花曇の四月から
薄灰色の雨が零れる
桃や枝垂れ桜の
薄紅のあいだから
無垢のゆきやなぎは零れ
春雷の轟きに驚いてか
ちいさなゆき、を降らせている
その様子は
あまりに白くて
白、 ....
ブーツの中の夜がゆっくりと足音をたて、落ちた
爪先の薬指があるべき方向を差し示し、
質量を伴って引き寄せられる 闇の中へ
あるべき姿を見失った自身の影は、
どのようなラインを描くべきなのか ....
ふと動物園に行きたくなったので
ふらっと電車に乗り込んで
ふらりと向かった
「水曜日は休園日です」
がっくりしてまたガタゴト
帰りの電車に揺られる
電車の中に居る人を眺 ....
いま
{ルビ仄=ほの}明かりの部屋がとても寒くて
ぼくは
コカ・コーラの気が抜けてゆく潮騒の中で
花が開いていくのをじっと見ている
足が冷たく
息の僅かな白さの中に
ちいさな子供だった頃 ....
水を、欲している
のどの ずっと奥のほうで
さかなが泳いでいる
季節が融けはじめていることに
気づいたときには もう
わたしのなかの海は 浄化され
沈殿していた過去があふれ出て ....
朝刊から目を離さずに
気の無い空返事
それは。あなたの得意技
わたしが何を考えていようとも
お構いなし
空気のような存在
親しすぎる関係の果てに待ち受けるのは
そんな空虚さだ ....