すべてのおすすめ
世界の最果ての部屋で
無音のテレビが瞬いた
鬼が私を探しに来る
緋色に染まった夜の海から
シルクの魚雷に跨って
鳥は巣で寝返りを打ち
子供は母に抱かれて眠る
よあけの窓より 行き来するひとびとは
雪よりけわしく
雨よりゆるやかな化粧師
よるの窓のように
反射するではなく
向かい合うでもなく
透明に塗られた、大気のうえを 行き来する
やさ ....
・クリスチャンでない僕らは上手な祈り方を知らなかった。
日曜日になると、僕とレモンは当たりをつけた家を訪れる。金属製のドアノックを叩く。臆病な小鳥が屋根から飛び立つ。家人は不在だ。そういう決 ....
mean meanと蝉がぼくを詰っている
いじわるなぼくは
アスファルトにおちているつよい水性の日差しをひろってたべる
夏というのは架空とおもう
ふとてのひらをすかしてみると
うすい水か ....
高台から見える街
よく知らないおじさんが死んじゃって
首を吊っちゃって
おじさんは婿養子
マイホーム買って
あっという間に娘は反抗期
奥さんは口もきいてくれなくなって
あげくの果 ....
今朝鳴いたカラスは死神だったかもしれない
昼間通り過ぎたおばあちゃんは天使だったかもしれない
目方80kgのおっさんは閻魔だったかもしれない
家にいる猫は実は火星生まれで妹は実は姉かもしれない
....
おおきなこえをだすことができます
おおきなおとでおんがくをきくのがすきです
ぼくは
ぼくは
おおきなおとでおんがくをききながらおおきなこえをだすことがすきです
....
山小屋があって お互いに区別のつかない たくさんの小人が 暮らしているらしい 一つも窓がなくて 丸いテーブルを囲んで おいしいごはんを食べている その時うしろの方で 微かな鳴き声が聞こえて もしかした ....
100円ライターで火をつける
ローマ字記載の大量生産のどこにでもある匂いを
個人の匂いと認識してしまう
単純明快な自らの臭覚を
恥ずかしくなって
はじてはじてはじ ....
ほんとは12才で死んでたよ
でも13年も多く年をくってしまったよ
その間に二人殺したよ
越えた13年より生きた12年の方がよっぽど人間だった
どうしてあの時近所のアフロばばあは腕を ....
古本屋の中で
眠ってた
本を抱いて
それは湿気ていて
暖かかった
店番の
おじいさんは
お弁当を食べていて
たまに
お茶をずずーっと
すする音
幼稚園から
逃げ出してき ....
シルクハットを鏡のなかに投げ入れると
鏡のなかのじぶんが投げ返してくる
さみしい 中年詩人の ひとり遊び
ある朝 いつものように あいさつがわりに
シルクハットを鏡のなかに投 ....
実際の所あれは
鴉のようにも見えたし
人間のようにも見えた
真冬の朝の
まだ明けきらぬうちに
紫色の空を
私たちは見上げていた
凝固につぐ凝固
雪よりも白く美しい
骨を包んで ....
とっくにもう
枯野の向こうに行っちまったけど
俺に初めてフグを食わせてくれたのは
おんじゃん(おじいちゃん)だった
唇がぴりぴりしたら言わなあかんで
フグの毒がまわったゆうことやさか ....
いらいら
かりかり
そわそわ
たじたじ
なあなあ
ぺこぺこ
むらむら
ゆるゆる
らんらんらん
わいわい騒ぐものたちを
広口ビンに詰め込み終わったら
どっこいし ....
僕は何とたずねれば
キレイなキレイなビードロの
すっからかんのがらんどう
光があたれば透きとおる
光があたればはねかえる
僕は何とたずねれば
光がなければがらんどう
すっ ....
男は書店で物理の参考書を買った。大学を卒業し就職して既に十数年が経っている。文系出の男にとって物理など縁遠いものであったし、特段の興味があったわけでもない。それでも男は物理の参考書を買ってしまった。「 ....
ぼくはバクに
夢をたべられてしまったよ
ぼくの
枕元にいたバクは
めやにばかりの目に
うっすら涙をためながら
こういったんだ
いただきます
ひっそりと
いただきますといわれてしまって ....
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