」

夕暮れに秋刀魚さばいてみるのですふと血が見たくなりましたので

夜遅い夫の帰りを待ちながら深く深く爪を切るわたし

 ....
吐息が
しろく曇るのを見ると
少し、安心できる

わたしの日々は
ほぼ偽りかも知れないけれど
熱だけは、進もうとする熱だけは
たしかに思えて
安心できる



いつだっ ....
紙に書く言葉を選び
心の住む所を明かす
季節の中 暦に書ききれない
熱と冷気がある

何度も歩いた生家前の道
しだいにその回数が追いつく
婚家前の道

道すがら挨拶をかわした人々
 ....
気づいたときには、わたしが
わたしという輪郭に 縫いしろを足して
日常から切りとられていた
景色はいつも、ひどく透明なので
ふりかえっても もう
戻るべき箇所を、確かめることができない ....

空の上にはきっと
もうひとつの空があって
雲の死骸や
産まれたばかりの星が
触られるのを待っている
夜闇の裏にはきっと
もうひとつの闇があって
焼きついた月光や
あいまいな朝が
 ....
排他的な女の子は空を所持している。
その底のほうには、白くてきれいな宇宙船や、手垢できたない算数の教科書、軍隊の格好をしたキューピー人形や、プラスチックのマニキュアの瓶が、ざくざくとはめ ....
人格のスーパーマーケットにて
宇宙の漬物を買う
星と星とが交際している
水生のマクドナルド
切っても切ってもくっつく血液
ピクルス硬貨でお支払い
学校の墜落を授業参観
騒ぐな貴金属ども
 ....
いっとさんのおすすめリスト(25)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
窪地- チアーヌ自由詩322-9-23
黎明- 凪目自由詩221-8-31
冬の幻視(まぼろし)- 帆場蔵人自由詩319-1-1
無印- ミナト ...自由詩518-11-8
ひとつ_警笛- 木立 悟自由詩318-11-7
ケーキ- 間村長自由詩10*18-9-15
後悔- 自由詩518-9-13
記憶の海- 長崎螢太自由詩3*18-9-12
過_覚_- 渚鳥自由詩10*18-7-7
夜の忘備録- ただのみ ...自由詩4*18-6-27
玩具に- こたきひ ...自由詩118-6-27
白とける白- 木立 悟自由詩717-5-24
電気ブラン- 梥本 サ ...自由詩216-6-28
なげき- ドクダミ ...自由詩412-6-3
Future_Days- 木立 悟自由詩312-1-11
やさしさの化学実験- つむ自由詩8*11-9-28
天秤座- つむ自由詩6*11-9-25
裏庭に唄うカエル- つむ自由詩2*11-9-15
結婚してよかった、とか言ったことない- 吉田ぐん ...短歌2209-9-14
雪が混じる- 千波 一 ...自由詩20*08-12-7
大地がみている- 砂木自由詩29*08-9-7
運針の、記憶- 望月 ゆ ...自由詩42*08-7-28
照らされる- 葉leaf自由詩908-7-28
そしてシグナルタワー、女子- しもつき ...自由詩5508-7-22
help_I_need- 葉leaf自由詩608-5-28

Home