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五月に咲いた花が
未だに枯れずにいます
まるで今朝方咲いたばかりのように
生き生きとしています
あなたは反対に
日に日に腐っていく様で
そんな風に見えてしまう私は
少し ....
世の中との違和感に照準せよ
人々が称え 人々が愛するものに
腐臭を感じ取る己の感覚に照準せよ
受容と癒しが蔓延するこの時代に
もう一人 人知れず共感の群れに加わったところで
それ ....
一度で良いから
真珠の館に住んでみたい
というのは
我が家の小さな家蜘蛛が
梅雨時になると決まって呟く言葉だ
『真珠の館』
漂白された空から降ってくる雨粒は
....
部屋の机の上に飾られた写真立てに
うっすらと積もった埃をなぞって
ここで過ごした時の長さを思った
写真の中の笑顔はそのままに
もうずいぶんと遠くに来てしまったような
そんな気が ....
骨は 眠らないのだけれど
眠っているということにしたい
わたしたち
その上には
幼いころからなじみの
山でも いっとう大きな木
幼いころからなじみの
いつもきつく吹く風が
今も ....
この度は当社の製品をお買い上げまことにありがとうございます
つきましては、使用上の注意についてお知らせいたします
この製品は防水仕様となっておりますが
長時間に渡っての水中への放置等はおやめ ....
炎が大きくなると
みな逆に息をひそめる
瞳にかすかに邪悪なものが
やどっていたとしても
驚いてはいけない
子らは儀式の最中において
完璧に集中している
羊水の中で生きぬように
私はかく強くありたい
境界線に達してもいいさ
それが私の生き様となるのなら
羊水の中で溺れぬように
私はかく厳しくありたい
機械にも人形にもなりたくはないさ
....
群れを成し
一点を見定め
乱れぬ様は
予め組み込まれた
仕掛けのように
波紋がやがて
飲み込まれ
波間の一部となり
消えゆくように
石瀬に映る影が
揺れながら
あとを追う ....
ひとは思想だけで死ねるという
それにはわたしには思慮が足りなかった
ひとは愛のために死ねるという
それにはわたしには憎しみが足りなかった
ひとは祈りのために死ねるという
そ ....
終着の浜辺
そこで未来が終わる場所
たどり着いた人々は 待っている
時の呼吸が止まる予感
心地良く吹く海風が
凪ぐように
たくさんの思い出と祈りが
もはや何処へも流れ ....
人生は刹那の繋ぎ合わせ
時間はただ
平等に人々に与えられ
平等に消えてゆく
刹那の時間に変わる世界を
瞬きすらも惜しみながら
隣り合わせた花の開花を
運命と名付けて
見逃さないでい ....
背中に刻んだ十字架を
背負って歩くいばら道
力の限り握り締め
噴出す血さえ
気にせずに
陽光ははるか彼方にあるものと
自信に満ちて進むけど
神は見えない手を差 ....
さらば
私の中の少女
セーラー服を盾に
無邪気を剣に
守られながら叫ぶ時はとうに過ぎ去った
いまや盾も剣も自分の心と体でしかないのだ
さらば
私の中の初夏の風
爽や ....
わたしがわたしであることを許さない
何かに動かされ
罪の償いのなかで
わたしはまたその罪に焦れる
とても苛立つ
結論はわたしにかえるのに
わたしの肌は
やさしい
と言った人
気に ....
心配事の多い夜に
あなたがまつげを上に向けて
なにもない灰色を
そっとめくる
そらのうらがわには
てんごく なんてものはなかった
ただ
春めいたゆうやけがとろけていて
おも ....
※いちにちめ
朝起きたら
靴から花が咲いていた
綺麗な花ではなかったが
あんまり堂々と咲いていたので
迷った揚句に仕方なく
会社へは裸足で行くことにした
※ふつかめ
朝起き ....
花は散ったとしても
彩や香りは思い出せるから
花弁を拾い集めるのは
もうやめましょう?
散り際は儚く美しく
あとはただ土へと返るだけ…
....
部屋に突然インドがやって来て
勝手にインダス川を氾濫させるものだから
部屋は水浸しになるし
大切にとって置いたものも
すべて流されてしまった
これは何の冗談だ、と
食って掛かっては ....
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