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したたる、したたり、
侵食しはじめた月夜に
手足はどこまでも深く伸びている
やさしく影を包み込むようにして
月は、静かにあたたかい
当たり前のようにそこにいて
闇が照らすはずも ....
妙に窓が明るいと思ったら
昨晩降り続いて街を覆った雪が
朝を反射していました
{ルビ氷ノ山=ひょうのせん}の上で薄灰色の雲がただよい
{ルビ若桜=わかさ}の木々が瑠璃細工になり
冷たく寒い朝 ....
_26:30 星は流れた
きっと
誰かの願いが叶うのだろう
瞬きの合間に
夢か希望か不可能かを
塵と消えた微かな物に
_26:30 星は流れた
....
鳥取の冬を包み
かくすもの
街の音まで凍らせて
夜を沈黙で満たし
立ち尽くした
遠くで、雪おこしの稲妻が
夜を呼びさます
暗闇に置かれた水晶の透明が
今 ....
真上の月
四つの杯
ひとり去る猫
ひとり去る猫
蝶が蝶を吸いに来る
重なりのむこうの波
波のむこうの冬
より硬いものに触れ光は撓む
くすり指のふ ....
やめてけろ
ひと恋しさにちゃちゃ入れた
わたしの思いを
やんわりと断つように
春の兆しは白い肩口の奥へと隠れた
厳しさだけではない冬の素顔を知ってから
流されるのとは異なる
自ら ....
わたしは助走する
ふり返る季節にはきっと
落し物などない
雪で描いた夢は
春を待って溶けゆくけれど
消えはしないよと
誰かが言う
春になればまた
花びらが夢を咲かせる
たとえ ....
何かをはじめるためには
何かを終わらせなければならないと
手紙に書いた
何かの本で読んだ言葉だ
と書いたけど
嘘だった
けれど
そんな気がしてるだけで
本当は言葉なんて
き ....
恋人たちが
裸になる夜は
計算が合わない
数が音に
なってゆくから
建築物の息づかいも
聞こえてきたよ
スポンジみたいな
緻密なリズム
さびしさの背中に
スプーンを落として ....
僕なら気にしないで
君にすれば僕は
でも息をしている
今もまだ
首、その甘い香り で
一生を無くして
ぼくならきにしないで
きみにすればぼくは けもの
死んでもいい
僕を ....
ああ、雨リア
風を吹いてゆけ雨リア
泥だらけの足は
土の匂いは
毎朝欠かさず
しみこませているよ
長いということは
古いということともちがう
近いということは
親しいというこ ....
望みを下さい。
希望を下さい。
夢を下さい。
自慢させて下さい。
無視しないで下さい。
大切にして下さい。
話を聞いて下さい。
笑って下さい。
愛を下さい。
有名になって下さ ....
いつでもよみがえるし
いつでもそこにゆける
天体の運行は
まだ気象みたいに
崩れてないから
五年まえの金曜の夜
冬の星
こんな散らばり方してた
きみ ....
お気に入りの毛糸のベストが
母が赤いいちごを編み込んだベストが
もう入らなくなってしまったと気付いた十二の春
すこし悲しいと思ったのは
自分が大きくなってしまったからなのか
ベストが小さ ....
着脱可能な精神で夜と昼を繰り返したい
希望の面積は年々縮小傾向にある模様
カシオペア座が描く僅かな亀裂
空が落ちたら僕達はどこへ逃げようか
計算に基づく誰かの図式
似たような顔 ....
27歳という年齢を見た。
まだ、若いなと思った。
23歳の俺が、そう思ったんだ。
だから、俺はまだまだガキなんだ。
あなたは
きえそうなひかりのまえで
手をかざしている
胸元から
オイルの切れそうなライターを出して
何度も 鳴らす
うつくしいけしきの
まんなかにいる
いつも
き ....
つきのかわらだ
夜の雲われて
あいつのこころ
鉱物みたいに
ちらばっていた
高速道路の空に
そいつを置きざりにした
強く踏み込んだ
つきのかわら ....
キミのカケラを
てのひらで
ソッとなぞる
綺麗なモザイク
キラリと光る
酸欠になったアタシは
胸の奥にそれを貼りつけるのに忙しい
眩しい青が
夜だから
静かに 静かに
朽ちていくメロ ....
ぼくの 住む 土地で
自然に ひぐらしの 声を 聞いたのは
10年も むかしに なる
それは かぼそく いっぴきの 系譜が
つづいて 啼いて いたのだ けれど
....
あなたは背を向けたまま一度もこちらを向かなかった
遠くで誰も乗らないバスが走り去っていく音
コップの水が夕陽に照らされて
大きな線香花火が
今日もゆっくり
海へと落ちていった
水に浸かる瞬間に
ジュっと
火の消える音がしないかと
耳をこらしてみたものの
カナカナカナと
聞こえたは
夏の終わりにすがりつく ....
さよなら、さよなら、
記憶を解き放って
遠ざかる夏の
四角く切り取られた 空
枠からはみだした場所では
かなしみによく似た顔の
ぼくたちが
今も、酸欠になっている
....
継母の喫煙
見つめている
あたしの喫煙越しに
扇風機の
あおい羽根越しに
りんごの木
ふしぎな果実
かしっ、かしっ、
あたしたちはさ迷う
....
写真を見ても 何も思わなくなった
ああ これが終わりなのかなって
君の声ももう思い出せない
ああ これが終わりなのかなって
君が僕に言ってくれた事 思い出せない
....
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