昔からショックな言葉に慣れていた
今では投げかけられる言葉の棘をよけることさえしなくなった
本をいくら読んでも人との付き合い方なんて分からない
人とできるだけ関わりたくない
関わらなければ何も ....
「ねぇ抱いて。」

それだけで良い。

他には何も要らない。

何もしないでいて。





―――御前に其れ以外何の価値が在ろうものか。

自ら鏡を覗き見た事は有るか ....
誰かが云う。

明けない空など無い、と。


誰かが云う。

冬はやがて春となる、と。




―――それならもし、初めから光なんてものが存在していなかったら如何しようか?
 ....
いつもに増して暑い日は、不思議なものが見えるんだ。

さっきも向こうの電信柱に、知らない人が立ってたよ。

声を掛けたら、消えてしまった。


こっちに少し、振り向きながら

目だけ ....
橙の陽に染まる
館の奥の
床に横たえられたわたしの
からだを眺めていて
窓を開けていて
風に踊ろうとするわたしの
ドレスが乱れないように
見張っていて
そこから
流れ出る血が乾き
 ....
ようこそいらっしゃいました。
選ばれし者だけが見ることのできる世界です。
幻覚ではございません。
これが幻覚とおっしゃるならば
普段の世界が幻覚でないことを
証明する必要があります。

 ....
 世界は忙しく陰口をささやくので
 僕は今日もさりげなく諭してやる
 満月の夜
 聞き飽きた音楽を流しながら
 冴えない毎日にバイバイ

 魔法使いは大変だ
 お母さんに内緒でほうき ....
小さな部屋に閉じ込められたくはない
それは風のように空を飛び
時間も
国も
すべてを飛び越え
嵐のように
誰にも邪魔されない
そんな自由がほしい
役職は個人の放棄に近い。
役職で呼ばれて喜ぶようでは。

そこにはあなたという
個性は含まれていない。

「先生」と呼ばれることと
「人間」と呼ばれることは
言葉が違うだけで
同じく ....
毎日絶え間ない頭痛で
世界に膜が張り歪む
堕ちた先に在る温もりは
紛れもない僕のもの

布団に包まって溜息
じわり拡がる体温だけで
幸福を孕んでいるかのよう

今日も生きている
続 ....
先刻から、あたくしの周りだけが酷く煩いのです。



辺りには誰も居る筈のない廃墟。



季節はもう冬。刻は午前三時だと云うのに・・・







誰かが耳許で囁く ....
素面のふりした大酒のみの{ルビ商人=けちんぼ}たちが
貧相で乱れた俺の姿を
{ルビ無料=ただ}で否定するならば
吹笑するより他にない

ケララ ケラケラ ケケラララ

聖徒を気取った薄学 ....
グラスが傾いて
傾いたグラスが床に落ちる
テーブルから床に落ちるまで
床に落ちるまでの一瞬間に
夜はその牙に磨きをかける
夜はその牙に磨きをかける

食用アスパラガスを添えたサラダ
が ....
最近私は 

貴方が死んでしまうような気がして怖い


貴方に宿る悲しみの青い炎は

貴方の命を そっと燃やしてしまうだろう


そして当然のごとく

貴方の美しい屍は 土に還 ....
誰にもおそわらないのに
赤を「あか」と感じたり
風を「かぜ」と感じたり

誰も教えてくれないことが多すぎる
生まれてきたのだ、ということも
きっとそうだ

記憶を移しただけで
生まれ ....
壊してはいけない
それはあなたの存在意義に関する
飾り付けはお任せする

隣を見てはいけない
色なんて物は無い
ただの名称に過ぎないらしいので

自己顕示欲 なんでしょう?
隣を見る ....
明日に吠えろと言われても
酸化した矜持が邪魔だし
干上がった克己心は安定を望むし
理論武装したら脱ぎ方が分からないし
大体、明日は吠えられ慣れているのか不安です。

明日に吠えろと言われ ....
真っ白な 世界に行きたい
一度だけで かまわないから
何もない ただの 白い世界に行きたい

私は 何者でもなくて
白くもなくて
黒くもなくて
中途半端なままに
エゴを 抱き続けている ....
光と影の悪戯な満ち引きに操られるように
僕の足は急いだり止まったり

そして派手に曲がった{ルビ歪=いびつ}な足跡が
僕のたましい

美しい汚れと汚れた美しさの
どちらにも触れながら首を ....
すべては流れてゆく

変わってゆく

すべては

僕の手から

零れ落ちてゆく

どこにもたどりつけないままに

だからここで僕は

虹を歌おう

月を綾どる天輪を歌お ....
診察室は楽園で 白黒ピエロが唄うのさ
受け取る耳は いつしか言葉にならない悦びを

この世の生物じゃないんだろ 翼の折れた天使とか
はぐれた悪魔の落とし子とか それによく似たもんだろ

大 ....
身にしみる傷を証と思うのは残したものの少なさのせい。
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