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人生に設定した目的に向け 
一直線に生きていける人はあるまい
散歩先に目的地を設定しても
一直線に歩いて行くことはない

前方の橋
大型犬を連れた女性がこちらに来る
わたしは 当然の ....
ぼくの中に少年のぼくがいて
ぼくの中をぼくが歩いている
ぼくの中を少女が歩いていて
ぼくの中を
何人ものぼくが歩いている

ぼくの中をあなたが歩いている
あなたは背を向け
ぼくの中でち ....
壁に掛かった能面たちは
電灯に照らし出されると
生き返る

幼い子には
能面たちの話す声が聞こえるのか
じっと見つめ後ずさりする

激しい風雨の夜は
般若面が半開きの口の奥で
歯を ....
ブラックボディの
ノートパソコンを開け
キーボードに伸ばす手
を追い越し
パネルに伸びた指

夜明け前の画面に触れる指先
から泡立ち溢れる渦 
胸の傷口が割れて
大輪の洋蘭

隠 ....
 妖怪


都会の妖怪は
昼間に出るらしい
夜は明るくて
隠れる場所が無いから

たとえば
人の途絶えた午後
ビルの屋上に出るドアの
前に佇む影

あるいは
休日の事務室に ....
           
    世の中にはあきらめの悪い男や女がいて
    失敗にもめげず研究を重ね
    ときには世間を驚かせるけれど…

昨年 クリスマスに
かがり火を焚いたシクラ ....
何時ものことだが
同人誌贈呈用宛名印刷しなくてはと
ファイルの名簿から送り先選び出し
プリンタへ出力

動き始めた印刷機
出てきたラベルを見れば印字が用紙の裏
口から出てきた言葉は「チキ ....
じっと見つめる白いディスプレイ
画面の深淵に広がる混沌
ぼんやりとした影がふるえているのだが
コーヒーを一口 指先で机を叩き
たばこを一本 目を閉じ頭に爪を立て  
五分 十分・・・
一瞬 ....
「この手術は何しろ心臓をいじるのだから
 一00パーセント安全だとは言えない
 まあ 三パーセントほどの危険でしょう

 《ディスプレイでは
  心臓を取り巻いた毛細管が
  赤いイトメの ....
公道から駐車場に車を入れる
「いらっしゃいませ」の声を聞き流して
雑誌架から適当に雑誌を抜き出し
窓際から店の中央へ視線を流して
空席を見付け 椅子を引いて座り込む

盆に水とおしぼりを持 ....
周りの山を写す湖面の鏡
虹色の橋が架かり
友の誘う声が聞こえても
ぼくは そこには行けない

木々に守られていた明るい過去
育った家 育った台所 育った学校 
父もいた 母もいた 友人も ....
空に中秋の満月が上るとき
ぼくは見付けた

彼岸花が長い首を空に伸ばした根元に
仰向けに転がっているアブラゼミ
つい先ほどまで生きていたような
みずみずしさ

ひぐらしの声を聞いたのは ....
今日は町内会の清掃活動日
今日は春のウオーキング大会最終日

近所のかみさんたちが
雑草刈りしている

 あいさつはしないほがいいな
  気付かれないように行った方がいいな

か ....
わたしの家では
年中花を咲かせています
旱天の続く夏の日も
雪に埋もれる冬の日も

花はたくさん咲いていて
やっと花です
光に満ちた庭で 花壇で
お互いにおしゃべりしているようで
風 ....
何処に行くにも二本一組で
助け合って動く足に異変が生じた
左足の指の関節を骨折した
左の指先が大地に触れると
痛みが全身を走り頭に抜ける

医師は左はかかとで歩けという
左足を半歩前 ....
青い陶器瓦の下に埋もれた
記憶を掘り出してどうなるというのだ

焼け落ちた家の跡の
現実と幻想の交叉した風景の中に
私が立っていたあの日
陽光に照らし出された井戸の
湧き出る水に沈んでい ....
釣り上げて 逃がして
逃がして 釣り上げて
ぼくら大口バスが外来種だとしても
これは非道なあそびじゃないか

スポーツだって言うのかい
スポーツと遊びの違いはさっぱり解らないな
いずれに ....
虚空に延びる重機の
股間が避けて
爪が大地をかきむしり
破壊された生きものたちの
未来
団地の狭い庭に桃を植えて
安くて新鮮な桃を食べようなどと
欲を張ったのだが
日当たりは良くないので
おいしい実がなったかどうか
それも分からないまま…

たっぷりの肥料と 
水やりをし ....
今年の冬は
何時もの細長い島へ避寒に行くのよそうかな
島で 子作りするでもないし
このあたりでも河面も凍らなくなったし 
餌の小魚も採りやすいし

あの島の平地にはニンゲンの巣が広がって
 ....
もう二十年も昔になるだろうか
「政府の備蓄米が放出されているらしい」と
うわさが流れていたころ
「あんたの家のお米ぐらいはいつでも確保しておくからね」
そういった町の米屋さん

近くにスー ....
今は 遠距離殺人の出来る時代
子供だってボタンひとつで殺せるんだ
ゲームのように    

あなたは国のために命を捨てる覚悟はあるか

あなたは人を殺す
あなたは町を破壊する
あなたは ....
ブラックボディのノートパソコンを開け
キーボードに伸びる手を追い越して
パネルに伸びた指が
無作為にキーを叩く

 SACK DON SEX…

夜明け前の画面に触れた指先から
水が泡 ....
横波 縦波 渦巻く世界
肩肘張って働いて
お疲れなんでしょうね
名も知れないゆきずりの肩に
頭を預けてしまって
安心しているあなた

満ち溢れる心労を
化粧に隠していても
あなたの髪 ....
あなたは数十年間共に過ごした顔を
しみじみ見つめたことはあったか
舐めるように眺めたことがあったか

家庭で会社で割り当てられた役
自分の心を追い払い
ドーランを塗り 眉を描き
役のキャ ....
今日は日曜日だから
病院の屋上で
ふんわりかすんだ景色と
ゆったり過ぎていく一日を
眺めていよう

近くを流れる川岸で
竿振る人がいて
逆さになった山の
頂上をめがけて振り降ろし ....
水平線に
盛り上がった入道雲
の中へ
入ってゆく船
をあなたと
見送った日

渚に係留された
氷川丸を眺めて
赤い靴の少女を歌い
砂に埋まった啄木の蟹を
掘り出した二人は
こぼ ....
遠い海鳴りに揺れる芝の浜に
過去を彫りつけて並ぶ墓石 
刻まれた家名は
未来から押し寄せる期(とき)の飛沫に
輪郭を失い昔話の中へ透けていく

たとえば 祖父の掲げた鬼灯の
赤光に浮 ....
揺れる心地よさに
居眠りしていたわけではないが
通過してしまった駅があったという
ぼくを待っていた人に気付かず
遠ざかった町

乗車駅の ....
出来るでしょうか
目に見えない心を磨くことなど
出来るでしょうか
形のないものを磨くことが

かつてある食品会社が
「水を磨く」と言いました
大河の水は汚れています
池の水も汚れて ....
nonyaさんのイナエさんおすすめリスト(84)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
橋・渡らない- イナエ自由詩10*14-12-2
心象__- イナエ自由詩18*14-11-26
能面- イナエ自由詩11+*14-11-19
水路に盛り上がる鯉を見た翌朝- イナエ自由詩7*14-11-15
妖怪- イナエ自由詩15*14-11-4
あきらめの悪い男- イナエ自由詩8+*14-11-3
ラベル貼り_ー年を取るとはこういうことか4ー- イナエ自由詩5*14-11-1
神様とぼく- イナエ自由詩16*14-10-23
一〇〇パーセントの死を先延ばしできる確率は?- イナエ自由詩7*14-10-21
行列の出来ない店で- イナエ自由詩11*14-10-11
湖底幻想_その二- イナエ自由詩8*14-9-26
九月のアブラセミ- イナエ自由詩11*14-9-21
何となく後ろめたい時- イナエ自由詩15*14-9-3
- イナエ自由詩12*14-8-20
かかと歩き- イナエ自由詩17*14-8-9
八月の記憶- イナエ自由詩18*14-8-2
大口バス- イナエ自由詩6*14-7-31
排水工事- イナエ自由詩9*14-7-26
夢を食う- イナエ自由詩19*14-6-19
アオサギ独語- イナエ自由詩9*14-6-12
町のお米屋さん- イナエ自由詩10*14-6-4
覚悟- イナエ自由詩7*14-5-16
連休明けの- イナエ自由詩10*14-5-8
私の肩を信じるあなたへ- イナエ自由詩15*14-4-18
- イナエ自由詩15*14-4-6
仙人- イナエ自由詩14*14-3-24
山下公園にて- イナエ自由詩10*14-3-20
メモリアルパークにて- イナエ自由詩9*14-3-16
通過駅- イナエ自由詩18*14-3-14
磨く- イナエ自由詩22*14-2-26

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