JR総武線は今日も素敵な形で走っていて
俺は運転席と客席を隔てる壁に
もたれかかる感じで車内を眺めている
隣ではカップルが終始くだらない話しをしているのだが
ふと見てみれば
女の方はこの世の ....
それはきっと嵐の夜で
鈍色の雨に混じって
空が降っている
寒いね寒いねって言いながら
冷たい体を寄せ合って
天井の無い朝を迎える
硬くなったパンを分け合って
薄いコーヒーを ....
美しが丘5丁目の
Y中学校脇の坂道の頂上で
朝日を、夕焼けを、月を、
もう10何年も眺め続けた
朝日は時に足取りを重くし
夕焼けは時に涙を流させ
月は時に孤独を連れてきた
それでも今日も ....
きっと待っている
一時間だろうが二時間だろうが
必ず 待っている
絶対 待っている

こっちの心を汲み取ることができないときの
無理な笑顔
己が無知を恥じ入るときの
控えめすぎる笑顔
 ....
誠実な嘘で騙してあげるから

死ぬまで一緒にいてくれないか
高い所から見下ろした街には
やさしさ みたいな光が
たくさん走っている
その一つひとつが
ゆっくりと目蓋を撫でて
今日の寒さを忘れさせてくれる
どうしてだろう
遠く離れてみた方が
 ....
突き抜けるような青空に

立ち竦んでしまう私でも

退路は全て遮断してきた

==========

空が本当は何色かなんて

私は知りもしないけど

ただあるがままに受け入れ ....
あなたがあまりに冷たく
私に接するものだから
私はいつの間にかアイスクリームになってしまって
暑さで溶けてしまわないようにと
こうしていつも冷凍庫の中

時々あなたは冷凍庫を開け ....
眠れない朝にあなたを思う


夜を通り抜けて
窓越しに出逢うあさやけは
そこはかとなくかなしい


あなたを抱きしめるだけの日々に
空で時を知ろうとしなかったから
この ....
「歪んだ世界」なんて言うけれど
この街は この国は この星は
一体いつから歪んでいるんだ

例えばこの「美しい国」ならば
戦後以降か 明治維新の頃からか
それとも織田信長の登場以来か
更 ....
祖父は戦争で韓国から強制徴用され
月も眠る夜に専制君主の目を盗み
田舎の山奥の炭鉱を逃げ出した
今は亡き祖父の苦労は想像することも出来ないが
ある頃に祖国の弟にトラクターを贈ったらしい

 ....
空の青を一枚剥がしてみた
それでもまだ空は青かった
私は意地になってもう一枚剥がし
そして何枚も何枚も剥がした

そこには青い瞳をした少女がいて
私の嘘を全て映し出していた
 ....
数年前に買った銀色の灰皿
他にも試したことはあるけれど
結局またこれに戻ってしまうんだな
吸殻が4本も入ればいっぱい

筆箱は大きいほうがいい
そんなにたくさんのペンを持ち歩くわ ....
君は私があげた花束が
造花だということにも気付かずに
毎朝、律義に水をやってる
あなたと二人で話す時
そこに難しい言葉はいらない
まずその前に私は難しい言葉を知らない
大学まで出してくれた
親には申し訳ないけれど
私は未だに世間知らずで
誰かが話すような難しい話題に
 ....
朝は失望の青い匂い
小さなテーブルの上には
ビールの空き缶が並び
頭に鈍痛を抱えたまま
ネクタイを締めて鏡に向かう

寒々しい街路樹を駅へと辿る
前を歩くOLの後姿が
い ....
意地の悪い赤信号に捕まって
またこの街の風に乗り損ねた
こんな時に君ならば
一体、何て言っただろうか

君が好きだった歌を聴いて
あの日の匂いは思い出せるのに
2人の時間は止まったままで ....
繋ぎ合わせた言葉の隙間から
意味が零れ落ちて
ちっぽけな姿を露わにしてしまうから
私は口を閉ざすのだ
空の青が眩し過ぎて
つい瞳を閉じてしまう
そんな風にしていつも
小さな幸せを見逃してきた

あの日の君の心さえ
信じることが出来なくて
差し伸べられた手を振り払い
今ではもう届かない場 ....
こうして私は
詩なんて書いてはいるけれど
本当のところ 
言葉なんてちっとも信じていないのです

全てを書いたと思ったその瞬間から
何も書けていないことに気付き始める
どんな言葉でノート ....
好きな女の子とデートして
「何処か行きたい?」と訊ねたら
「何処でもいい」とその子は答えた
今までの経験上、大概の女の子は
「何処でもいい」が口癖らしい

だけど突っ立っていても仕方がない ....
僕は最近眠れないんだよね…。
なんでかって?
それはさ、それはさ…。
どう言えばいいのか、
僕にもよく分からないんだけど…。
でも、思い切って言ってしまおう!
いや、やっぱり止めておこうか ....
公園の芝生に腰を下ろして
君と他愛も無い話をしていると
右手の甲にそうっと蟻が這い上がる
私は無表情にその蟻を一瞥し
左手の親指の腹で静かに潰す

目の前には無限のような緑
足下は歩き慣 ....
何気ない日々が淡々と過ぎていく
何をしていても
何もしていなくても
そんなことは知っているのに
私は悲しみを持て余すばかりで

いつもは無口なあの人が
今日はよく笑っていた
野に咲いた ....
二人の体は冷え切って
凍えた窓を滴が伝う
君が書いた僕の名前
そっと流されていく

「初めてなの」と
つぶやいた君
愛しくて抱き寄せた
君の肩 震えてた

ささやかな愛を
壊さな ....
地下鉄の駅のホームで
私はずっと待っている
ただ立ち尽くす私の前を
もう何本もの電車が通り過ぎた
しかし自分の本当の行き先を
私は未だに見付けられないでいる

電車はホームに止まる度
 ....
この闇が続く限り

きっとどこかに

眠れない心を抱えた誰かがいて

その誰かもまた

違う誰かを求めてる

私もその誰かになりたくて

こうして今夜も眠れずに

昨日と地 ....
君の化石を
掘り起こして
眺めてみる

化石が
語りかけてくる記憶は
良かった思い出だけ

悪い思い出は
時が洗い流してしまったのか
角が取れ
丸くなった化石

化石は
生 ....
いつか僕らは
宇宙の塵になる
宇宙の塵から産まれ
宇宙の塵に戻る
ただそれだけ
未来永劫の循環活動

今、君に触れている
ただそれだけが真実
宇宙の塵に
また戻ることを知っているか ....
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