すべてのおすすめ
届かないと思っていた扉の取っ手は
いつの間にか腰の位置になっていた


背が伸びて視野が広がる
遮っていたものに追いつき追い越し
世界の大きさに少しずつゆびが触れる


もうすっかり ....
夏の空が広く見えるのは
余計なものが流されているからだろう


小学生の頃の一番の友だちは
国語の教科書と学級文庫と図書室の空気
頁をめくったときの薄っぺらい音と
綺麗に並ぶ印刷の文字が ....
仕事から帰ってきたきみが珍しく
お土産があるよだなんて言ってかばんを探り
よれたスーパーの袋を差し出した



縛ってある口をほどいて覗き込むと
ふわりと青い匂いが鼻腔に飛び込んでくる
 ....
愛よ


おまえは道端の石ころみたいに
でしゃばりもせず佇んでいる



それは
太陽の光をたくさん吸い込んだ布団
使い古して先の曲がった万年筆
おどけた瞳を持った豚の貯金箱
 ....
恋人同士で祇園祭に行くと破局するんだって
昔からそんな噂がまことしやかに流れていた


きみからの誘いを断らなかったのは
おろしたての浴衣に袖を通したかった気持ち半分
別れたらそこまでの縁 ....
少しだけ冷たいシャワーを浴びて
乾燥したタオルで頭を拭く
拭いきれない残り水はしずくになり
首筋を伝い背骨を沿って落下してゆく


つつ、つう、つう


風ひとつないこんな夜には
 ....
きれいに舗装されていない夜道は
鳥目のわたしには危なっかしく
雨上がりであることも重なって
慣れた道なのにつまづいてしまう


自動販売機にコインを入れ
ミネラルウォーターのボタンを押す ....
明後日の今頃には
きっとわたし、泣いてる

ハナキンなんて言葉が流行ったっけ
週末の空気はほこりっぽくて
ろ過された部分だけを吸い込もうと
口を無意識にぱくぱくとさせる

大嫌いなもの ....
暑さにうなだれている名も知らない花は
剥がれかけたマニキュアと同じ色をしていた

使われているひとつひとつの配色が
くっきりとしたものばかりなのは何故だろう
まぜこぜしないのがこの季節で
 ....
なぁ、オカア

子どもの頃から口癖みたいに
女の子はこれくらいできなあかん言うて
台所に立たせてたやろ
うちはあれがすごい嫌いで
何だかんだと理由をつけては逃げ出して
そういえばお弁当一 ....
浮いた光は気まぐれに運ばれているのか
それとも決まった順路を漂っているのか
ただ、示されたとおりに視線を動かす

乾きから守ろうとする瞳は水の膜を張り
鮮明だったはずのものがぼんやりにじむ
 ....
大切かどうかわからない記憶は
抱えていた膝小僧のかさぶたにある

転んだのは最近のことだったか
それとも遠い過去のことか
鉄さびのようなすすけた色は
かつて赤い液体であっただろうことを
 ....
おさなごの手で目隠しされたみたいに
まだ薄白くぼんやりとした月は
うろこ雲のすき間から顔を少しだけ見せる

指で四角に切り取って覗き込んでみた
ぼくたちよりうんと長く生きたこの風景は
瑞々 ....
ねずみ色のコンクリートが暗く染まる
何か落としものがあったような気がして
歩いて来た道を右から振り返ってみた
つうつうと機械的に落ちるさみだれ

庭に投げられっぱなしの花切り鋏は
いつから ....
大騒ぎしていた隣の部屋の大学生も
煙を撒き散らしていたスポーツカーも
凛と顔を上げていた向日葵も
みんなみんな、眠ってしまった

ベランダから両足を突き出して
ぶらぶらと泳がせて笑ってみる ....
はじめて母親のお手伝いをした日
食卓には不格好なハンバーグが並んだ
焼きすぎてかさかさになったそれをかじり
父親はくしゃくしゃ頭を撫でてくれた

求めていないとは言わないけれど
ただ、とっ ....
季節のしるしを見つけたくて
うろうろと瞳を泳がせ歩いていたら
夢とうつつの小さなすき間に
足をとられて転んでしまった

うつぶせで顔を伏せたまま
両手をありったけ広げてみる
土の匂いが身 ....
風景描写。

足首ほどの深さの川には
この時期多くの人が集う
或る子どもは魚を追いかけ
或る男女は飛び石を渡り
或る老人は側で居眠りをする

風景描写。

一両編成の青い電車は
 ....
夏祭りですくった金魚は
10年以上経った今でも元気で
水槽の中を気ままに揺らぎ
ときどき思い出したように
視線を合わせてくる

特に感情は見受けられない

小さな家の小さな水中で泳ぐお ....
きっとまだ
折り返しにすら着いていないと思う

それでも
人生の半分以上
きみがいた

裁縫の授業が苦手で
いつも居残りしていた
なかなか針が進まないわたしを
いつもこっそり手伝っ ....
光を認めたときから
歩き始めている

最初の頃は
目に見えるもの全てが
新しくて
眩しくて
喜びに満ち溢れて

時の流れと共に
すっかり見慣れてしまい
踏み出してい ....
上澄みをそっとすくう
余分なものはなく
柔らかくしなやかで
手のひらからさらさらとこぼれる

太陽の光で酸素を作り
葉は濃緑を強める
表面の細い産毛には
小さな雫が張り付いている

 ....
叶わなかったものを
あした、と呼ぶことにした

ガラガラで出てきた白い玉
おじさんが残念でしたとティッシュをくれた
列から離れるとラッパの音が揚々と響く
真っ赤な自転車を当てた女の子は
 ....
群青をひとつ、ひとつ
飽きるまで数えてみる

雨上がりの夜
余計なものは流れてしまい
ぴんと張り詰めた大気
群青

水際を囲うように
涼やかにひらひらと
色を落とすあやめ達
群青 ....
鎮守の森の片隅に
忘れ去られた汲み場がひとつ

錆びたひしゃくを手に取って
したたる水滴を拾い上げる
時間をかけて器を満たし
波打つ水面をただ眺める

森の奥にいる神様のことも
この ....
突き抜けた青天から目をそらし
振り返ってしまうことがためらわれ
気付かなかったことにした

水滴ひとつ浮かばない箱を抱えて
所在を見つけようともしなかった
抜けた羽毛を一枚入れて
ふたを ....
カルピスの底みたいな白濁色に
おぼれてしまう人を笑うことなど出来ない


明かりがいつも灯っているわけではなく
でも闇ばかりというわけでもない
はっきりしない色に囲まれて
遮られた視界を ....
甘い香りに全てを奪われ
何から伝えたらよいのかわからなくなった


不意に瞳に触れるのは
隅に佇むすべりだいと
少し汗ばむわたしの右手


人の手では作ることは出来ない
きっと生ま ....
肩を叩かれた気がして振り返ると
日が沈もうとしていた


曖昧な藤色の空にうっすらと月が照り
のっそりと歩く野良猫の姿も徐々に溶ける
全ての輪郭がぼんやりとしており
書きかけのデッサンの ....
家から少し歩くと公園がある
公園と言っても小さな広場にベンチがあるだけで
駅の側だし隣はパチンコ屋だし
おまけに向かいはコンビニがあってネオンがまぶしく
つまりは大変に騒々しい


気持 ....
kauzakさんのあ。さんおすすめリスト(68)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
わたしのうた- あ。自由詩24*09-8-20
かげおくり- あ。自由詩24*09-8-9
ツルレイシとさくらんぼの関係- あ。自由詩12*09-7-29
愛よ- あ。自由詩18*09-7-21
こんこんちきちん- あ。自由詩16*09-7-17
熱帯夜- あ。自由詩14*09-7-14
つきあそび- あ。自由詩9*09-7-10
予定された金曜日- あ。自由詩9*09-7-1
ある日の夏、水の爆発- あ。自由詩18*09-6-28
なぁ、オカア- あ。自由詩14*09-6-25
ほたる追い- あ。自由詩17*09-6-19
かさぶたの記憶- あ。自由詩20*09-6-12
地球の子ども- あ。自由詩15*09-6-5
季節に置いていくもの- あ。自由詩7*09-5-30
ところで、発売はいつになるんですか?- あ。自由詩16*09-5-26
料理と詩について- あ。自由詩10*09-5-25
みちくさ紀行- あ。自由詩7*09-5-21
風景描写_〜初夏の日〜- あ。自由詩5*09-5-18
金魚- あ。自由詩16*09-5-16
友へのてがみ- あ。自由詩11*09-5-9
忘れるとは、刻み込むことだ- あ。自由詩5*09-5-8
上澄み論- あ。自由詩20*09-5-5
その名は、あした- あ。自由詩8*09-5-2
群青- あ。自由詩10*09-4-27
水に触れる- あ。自由詩5*09-4-23
祈ることで許されると思っていた- あ。自由詩25*09-4-21
カルピス- あ。自由詩14*09-3-20
ばらいろ- あ。自由詩5*09-3-18
夕暮れに呼ばれた感情- あ。自由詩2*09-3-10
公園で- あ。自由詩8*09-3-8

Home 戻る 最新へ 次へ
1 2 3 
すべてのおすすめを表示する
推薦者と被推薦者を反転する