窓を見ていました
身体のどことも違うガラスの質感でしたが
手などの白いあとはかすかな
生きていたものたちでした
あの窓の向こう側に
はたして外はあったのでしょうか
ただ立ちつくすだけだ ....
一。

 傘を閉じるとひたひたと雨がついてきた。玄関を上がり廊下を渡りそのままひたひたと、家に居ついてしまった、雨は客間ではなく居間に居座りとくとくと、淹れた紅茶を ....
 夕暮れ近くになってムーフールーが海を見たいと言い出して、海に行くことになった。海辺の街とはいってもこの坂の家からは、海はすこし遠い、なので車で行くことも考えたが、思い .... 気がつくと私は青い海の部品の一つで
どこまでもどこまでも沈んでいく
重力をなくした体は
潮をはらんでふやけたまま 
これは落下、と呼ぶのだろうか
そうか 海の底は青くなんてないんだ

こ ....
噴水のそばでは
アビリティーが無効になります
仕事の話はやめましょう
大声で電話しながら歩いている人
あなたの内側を掃除したい


 2004年11月23日制作の上記「噴水の話」から、昨 ....
傷だらけの食卓机は、薄いクリーム色をしている。木目の中には家系図が描かれていた。名前は皆黒く塗り潰されていた。父はその上にあぐらをかき、フローリングの床に釣糸を垂れる。

「釣れますか」
「いつ ....
端から見れば私達、透明になっていく。細胞だとかが出来た時から怠け者となじられていました。胸の苦しさの原因は、ワインの瓶を飲んだから。社定時速を超えて加速していく、行く先々に上司のデスク、キャラメル色の .... 腐臭にまみれたあたしたちでも
網戸へぶつかるコオロギには愛されていたと思うの
あの子たちの祈りを許さなかったのは、賢明だったと思うの
あなたはバラバラになって深い溝をゆくわ
落ち葉と、ヤスデに ....
半月がころがった
夜の{ルビ帳=とばり}に
埋れたふたり
冬の星座は
オリオンしか知らない
道すがら探して
明日は晴れるね、
大体毎日言う
大体毎日
同じ相槌を聞く

手袋が欲し ....
舟に舟のかたちに溜まり
宙を照らしかがやくもの
とくりとくりと
輪を描くもの


風が散らす雪のまわりに
道を創る歩みのまわりに
かがやくこがねの波があり
涙を涙に打 ....
                     071226

死にたくないなと思っていたら
頃合いなので
これから死にますと言われて
はいそうですかと答えた
(配送ですかとは言えないので) ....
 一、チアノーゼ

 国道の縁石にふたり座りこんでいたとき、アイビーは「美しいものが好き」って歌った。濡れた唇の築く透き通った楼閣をベンツが突き抜けて、砂塵に僕ら咳き込み涙目になりながら排気ガス ....
この世の浅はかさを感じているかい?
何か狂気じみてると思った事はあるかい?
ある日の自分が最低な奴だと悟った事は?
本当の意味での人格者を探した事は?
どうして物事はこう移ろい行くのか ....
今日も少し失敗した

仲のいい人達と
たわいも無い話
いつもうまくチューナーを合わせてる

そちらは感度いかがですか
オールクリア、オールクリア

その為に犠牲にする
信用と私
 ....
それは
ほんの気まぐれ



『贋作 手袋を買いに』



真夜中に差し込んだ月光を
唇ですくって
指編みし
小さな誰かに合う
手袋を編んだ

私の指は
夜霧の摩擦に赤 ....
亡くなった祖父宅で書庫の整理をしていると
奥にある一番古い棚に
ザムザ虫が大発生しているのを見つけた
古い貴重な文献があらかた喰われていた
あんまり頭にきたものだから
スリッパが汚れるの ....
         071031




近づき過ぎた関係性

近づき過ぎた関係性を
 近づき過ぎた関係性を
  近づき過ぎた関係性を
   近づき過ぎた関係性を
    近づ ....
近づけば 遠のく
宇宙の影を ゆめに
おいかけて かえりつつ
あるのか はじめの
ことばの 断崖へ  
たったひとりの あなたへ
とどく かもしれない
ことばの しんじつを
かんがえて こどくを
えらんだ のです
あなたは
いつも楽しそうだけど
時々
みんなから離れて
ぽつんと一人で
カメラをいじっているよ

わたしが寄っていったら
笑って
たまには
わたしの写真を
撮ってくれるから
思 ....
あなたと その周辺を分解し
組み立てなおし 恒星のことばで
したためて 郵便受けに
ほうりこんだが 返事がない
いや たぶん絶対に こない
ユンケルの細いストロー {引用=
 ヒトラーの「わが闘争」を
 いつもポケットに入れていた
 まるでサリンジャーの小説の
 脇役のようなH君から
 十二年ぶりに電話がきたのは
 二年まえのことだった}
 何気な ....
 暇潰しに入った近所の小さな図書館で 私は自費出版で出したある詩人の詩集を見つけた
 この詩人は名も世間に知れ渡っておらず 芽の出ないまま死んでしまったらしい
 春の日溜まりの中で読む詩集は 輝い ....
わたしがわたしであることを許さない
何かに動かされ
罪の償いのなかで
わたしはまたその罪に焦れる
とても苛立つ
結論はわたしにかえるのに

わたしの肌は
やさしい
と言った人
気に ....
 僕は毎週土曜日に君の家に行くことになった
 交通手段はバス 季節は感じない
 途方もないほどの時間をかけてバス停に着く
 それから記憶にきちんと刻まれた君の家の道のりを行く
 君の家に着くと ....
夕方のあと現れた群青に

三郎はじぶんのからだじゅうの

すべての毛穴が開ききってゆくような感覚をおぼえた

そして

宇宙にひとり

ぽつねんと浮かんでいるような気になった

 ....
 責められた
 ぼくは何も
 言えないよ

        最初にであったのは
        いつだったのだろう
        隣りにいた気がする
        気付いた瞬間の反応 ....
  夕暮れ色の飛行船、
  たくさん空に浮かんでいたけれど
  空と一緒の色だったので
  誰にも気付かれないままでした。

  *

  毎朝、起きたらすぐに顔を洗います。
   ....
朝が来る頃には、空気は清潔に、乾燥しているのだろう

昨日の夜には、誰もいない交差点をひっそりと浮かばせていた、濡れたアスファルトも、その隙間の苔をゆっくりと、縮こまらせて、また、待っていた
朝 ....
clefさんのおすすめリスト(44)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
質感- たもつ自由詩608-6-4
「_ひたひた。_」- PULL.自由詩7*08-5-31
「_ムーフールー。_」- PULL.自由詩4*08-5-6
シュノーケル- 伊那 果自由詩5*08-2-27
●そろもん(あとがき)- みつべえ散文(批評 ...4608-2-17
独立した弧の夢を見る- nakahira自由詩308-2-11
ためらう傷- nakahira自由詩108-2-4
畑に油を撒くような- nakahira自由詩108-2-4
半月- かや自由詩7*08-1-18
こがね_ゆくえ_Ⅱ- 木立 悟自由詩308-1-16
宅配便- あおば自由詩2*07-12-26
_永遠の懐胎- 鈴木散文(批評 ...407-12-18
無益- maynard自由詩207-11-22
故障- mac自由詩3*07-11-22
贋作_手袋を買いに- 蒸発王自由詩4*07-11-11
書庫で踏む- 楢山孝介自由詩207-11-10
是正- あおば自由詩4*07-10-31
そろもん(翼の歌)- みつべえ自由詩407-10-29
そろもん(石の歌)- みつべえ自由詩807-10-22
曖昧ならせん- とうどう ...自由詩25+*07-10-22
そろもん(恋の歌)- みつべえ自由詩1007-10-9
壮年_四- A-29俳句3*07-9-24
ZUZUさん『鳥人間コンテスト』を読む- 楢山孝介散文(批評 ...8*07-9-6
繋がっていくもの- はじめ自由詩13*07-6-6
記憶- 蒼木りん自由詩407-5-30
君を愛することによって- はじめ自由詩6*07-5-29
精神のカルテ- 吉岡ペペ ...自由詩407-5-28
両面キューブ- 零椅自由詩12*07-5-27
幻視顕微鏡- 嘉野千尋自由詩61*07-5-27
期間社員名簿の備考欄- nakahira自由詩307-5-21

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