雨上がりの蛙が
行間を飛び越えて
次の行方をさがしている
わかったような顔をして
いつか確実に訪れる
本の終わりも知らずに
行間を飛び越える時
蛙はなにも
考えていないのだ
それ ....
落とし穴を掘った
たくさん掘った
通り行く人たちが
すこんすこんとはまっていった
はまった人のいる穴に
名札を立てかけて
名前なんて知らないんだけど
名札があった方が便 ....
虹がミドリで怖い
茶色がミドリで怖い
喉の奥がミドリで怖い
目を瞑るとミドリで怖い
近所の肉屋がミドリで怖い
ドアを開けるとミドリで怖い
黒塗りのベンツがミドリで怖い
彼女の浮気の言訳が ....
その昔
神様がまだ健康な頃
水面を歩く奇跡や
水をワインに変える奇跡や
病気が治る奇跡なんかが世界で起こっていた
実際
神様は人々を見守って助けることもあった
現 ....
内奥の
もっともやわらかな
湿地から
あわわれいずる
日の目をみるがために
新しい日よ
ブラヴォー
夜をこえた
植物たちと同じように
飢餓のまま
烈しく光に吸い寄せられて
....
はじめて
青い本の表紙に
CHOPIN
という文字を見いだしたとき
その下にショパンという名前を確認したとき
華やかな、うわずったような気もちが、
早く弾きたいという、せっつかれるような気 ....
白いあじさいは天使の繭
喜びのうちに生まれるので
雨を涙だとは思わない
ちいさな雨粒は
神様のみ言葉
ここから
遠いところへいくためには
まず気持ちをたちあげなくては
たぶん、それが一歩
一歩とは
ほとんどゼロでありながら
なんとすべてに近いことか
オーケストラがはじまる直前のあ ....
会社をやめて独立したという古い友人と
ひさしぶりに私のアパートの部屋で飲んだ
これが意外に儲かるんだよ
と言う友人は、自動販売機になっていた
胸には常にテレビのようなものを映している
あ ....
サイコロをふって
コマをすすめたら
梅雨入りのため
一回休み
と、出た
しかたなく
ぼくは軒下で
ほかの誰かと相合傘の
あなたの後ろ姿
おとなしく見送った
プロフィール読んだら
すごく嫌いなタイプだけれど
言葉の使い方が上手いんで
ポイントあげます
いままで
まったく
こっちの作品には
ポイントを入れてくれてないけれど
描かれてる情景 ....
はじめて会った
気がしないのは
なぜだろう
やさしいまなざし
知っているのは
なぜだろう
話しながら左手を右手で
撫でる癖を知っているのは
なぜだろう
その手のぬくもりに ....
エミリー
あなたと最初に出会ったのは羊水の中
あなたは何も言わず
私を蹴って押し出してくれました
あなたはそれっきりそのままで
難産だったと語る母にあなたのことを訊いてみたのです ....