ある年老いた男が
山の中を一人で歩いていた
わずかばかりの荷物を
小さなリュックに入れてはいたが
引き返す気持ちは持っていなかった
男は朽ち果てた倒れた木を見つけ
そこに座った
辺りは暗 ....
{引用=*
風の匂いや若柳や小鳥に
こころがひとりでにほころび
つぼみがゆっくり花ひらくように
はるにかぜをひいてしまうこと
くしゅん
*
きらきらした風のなかで
うつ ....
春がきたら お花見に行こうよ
ふたり並んで 桜見て歩こう
哲学の道や嵐山行こうよ
春がきたら 春が来たら...
春がきたら お花見に行こうよ
木屋町通りや 京都御苑行こうよ
....
ねぇ
キミは今更
なんて言葉を吐いているんだろう
キミを傷つけるくらいならなんて
そんな段階はとうに通過してるじゃない
ねぇ
アタシたちはすでに
十分傷ついているじゃない
満身創痍 ....
桜はまだ咲かないね 今日の朝のニュースの話を
君も見てるってわかっているのに ふってみたりする
でも明日から暖かくなるらしいよ それ昨日も言ってたよって
なんだか落ち着かないな 本当に もう ....
鏡は自分にだけは
正直でありたいと思った
常に見るものに
反対のことを教える自分に
罪の意識を感じていた
だからせめて自分だけは
正しいものを正しく見たかった
だがそれは
自分が逆さま ....
柔らかい襞に隔離されたこの場所で
あなたの本音は大きく響く
時折波打つ羊水は
あなたの悲鳴に呼応している
あなたを愛したはずの男は
小さな自分の分身が犯した
罪が証明された ....
唇に雨粒
黒い背広は急ぎ足
これでも
年寄りでも
子どもでもないから
早く終わらせたい世間話
どっちにも取れるため息が
出る
ほら
いつだって
信号は
私の目の前 ....
春だから
春だから ふと風に乗せて
あなたへと想いを運んでみたくなるのです
ここから少し遠くの街で
きっと勉学に励んでいるあなたに
想いを届けたくなるのです
春だから
春だから ....
僕の大好きな貴女は
「もう泣くのは嫌なの金輪際」
という気の強そうな発言を
電話の向こうで言う
でも
目にごみが入ったら涙が出るだろうよ
悲しい映画を見ると泣き出すのはいつものことだし
....