おれ達は絶対零度 マイナス180℃の世界だ
終わりから数えた方が早い
今から断崖絶壁に飛び降りた方が早い
俺たちは真夏の太陽
咽喉がカラカラで砂漠を歩き続けても
ずっと追いかけて来る ....
その新月の夜
庭におおきな 深い穴を掘る
足元に大きな布の包みがひとつ置いてある
掘り起こされた土は濡れて
手に持ったスコップが地面を突き刺しては
一塊を持ち上げる湿った音だけ ....
カフェベローナ
カフェベローナ
深夜の丸太町通りで
ひっそりと灯ってる
カフェベローナは、
24時間営業ですよ こんなところで
あたしたちはいつも出会ってしまって
いい加減 気付かないふ ....
私だつて ゆわん ゆわん したいのよ
ゆやよん ゆやよん したいのよ
死体のように薄らほうけた肉眼に
枯れ木のようにカサんだ指先の束に
魔女は豚を追って階下へ 地下みたい
玄関を開ければ外よ ....
公園でパンを
食べていると
Justiceと書かれた
Tシャツを着た
欧米の人に叱られた
大地にパン屑が
こぼれているじゃないかと
顔を真っ赤にした
欧米の人に叱られた
夕方 ....
本を読む人の眼は
例外なく真っ黒い色をしている
それはもちろん
眼が活字のインキを吸収してしまうからである
本を読みすぎて
白眼まで真っ黒になってしまった人が
こちらを向い ....
濁った沼のある寂れた町に
マリーという女が住んでいた
マリーの本名は誰も知らない
彼女は
夏の真夜中のような眼をした
中々の美人であったが
友達はいなかった
若者はみな都会 ....
まめクジラの水槽には
売約済みの札が貼られていた
まだ幼いのか
さざ波を飲み込んだり
小さな噴水をあげては
くるくる浮き沈み
はしゃいでいる
こっそり水槽に指を垂らすと
あたたかい ....
ミルクが欲しい1歳は
男が欲しい21歳に
あっけなく捨て去られる
新しいゲームソフトが欲しい12歳が
プラダが欲しい32歳の
財布から金を抜き取る
夢が欲しい33歳は
安定が欲し ....
冬の木漏れ日の中で懐かしい歌を聴きました
懐かしくてももう泣けない自分がいました
それが寂しくてそっと瞳を閉じました
太陽が淡く輝いた冬の日のことです
太陽 ....