ゴミ箱を作ったので
いらないものを捨てた
だけど、ゴミ箱はまだ満足していなかった
仕方がないので
最近、増えすぎて
持ちきれなくなった不安を捨てた
ゴミ箱は少し満足したようだった
その日 ....
風船を手放すように
詩は一人旅を始めます

心を込めて
願いを込めて
形を成した丸いかたまりは

風に揺れながら
雨に濡れながら
貴方の元へ泳いでいきます

昨日は赤い風船を飛ば ....
わたしのいつも見ている景色です
ありきたりです
でも、たまに
はっとして
おもわずカメラで収めたくなります
記憶に留めるだけの時もありますが
後に悔いてしまいます
焦ってカメラを構えても ....
 
英会話学校のパーティで知り合ったバーナードは
JICAの研修生として来日していた獣医のエリートで
扉という扉を開けてくれ
食事のときは女性の椅子を引く
印象的な紳士だった

街のカフ ....
週末
接待のため夜中に帰った
けっこう酔っていて
おみやげに肉まんを買って帰った

あっくんが起きてたら
一緒に食べたかったのに

と、言おうとしたのに

あっくんが生きてた ....
「せんせいのては やさしいかたちしてるね」

いきなり言われたので
僕は自分の手をじっと見た
どうみても普通の手だ

「どういうところがやさしいの?」

血管がういて筋張っているし ....
休み時間に生徒が漢字練習をしていた
なかなか漢字が覚えられないとぼやきながら

僕はそれを見守りながら
漢字はいくつかの漢字がくっついていることもあるから
それを手がかりに覚えてゆくのも ....
皿の上に不恰好な卵焼き
違うようホットケーキだようと
いもうとがきゃんきゃん吠え立てている

味は悪くないぞいもうとよ
頭を撫でてやると
子供じゃないんだからと言って
手をぽんと払われた ....
なにもない

そんなきがするときがあります

べつにしゃかいのこととか
そういうことをいっているのでは
ありません

そのなんといいますか
せつめいがむずかしいのですが

とにか ....
おなかが痛くて
おやすみしたという娘が
しょぼくれた眠い目を
こすりながらくれた
カカオ

バレンレーの日と
君が言ったから
誰がなんと言おうと
今日は
バレンレーの日

あた ....
あの夜の夕食を思い出せないまま
今日まで生きてきた
妻が初めてつくってくれた手料理は
少し難しい名前だった気がする
思い出してるうちに
思い出すことさえ忘れてしまって
思い出せないまま
 ....
親指でしか語れなくなった


指先が覚えてしまったのだ
無機質な凹凸に触れるだけで
整然とした文字が手に入ることを


まっさらな紙の緊張や
そこに落ちるイビツな文字
との格闘も捨 ....
お父さんはね
お母さんを口説いたとき
自分の故郷には
おはなばたけという駅が
あるよと言ったって

夏に嫁いできた母は
駅前に花畑があると
おもってたと
文句を言ったらしい
お父さ ....
妹が嫁に行くのですよ

あれは妹が3歳ぐらいのことだったか
サンタクロースがやってきたとき
母にしがみついて 泣きじゃくってた あの娘が 嫁に行くのですよ

「幸せにしてもらえよ」と言 ....
一針一針
縫い込んでいこうよ

こんなふうに

キルティング・ツリー

わたしたちも
これからを
人が怖くて 目が合うの避けて歩いて
責められる前にあやまってばっかり

そんな自分が 超キライだった


いつも迷ってばっかりで
何を決めるのにも時間ばっか掛かって
いつも誰かをイラつ ....
細く締まった自慢の手首を見つめていた。
そこに走る血管を見据えて、
そこから血が溢れ出すのを想像しては自分を慰めた。

あなたがどうしたら後悔するか、そればかりを考えていた。
あたしだって
きもちとことばは
裏腹

ほんとはね、
なんて言えないの
しっばれる 初冬の朝

まだ寝ている良人の顔を 覗き込む
ねこちゃんみたいな目をして
まだ根室の夢みてる

わたしは えい と起きあがり
つめたい水で顔をあらう


と ....
そういえば。
と、思い出した。

子供の頃、歯を投げたことを。
祖母に何かを願って投げろ
といわれ、"冷やし中華"と言った気がするのだが
いつ、歯の効果があったかは未だ ....
テーブルにばんそうこうが貼ってあった


また3歳の娘がイタズラしたな、


と思って剥がすとそこには


小さな傷があった
父が逝ってしまったあとも
私たちは変わらなかった

私は
時々メールを送る

ふるさとの母に宛て
その辺の草木とか
カシャリ、と撮って

しばらくして
母が大げさに
電話をして ....
八月十五日になると
毎年訪れる浜辺があって
太平洋に面したそこへ
母を連れていくのが
夏の慣例だった


『砂上の手紙』



空襲で
顔面に火傷を負った母は
ひどい弱視で
 ....
ひなはとうとう
自分が足をあげると
道路にはりついてる黒いかたちも
足をあげることに気づきました

ひなの世界にはまだ
「カゲ」という概念がないので
それは楽しい発見らしく
何度も足をあげて試してま ....
はじまりは一本の大きな幹でした
その幹がどんなに大きくたって
みんなみんなその場所にいたから
誰かが声を発すれば
その声は確実な伝言ゲームで
紛うことなく誰かのもとに届けられました

や ....
明日、現代詩フォーラムの会議室『関西好きやねん会』のオフ会があるわけですけれども。。。

祖母宅に行きまして、
「明日、現代詩フォーラムで短歌とか書いてる人たちに会ってくるねんけど」

話 ....
ちいさいころ熱が出ると

お母さんはよく桃の缶詰を開けてくれた

白くてやわらかい桃はもちろん

スプーンで飲ませてくれる甘いシロップも

冷たくてとてもおいしかった


お母さ ....
最近どうにも足が疲れて疲れて仕方が無いので病院に行くと
一応疲れていますねと診断された
一応と言う言葉にむっとしたが
いやそれは最初から分かっているのですが
原因が分からんから調べて欲しいので ....
すやすやと

安らかな寝息を立てる

ちいさなちいさな背中



このちいさな背中に

どれだけの重荷を

背負わせてしまったんだろう



たくさんの痛みに耐えて ....
さっきから訳もなくティースプーンでカップの中を掻き混ぜてしまう
そんなにしたら紅茶が冷めてしまうのがわかっているのに
渦を巻く琥珀色の液体をじっと見つめる


「黙っていたらわからないじゃな ....
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