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 /雨が降ってる
  小さな砂漠なのだと思う
  講師は教壇に立ち
  黒板に自分の名を書く

  「倉持康雄」


はじめまして、倉持です
皆さんにとって実りのある研修 ....
  タクシーに乗って
  道を歩く

こんな時間までお仕事ですか?
運転手が尋ねるので
ええ、まあ
と答える
今日は暑かったですね
暑かったですね

  本当に暑かったのだろうか
 ....
肩が外れた
外れた肩を持って闇市に行った
拾ってきた新聞紙を広げ
粗末な店を開き肩を置いた
たくさんの人が前を通り過ぎた
みな急ぎ足だった
しばらくして
職業軍人らしき人が買っていった
 ....
一度目の恋は恥ずかしくて
愛してる、なんて
言えなかった

二度目の恋は何となく
愛してる、と言った
意味なんてわからなかったけれど

三度目の恋は愛してる、という言葉に
責任を持と ....
お父さんが紙をつくってる
つくった紙を僕が並べていく
それがお父さんの廊下
なんだか淋しいところだね、と言うと
お父さんは土を持ってくる
足りないので
何回かに分けて持ってくる
だからお ....
船着場でピアノを弾く
白い鍵盤しか習ったことがないので
黒い鍵盤に触れないように
注意深く弾いてみる
低い生垣の向こうから
病院の人がこちらを見ている
目が合い会釈をしたけれど
何も返す ....
手の震えがひどい日は良く眠れない
プラスチック製の消臭スプレーを握ると
少し安定して
それでも眠れない時は
若者向けの深夜放送を疲れるまで見て
やっと僅かばかりの睡眠を得る
昼間会いに行っ ....
朝、自転車に侵入された
ちょうど起きようとしているところだった
カロロと卑猥なペダルの音を耳元でさせ
とても恥ずかしかったが
俺は初春のように勃ち
自転車は器用に車輪をたたみ侵入してきたのだ ....
駅前に
都会が落ちていた

命のように
きれいだった

なくさないように
拾って
ポケットにしまった

そして
三年振りの待ち合わせに
僕は現れなかった
長い列車に乗る
弟が先に座って待ってる
向かい合わせになり
二人でハムを食べる
好きだったケチャップ味が
どこまでも続く
入浴もあったが
傷が目立つので
やはり列車でよかった
せめて ....
大雨が降ると川は決まって氾濫した
田畑や家はその度に浸水した
人々は土嚢を積みポンプで水を汲み上げたりしたが
結局は自然に水が引くのを待つしかなかった
ある年、河川管理者である県によって
大 ....
少し離れた
海のようなところを
目覚まし時計がひとつ
泳いで行きます
古い色のバス停で
返却期限の過ぎた図書を
二冊抱えたまま見送る
息継ぎだけが
わたしの動作でした
帽子の話はひととおり終わり
白い塀が先の方まで続いています
突き当たりの干物工場を右に
道順を教えてくれる指先は節くれだっていて
足元には重いものに潰されたような
カマキリの一部が残っていま ....
小さな馬が一頭草を食んでる
いただきます、も
ごちそうさま、も
一生分言ったのに
まだ何も言い尽くしていない

クイーンズタウンの山の上にある
レストランで食事をした後
近くの牧場で馬 ....
ウォーリーは探されなければならなかった
探されるためには行方をくらまさなればならなかった
行方をくらますためにはいつも同じ服装をしなければならなかった
その服装が決めたものなのか決められたものな ....
テレビが湿っている
ただで人からもらった
のだから仕方がないけれど
水分をたっぷりと含み
少し軟らかい感じがする
付属のリモコンも
ただで人からもらったから
同じように湿って
チャンネ ....
テレビの画面いっぱいに
モザイクがかかっている
娘は笑って見ているから
面白いアニメか何かなのだろう
低俗なものはきちんと排除され
僕らは安心を手に入れる
新聞の記事にもモザイクはかけられ ....
母が縄跳びをしている
僕はしゃがんで回数を数えている
あんなに腰が痛い
と言っていたのに
背筋をピンと伸ばして
交差跳び、綾跳び、二重跳び
次々ときれいに跳んでみせる
既に数は百回を超え ....
階段の近くで生まれました
階段で話をして
それから歌い
お互いの名前を呼び合い
Tシャツ、セーター、靴下、下着の類
何度も着替えをしました
時々触れて
時々離れて
おしなべてそのどちら ....
庭の木にニンジンがなっていました
友だちは一本もぐと
器用にカッターを操って
舟の形にくり抜きました
池には用水路で捕まえてきた
小さな黒い棒状の魚が群れて泳いでいました
浮くことなくニン ....
白い牛が見たいというので
柵のところまで案内しました
ちょうど啼いているところでした
確かに牛は白かったのですが
着ていたワイシャツの方が
白と呼ぶに相応しかったかもしれません
それから事 ....
01
潜水艦が勝手口から出航する
数名の水夫と
グランドピアノを一台乗せて
裏面にへのへのもへじが書かれた広告は
窓を開ければ
風に飛ぶだろう


02
電話会社から届いた明細を ....
ぶつぶつ
ひとりごとをいいながら
ひとが
えきのかいだんをのぼっている

おそらく
なにかたいせつな
くんれんをしているのだろう
ことばをはっするたびに
すこしずつ
もれていくもの ....
女は消印を食べ続けた
消印を食べなければ生きていけなかった
医者には病気のようなものだと言われた
普通に届く郵便物だけでは
必要な量は満たせなかった
子供のころは
両親が女のために手紙を書 ....
長い耳のようなものに
巻かれている
なでてみると
自分の耳なのだと気づく
近くでは耳が産まれている
いくつかは知っている耳で
いくつかはよくわからなかった
産まれてきた耳は
自ら声を発 ....
人は屋根をつくった
雨から家族を守らなければならない
自らの肉体を守らなければならない
濡れてはならない
濡らしてはならない
壁も柱もつくることを忘れ
屋根だけがどこまでも広がっていった
 ....
こうえんの
みずのみばのしたに
にんぎょうが
おちていた

きぎの
こずえのあいだから
いっしゅん
みえたこうけいだったが
そばでは
ちいさないきものも
いのちを
いとなんでい ....
そして
けんこうこつ
があり
かどを
うせつする

また
けんこうこつ
につきあたり
させつする

いきどまり
けんこうこつ
のにおいと
なめらなかな
しつかんが
ただ ....
ひとが
ゆめを
みているの

それとも
ゆめが
ひとを
みているの

ふるい
ひょうしき
のようなものがあって
おとがしている
あのさきに
うみがあるの

ひのあたる
 ....
はざくらがきれいだった
るうとのけいさんはいつも
にがてだった
すしやにかくまわれてる
ごうとうのせんたくものにも
すずしいかぜがふいた

+

ははに
るびいをかってあげた
に ....
藤丘 香子さんのたもつさんおすすめリスト(97)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
雨音- たもつ自由詩1607-6-8
- たもつ自由詩1607-6-6
東京パック- たもつ自由詩1307-6-5
愛してる- たもつ自由詩1507-6-4
スケッチ- たもつ自由詩1207-6-3
- たもつ自由詩1107-5-30
- たもつ自由詩1107-5-28
侵入- たもつ自由詩1407-5-23
待ち合わせ- たもつ自由詩1507-5-18
扇風機にコエ- たもつ自由詩607-5-16
やわらかい肩- たもつ自由詩1107-5-13
動作- たもつ自由詩1507-5-11
道順- たもつ自由詩2407-5-9
イメージ- たもつ自由詩1207-5-8
探されウォーリー- たもつ自由詩1707-5-3
バケツ- たもつ自由詩1707-5-1
モザイク- たもつ自由詩3107-4-30
まぶた- たもつ自由詩3007-4-28
木漏れ日隠れ- たもつ自由詩1107-4-27
前日- たもつ自由詩807-4-26
夏の休み- たもつ自由詩4*07-4-24
小詩集「言い訳」(01-10)- たもつ自由詩1007-4-23
くんれん(ことば)- たもつ自由詩1607-4-23
愛称- たもつ自由詩1607-4-21
耳の産声- たもつ自由詩1007-4-20
屋根をつくる- たもつ自由詩1607-4-19
くんれん(かし)- たもつ自由詩907-4-16
くんれん(いきどまり)- たもつ自由詩607-4-16
くんれん(ゆめ)- たもつ自由詩11*07-4-15
春に過ごす- たもつ自由詩19*07-4-14

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