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「あんなもんなのか」
と舅は言った


夫の祖母が亡くなって
納骨も終わって
夏が始まろうとしていた


できたばかりのわたしたちの庭には
ちょこちょこと
なんやかやが芽生えだし ....
わたしは空に興味がありますが
そこに住む鳥も
そこを通る飛行機も
特に興味がありません


だけど、あなたが
「あ、飛行機だ」
というと
今の時代
さして珍しくもない
飛行機など ....
あなたが昼寝をしてしまって
その横で
すこし
泣いてしまったことは
内緒です


夢の中へ行くあなたに
「行ってらっしゃい」を
言えるようになるまで
置いてけぼりにされたような
 ....
朝露が
草花に抱かれて


喜びの
ため息を吐く


だから、
わたしは
はっとして


朝の忙しさを
暫し忘れてしまう








{引用= 即興 ....
耕うん機の音がします
つくしんぼうの声がします
土が目を覚まします


春は大きな朝みたいです
田畑を耕す音は
早起きするための
目覚まし時計です







{引用 ....
新じゃがは
つぶさずに
サラダにすると
美味いです

つぶしてしまうと
生まれたて特有の
水分が邪魔をして
ほくほくしません

だから大きく
コロコロとしたまま
サラダにすると ....
宇宙に
ゴミという
概念はあるのでしょうか


***


しっぽのない人間は、
しっぽのある犬よりも劣っている
そんな世界も
あるかもしれません


***


ひ ....
夫がいる週末は楽しいから
なんにもない平日を
早送りする

だけど、今夜は
夫が
携帯電話と間違えて
リモコンを持って行ってしまった



夕飯を食べる時間に
夫がいないので
 ....
涙はしょっぱい
だけど、海のしょっぱさと
同じだったか
ここ最近
ずっと
海に行っていないから
海の味を忘れてしまっていて
確かめようがない



海はしょっぱい
だけど、涙の ....
書き留めていたはずの詩が
一晩のうちに
家出をしてしまったらしい


枕元にあるのは
真っ白な紙の切れ端で
紙を失くして
彼らは
ばらばらになってしまわないだろうか


雨が降 ....
最近、体が重くなった
癖がひとつ増えたから




街中では
がちゃがちゃと
大人たちが
癖を重たそうに
引きずりながら
歩いている


誕生日にひとつ
プレゼントされる ....
優しさの前に立ったとき
どうしようもなく
人見知りをしてしまう
なかなか差し出せない手を
ぎゅっと握って
その手のひらは
汗だくになってしまう


嬉しさの前に立ったとき
どうしよ ....
伸びきった髪を
バリカンで刈るような作業
稲刈り後の田んぼは
すっきりとしていて
その清々しさが
秋の空気を絹のようにする


***


新米は少し水を少なくして炊く
十代の ....
しまい忘れた風鈴が
スズムシみたいに鳴いている


次に子孫を残すため
切なく鳴いている


また、巡り来るとは
確証を得られない不安


不安を希望に変えるかのように

 ....
左手の
見えなくなり始めた傷
手首の辺り
親指の辺り
よく探さないと見つけられないほどの傷
もちろん痛みはない


この手を噛んだ犬は
今頃どうしているだろうか


人間に飼わ ....
初めて会う人の顔の真ん中に
或いは胸の真ん中に
おへその辺りに
とにかくその人の中心線に
隙間がないかどうか
確かめる
それは
ある時はボーリングの球くらいの大きさだったり
ある時は米 ....
喉の奥に良からぬ話題が引っ掛かっている
だから、一昨日くらいから喉が痛い
唾を飲み込もうとしてもうまくいかない
段々と不満が頭の中で熱を持ち始めている
もうすぐ風邪でもひくのだろうか
今、と ....
月曜日
仕事から帰って
メイク落としシートで顔を拭いた
ゴミ箱に捨てる瞬間
シートがため息を吐いたような気がした


火曜日
上司に怒られた
理不尽なことが世の中には詰まっていて
 ....
耳掻きをしたら
大きな塊が出てきて
それはティッシュペーパーに包んで捨てたけど
なんだか聞こえが良すぎて
虫の鼓動まで聞こえた時は
部屋に入って来て邪魔な虫も
どうしても殺せなくて
埃の ....
玄関の靴箱の上に
ふくろうを飼っている
餌もいらない
水もいらない
糞もしない
木彫りのふくろう
畑の胡瓜よりも世話がかからない
木彫りのふくろう
だけど、夜になると
目が光る

 ....
雨が笑うのは
春になった証拠
ぱらぱらと
声を出して笑っている


庭で笑い声がする
覗いてみると花の蕾が
くすくすと
声を出して笑っている


小鳥が跳ねている
風の音に合 ....
美味しそうな楽しみがあったので
夫と半分こして食べた
牛乳パンのようにほんのり甘く
甘いものが大好物の夫は
半分になった楽しみを
美味しそうに食べている
その頬が幸せを含んで
ぷくり、と ....
kauzakさんの小原あきさんおすすめリスト(52)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
お祖母ちゃんの最期- 小原あき自由詩7*09-6-25
1mm- 小原あき自由詩9*09-5-12
内緒ひとつ分- 小原あき自由詩13+*09-4-28
眩しいため息- 小原あき自由詩5*09-4-27
春の機械- 小原あき自由詩8*09-3-30
瑞々しい嘘- 小原あき自由詩5*09-3-12
とりとめのない話- 小原あき自由詩9+*09-3-7
リモコン- 小原あき自由詩33+*09-3-2
涙と海- 小原あき自由詩6*09-2-4
かあさん- 小原あき自由詩15*09-1-10
- 小原あき自由詩14*08-12-26
地球の丸さの前に立ったとき- 小原あき自由詩26*08-12-11
新米という季節- 小原あき自由詩14*08-10-1
しまい忘れた風鈴- 小原あき自由詩6*08-9-22
六つのし- 小原あき自由詩21*08-9-18
隙間- 小原あき自由詩17*08-9-12
大人の風邪- 小原あき自由詩19*08-7-15
メイク落としシート- 小原あき自由詩22*08-7-12
耳掻き- 小原あき自由詩10+*08-6-20
ふくろうと月光- 小原あき自由詩5*08-6-17
聞こえるのは- 小原あき自由詩15*08-4-8
美味- 小原あき自由詩19*08-3-7

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