スーパーで売られている無花果はスーパーなイチジクではない
ミルクが切り口から出ていない
それでも ためつすがめつ見る
皮の色合い ふくらみ 同じものは ひとつもない
紅をさしたかのような口が美 ....
許されるならば
喜怒哀楽の頁にはさみこんだ
しおりをほどき
薔薇のトゲのように
愛は血まみれの行為であったと
旅立つひとに告げたい

愛は規範をもたない
むくんだ背すじに頬をあてて ....
 孤独になじむから、すこし壊れかけているような古い町が好きだ。
 その古い町の小さな裏通りに子どもの死体一つ入れられるほどの大きさの水槽があった。緑色の藻が内側のガラスに張り付いていてよく見えない。 ....
図鑑で見たことのない名前が
見覚えのない恐竜についている
たかだが十数年で何が起きたのか
サウルスは何ら変わっていないはずだが
人類は何を発見したのだろう

化石になりたい
化石のように ....
同級生に出会えません
同じ教科書を広げ
同じ食パンを食べ
同じ制服を着ましたが
違う仕事に就きました
そういう決まりなんですね
知らずに席を立ちました

子供しかいなかったんですから
 ....
無痛でいられた頃
ただ手触りの良い毛布に包まっていた頃
こんな風になるとは予想もしていなかった

せめて(きみと水)を飲みたいとマグカップをくしゃくしゃ握りしめる
皺くちゃの破片が幾重にも折 ....
「急に泣きたくなる」
という設問を読んで
泣きそうになる

つきつめると
あふれてしまうので
空みみのふりをして
「いいえ」に丸をつける

+

淡い花のきもちになって
窓の外 ....
わかってんの お宅
俺の方が立場が上なんだよ?
舌撃ちを噛み殺し
回らないろれつで飲む酒は
ストレス性の発疹を腫らし
切り揃えられた爪は
シラフからの警告
明日も仕事 明日も仕事
差し ....
遺憾ながら
いつもながら
おそれながら
およばずながら
かげながら
ゴドーを待ちながら
さながら
さりながら
さることながら
卒爾ながら
とはいいながら
涙ながら
花柄
はば ....
僕以外に十五人いる

色とりどりに燃え上がり
景色も人物も皆さびしくない
互いに何をしているのか
首を傾げるくらい顔がない
8つの場面に区切られて
ひとりであってもひとり ....
ご飯を食べられないから
せんべいと
ミネラルウォーターだけで
生きてみようと思う
というとあなたは苦笑して
もっとやせるよ
と言うんだった

冗談ではなくて
吐いてしまうのだと話すと ....
            081122


メモ用紙に残した
犯罪の証拠
飯は済んだ
風呂に入る
口頭で済ませたはずのことを
記録に残したのが怪しいと
素人探偵は
メモを疑った
疑 ....
ねぇ、その懐かしい谷は
いまも風に吹かれているの
そうさ
陽のあたる白いテラスで
あるいは
小さな木の橋に腰かけて
風に吹かれてる
何も変わらない

(かば?
(かばじゃないよ、妖 ....
 白井さんのまどみちお論のところでずいぶん息巻いてしまった。あれこれいってはいるものの僕のいいたいことはシンプルです。
 まず、自分でいいなと思ってしまうことはいったり、やったりしたほうがいいという ....
              081119


100年に一度の津波ですと
テレビが
怖いことをおっしゃるので
海の方を眺めたら
金融危機のことだった
一人あたり12000円の定額給付金 ....
{引用=
  傑作

 これ若い人の詩だが
 ワカランから
 傑作なんだろうが
 でもワカラン
 ということがワカルから
 大傑作とまでは
 いかんのだろうよ
 見ても見えんでも
 ....
つまらないわがままの後
ふいに上向いた気分と
言葉を飲み込んでしまい
二度と口をきけなくなって
ずいぶん経った

元気ですか
姿なき車に怯えていたあなたが蹲っていた場所を
久しぶりに通 ....
明けの空は大きな真珠
忘れてしまいたいことだけのために
忘れきれず虚ろにゆらめいてたたずむ

彼方からさびしく冷気はながれ
明けの空は大きな真珠
ほのかに
虹いろの明るみを見せながら
 ....
あたまの傷のことや
からだの傷のこと
目のなかのぐるぐるの暗がりのこと
そういうことを口に出すのは
醜くていけない

たたかうこと
負けを肯定すること
生き抜くこと
まぶしい、
と ....
生きてるのかな、この花
どうなんかな、生きてるのかな、この人

肩をゆすると花は俺を睨みかえしたが
恥ずかしそうに向こうに行ってしまった

向こうの車両もその先の車両も女性専用だというのに ....

空が晴れていると
どこへ行ってもいいような気がして
ふらふらと遠出をしてしまいたくなる
そんな時はスーパーへ行って
掌にちょうどおさまるくらいの大きさの
果物をふたつ買って帰る
右と ....
先生
今年も忙しさに思想が流されてしまう
そんな季節が来ましたね
あなたは貴婦人だったり豪傑な男の人だったり
駆けだしの幼い人だったり するのだけれど
先生は 忘れた頃に
夢枕にきりりとた ....
とりとめもなく書いてみようと思うのは、ポエムについて、ということは同時に詩について、ということです。

すこしだけふれておきたいのは、たまに、ポエムはだめで現代詩はいいとか、その逆とか、そうした話 ....
ゴミゴミした宇宙の中で、いや
わたしの部屋の中で、いやらしいパンティーをカラスがくわえて
去っていったっきり、6月なのに雪が降ったり、
猫が炬燵を探し疲れて居眠ったりする
ハート型の天 ....
白く
抱かれている女の子を見て
きれいだな と思う
やさしくふれられて やさしいことばを感じて
ため息を漏らすの
メロディーのように
たぶん アイラインを落としても
つむった瞼にまつげは ....
草臥れた声を変わらない歌に込め
枯れ葉に乗せて飛ばしたら
果てへと届いてくれるだろうか

鑑みて

猫背を庇って歩きつつ
とうに潰えた不相応さは
もう窓ガラスにさえ映らない

それ ....
ポタージュが冷めるのを待てず
やけどする舌
冷たい朝に

湯気の向こうで
陽の光が磨りガラスにはじく
無邪気なほどきらきらと

関東地方の今朝は今年一番の冷え込み
半袖のニットを着た ....
 
 
近所の用水路で小さな魚を捕まえた
家にあった水槽に放し
部屋の日当たりの一番良いところに置いた
魚は黒く細っこくて
その頃のわたしは
なんとなくまだ幼かった
 
+
 
 ....
急いでいました
ぶつかった人へ謝る暇も惜しんで
急いで得した時間を
その場で切り崩すことしかできず
余裕ないんだよね
あわよくば見逃してもらえると思っていましたが
実際 そうで ....
熱が下がった朝
起き上がるとまだ
少しだけ喉が痛い
でも、気にならないくらい
だから
顔を洗う
洗濯機に洗濯物を入れ
スイッチを入れる


台所の椅子に座って
湯が沸くのを待つ
 ....
よしおかさくらさんのおすすめリスト(572)
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