ゆらゆらと揺れる
木々の間で
風に吹かれて
瞬きを思い出す
一つ、ぱちんと
音をたてて
瞬きをしてみると
風がそっと
頬にキスをした
吸い込まれそうな
深い、青の ....
空に輝くのは無数の星
山の下にも無数の光
空の星が見えないこの街
この夜景が美しいと
誰かが讃えたらしい
確かにこの街は綺麗
空の星なんかより ずっとずっと
確かにこの光は綺 ....
夏
森には緑が生い茂る
その中のたった一枚の葉
その葉がなくとも
森は揺るぎないだろう
でも
その一枚の葉が
一枚の葉になるまで
どれだけ過程があるのだろう
その一枚にも
命が通っ ....
ここはどこかとおもう
そしてすぐに
ここは大地だとおもった
風がふいて
雨がふって
鳥がないて
いきて
いる
奏でる というようなものではない
どこからともなく湧 ....
赤い糸が見えるなら 黙って斬って
脈が打つままに 起こして狙って
眼鏡をはずしたほうが 視界がぼやけて
あのひとのこと 想像しやすいでしょう
誰かの代わりでも あなたなら構わ ....
バケツを持って浜辺に向かい
バケツでそっと盗み出す
目の前に広がる海を
バケツでそっと盗み出す
頭上に浮かんだ夕焼けも
バケツでそっと盗み出す
帰り道の一面の青麦も
バケツでそっと盗み出 ....
朝靄に隠された
乳白色の意識の中
息を潜めるだけで、聞こえる
それが終わりではなく
始まりであることを
裏付けするような
透明と不透明は
限り無く澄みきって
螺旋の配列を
組み ....
いつのまにか
こすもは、すぺーすへと
ぐれーどあっぷ
していて
ぼうちょうをくりかえす
この、これは
どうもとめどない
らしい
これを
あい、とよぶか
かがくげん ....
ねえ、ねえ、ねえ、
ねえってば
こんな感じに甘えたのは
あなただけ
生きることの大切さと
初夏の清清しさを教えてくれた
忘れられない優しい笑顔
こねこのように
ベッドの ....
通勤バスの車内
後部座席から眺める
まばらな人々が
眠たげな朝
( 昨晩わたしは、{ルビ尖=とが}った爪を、切っていた。)
人さし指をのばし
四角いボタンを押す
....
爪の間から
ぼろぼろと、溢すのは
何年も前からの癖
何が溢れているかなんて、
知ろうともしないまま
昔話の中で
お爺さんは呟いていた
その空白にこそ
全ての答え ....
卯の花と牡丹と金盞花
目の下の黒いくまと日焼けのしみと
赤茶けた髪の毛と手の皺の灰と
磨いた鍋底と花の終わったシクラメンと
藤とシャガとあやめと
終わってしまった菊桃と枝垂 ....
僕の世界を書き綴る
世界ノート 世界ノート
答えはなんにも書いてない
正解not 正解not
それでも僕は書き続ける
僕のノート 世界ノート
大きな葉の下から
そっと空を見上げると
とても薄い緑色が輝いている
そろそろ夏が生まれる
風が吹くと
きららとした緑色は
暗くなるけれど
遠くで流れている川の水のように
他の場所で光り ....
時の間に
時を分け
綺麗な 12等分の
パラソルが回る
かわいい雨が
頬をつたう
パラソルが揺れて
闇に落ちる雨は やさしい
きゅう・はち・なな・ろく
時の間に ....