この道は
君のカーナビには存在しない
私たちは海の中を走っていると言う
海の中の
あるのに無いという道を
私たちはただ進む
夜は飛行機をどこに運ぶのだろう
温かな ....
1 夜 - a poor SHEEP and a poor SLEEP -
片側から冷える夜 闇が寄る
寒くて眠れない、離れ離れの夜
羊なんかを数えてみても
....
やぶれめが ひたいに
あるので うつむくと
こぼれて くずれさる
すなの ふくろだから
かおを あげてあるく
両手を回した程の
ちいさな宇宙です
貴方の肺は未だ酸素のあじを
知らないのです
ゆっくり不安定に自転を反し
頬に感ずる微熱の
耳に展がる音色の
ゆめを
見るのでしょうか
朧ろ ....
60億人に
60億種類の天国
乳と蜜ばかり流れていて
野菜も食べにゃーいけんぞな
と 言われてしまう
天国
酒がうまくて
ねーちゃんはきれいで
下戸やゲイの方々には
少々気の ....
涙を拭いた君は くしゃくしゃになったティッシュを
燃えないゴミ用のトラッシュボックスに投げつけた
燃える用のやつに入れなきゃだめだよ
僕が久しぶりに搾り出した言葉は
後悔さえ出来そうにない ....
今日はお祭り
君はもう十六歳
サングリア片手に
夕暮れの会場を歩く
オレンジやレモン、アプリコット
色々入ってる
かわいい歌みたいなお酒
ひとくち
ふたくち
僕にもくれた
....
ひさしぶりに 朗読なんか しちゃったの
なんとなくね、賢治を読みたくなったから
『注文の多い料理店』
こわいね。こわいね。こわい話だね
だから 思いっきり こわぁく読んだ
結構体力いるか ....
言葉 と 言葉
約束 と 約束
サヨナラ と サヨナラの
透明な隙間を
満たしている何か
絡めた指の
違和を消して
満たすための何かを
夏は涙を流してくれない
秋
瑞々しい草木の
しなやかな手に雫を落とす
冬
食卓のある窓の
鈍色ガラスに雫を垂れる
自分たちの体温に気づいた時
季節は泣いてくれる
....
あいが死ぬ
また
そこで
あそこで
小さな息はいて
誰にも見えないから
簡単に
あいが
しぬ
息を吸って
大声で泣いて
....
楽しいときほど
思い出してしまうのは
あなたと過ごした夏が、きっと
あまりにも輝きすぎていたから
あいたい、と
そんなき持ちに自分の笑い声で気がついた
だって二年前、あ ....
フラットしたまま
夕暮れていく
音楽室からは
いつも
音のない
演奏会
放課後に
わたしたちは
どうしようも
ないほどに
透明で
同時に
不器用な
温度で
つま弾いてい ....
あなたが
星になる
最後の一秒間を
私にください
耳に雨音
瞳に滴
触れるたび
肌はやわくなってゆく
身じろぎもしないで
硝子一枚に隔てられて
雨に囚われているのだろう
雨を除ける力など
もってはいないから
ここでじっとしている ....
よるだけど
叫んでみた
きたねーシャツ
洗濯機に突っ込んで
グルグルしたみたいに
かなしくて
中指立てて
ハラ抱えて笑って
調子ハズレの歌うたって
ノドいたくて ....
姫様は
長い長い
艶やかな御髪を持った
小町と呼ばれる姫様でした
『髪長小町』
私のお育てしたお姫様は
それはそれはお美しく
雪よりも透けるような白さに ....
ドブの中からでも
星空は見上げられると誰かが言う
一人で見る星空はあまりにも遠く
それが屑星であるのかそうでないのかさえ
ドブに塗れて見えなくなった
ただ、あの輝きを
あなたと見つめら ....
優しい気持ちを交し合って
寂しさを一つずつ埋め合って
想いを丁寧に紡ぎ合って
彼方から伸ばした合った手が
触れ合って握り締め合えたなら
それをきっと幸せと呼ぶのでしょう
....
電話が鳴る。着信は独身独り暮らし27歳女子とわかる。
「聞いてよ、今日さ、また例のバカな上司がね、、」
そんなに上司が嫌いなら会社を辞めてしまえば?
「違うの、会社のやり方がね、、」
がんばれ ....
アスファルトに捕らえられた君を
すくい上げたこの手が
愛だと信じていた
四畳半の沃野に
刳り貫いた天井に
それでも君は
ただ背筋を伸ばして
その時を待ち続けていた
この手が ....
カレンダーの塗り潰しすぎにより
よし子の来世もしくは永遠
それは壁になった
よし子が生まれたのは暑い日だった
怠惰をまとった団扇の風がピタリと止み
それがよし子の生まれた証になった
....
ジャックは豆の木に登らない
代わりに木の台に座る
そうすると
(地面にいる虫たちに邪魔されない)
らしい
犬らしくないジャックは
だけど、海賊でもない
ただのジャックだった
犬 ....
よく見てごらん
雨がまっすぐに降ってくるだろ
時折り銀色に光るのが
あれが雨の涙さ
空の悲しみが見えるだろ
よく聞いてごらん
雨が小さく跳ねるだろ
時折り痛そうな音がするのが
あれ ....
底の少し剥がれた
スニーカーで、歩く
レンガに反射する光が
私をほんの少し
焼いている
とりあえず深呼吸
一回、二回
排気ガスは気にしない
それすらも
世界の一部だと
言って ....
高野悦子さん
わたしの二十一歳の原点は
あなたの『二十歳の原点』だった
孤独さは ともに生きる ひとが いる今は
あの頃とは 少し違うけれど
「未熟であること」
それは 今も ....
溜め込んだヘドロのような感情を
土石流のような泥水で何度も吐き出してる
それでもそれでもそれでも
塩っ辛い溜池が枯れる事はなくて
あたしは今日もまた、暗い部屋で一人
音楽というダムの弁を ....
靴をはくくらい自然に恋ができたら良いのに、と思う。
たとえば右と左を間違えた、と言い訳ができる。
きのう雨で濡れてたんだって思いだせる。
今日は見栄を張りたいと自覚できる。
もう少し大人び ....