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脳に転移していますね


ある日
余韻の残らない口調で担当医は言った

丁寧に覚悟を積み上げてきたはずなのに
質問をする私の声は上ずっていた
ひとつひとつ言葉を置くように説明する
 ....
ほどよく乾いた風が
前髪をもてあそんでも
頭の中に巣食った記号は
センテンスのようになびかない

不安が逃げ込んだ空が
どんなに晴れていようと
未来を踏み越してしまった靴は
もう行 ....
雨が降るたび遠ざかった
憎らしくて愛しいあなたの
後ろ姿はもう見えない

季節は容赦なく巡って
人は戸惑いながら巡って
届かない想いだけが残される

さらさらとした喪失感と
ひん ....
蟻だ
物凄い数の蟻だ

僕は
涎を垂らしながら
テレビのニュース映像に
釘付けになっている

パレードだ
角砂糖の数珠繋ぎだ

僕は
指をくわえながら
熱狂と陶酔の蟻の行 ....
忘れ物に気がついて
もと来た道を引き返す

立ち塞がる湿気
項垂れた街路樹
焦げた揚羽蝶
嫌々巻き戻される遊歩道

本当は忘れたままで
良かったのかもしれない

纏いつく濁っ ....
熱を帯びたむず痒さが
背中の真ん中あたりから
尾骨に向かって這い降りていく

机の上の観葉植物の彼方に
白い砂浜が見えたことにして
遠い目をしてやり過ごす

生まれた時から猫背の内 ....
ひんやりと
乙に澄ました器に
シャキシャキと
君が
降り積もる

すでに膝小僧が
溶けかけていた
僕は
やんちゃな眼差しで
それを見守る

じんわりと
熱を帯びた午後に
 ....
うなじに貼りつく蝉の声を
拭ったハンカチの上に


炎天下の用水路に浸した
素足のこそばゆさを重ねて


最後の線香花火が消えた後の
かすれた火薬の匂いの上に


水着の跡 ....
メジルシが多過ぎる街を
さまよい続ける男は
メヂカラが強過ぎる小悪魔に
あっさり魅入られて
メクバリし過ぎた日々を
少しずつ取り崩しながら
メベリし過ぎたときめきを
愚かにも取り戻そ ....
弱さを強さで
コーティングした
直立二足歩行の木偶の坊

愚かさを優しさで
マスキングした
なんとなく文化的な唐変木

心という
自滅回路の中で
思い上がっては落ち込んで

 ....
西瓜の皮の饐えた
匂い

溶けかけたアスファルトの
執着

潮の香りで擦り剥けた
夜明け

逆光の中で振り返った
誰か

何処から剥がれ落ちたのか
皆目見当がつかない
 ....
知らず知らずに
君を刺していた

心の何処かが軋んで
君を刺していた

誰にだって
有り得ることなんだ
僕達は棘を抱えて
生まれてきたんだから

気をつけていても
何処かの ....
先に
想いが渡る

次に
鼓動が渡る

最後に
身体と車輪が
ついていく

川面は
曇り空の下で
もっそりと
黙りこくったまま
10両編成の
小癪なリズムに
渡られ ....
「怒」


怒れ
とりあえず怒れ

開けろ
風穴を開けろ

亀裂でもいい
そこから侵入しろ

浸透でもいい
じっとり考えながら浸透しろ

正義ではない
生活だ

 ....
夏の盛りの
透明な記憶の破片

縁側のよしずの陰の
幼すぎた沈黙

君のちっちゃい手が
大人びた仕草で
泡立つコップを
気まずさの真ん中に
ふたつ置いた

言葉の結び目が
 ....
電車の
先頭車両の
運転席の
後ろに陣取って
景色の中に
割り込むように
のびていくレールを
眺めるのが好きだった

クハ モハ クモハ サハ

駅に
着くたびに
一息入 ....
水飛沫だけは一人前の
まるで推進力がないバタ足で
取り付く島を探し回る毎日

学校の水泳授業を
見学してばかりいたツケが
今頃回ってくるとは思わなかった

後輩の回遊魚達には
軽 ....
あまぐも

垂れ下がる昼下がり

うっかり爪を引っかけたら
鈍痛を引き寄せてしまいそうな



あまがさ

濡れた匂いは嫌い

美味しくない想い出と憂鬱が
しつこ ....
少し大げさに
五月の朝を吸い込んだら
つまらない不純物など
軽々と許せてしまうくらい
気管が心地好くせせらいだ

少し控え目に
五月の朝を吐き出したら
ためらいや秘め事を
うっか ....
橙色の絵の具しか
見つからなかったので
君を描いてみた

夕焼けなんかじゃ
痛すぎると思ったから

青色の絵の具しか
見つからなかったので
僕を描いてみた

海なんかじゃ
 ....
そこに
握り締めていたものが
怒りだったのか
憎しみだったのか
恐れだったのか
あるいは優しさだったのか
まるで思い出せない

たとえ
プライドの端を踏んづけられても
握らない ....
「お世辞」


お世辞を言うのは
下手ではない
お世辞を言われるのが
下手なのだ

流れ落ちるほど
ユルユルに頬を緩ませて
頭の上に八分音符を
乗せてりゃいいものを

野 ....
憧れ方が
悔しがり方が
思いつき方が

諦め方が
知りたがり方が
傷つき方が

話し方が
淋しがり方が
食いつき方が

愛し方が
懐かしがり方が
嘘のつき方が

標 ....
ひとつ先のコンビニまで
遠回りする
ガムの味がしなくなるまで
遠回りする

はにかむ放置自転車
居眠りするガードレール
さえずり合う人の影
能天気に踊る前髪

温んだ街の喧騒が ....
人のこころは
おそらく丸い

誰かに
支えられなければ
何処かに
転がっていってしまう

ころころこころ

人のこころは
おそらく丸い

どんなに
縛りつけたところで
 ....
街の
人の

屋根瓦を
頬っぺたを
ボンネットを
ランドセルを

街の
人の

やわらかいところを
かたいところを
親切なところを
依怙地なところを

つついて
 ....
どうして見えないのか!

早咲きの桜の下に
噴水の飛沫の先に

賑やかに降り積もっているのは
詩ではないのか?

どうして拾わないのか!

膨らみ続ける蕾の上で
ベンチで踊る ....
厚手のコートを脱いだら
するららと
時間が落ちて
あなたに一歩近づく

梢の蕾がふくらんだら
するりりと
時間が落ちて
あなたに半歩近づく

約束の日は近くて遠い
ほんのり焦 ....
昨夜の口喧嘩の
後始末もそこそこに
降り止まない雨の中へ
ぼんやり歩き出す

昨日より重い靴底
視界に覆い被さる雨傘
押し黙ったまま濡れる自転車
舗道にすがりつく安売りのチラシ
 ....
取るに足らない枯木に
カシミア混の古いコートを着せて
目抜き通りのほとりで
タクシーを拾おうとしていた

通り過ぎていくのは
回送の名札を得意気につけた
ハイブリッドな北風ばかり
 ....
吉岡ペペロさんのnonyaさんおすすめリスト(214)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
その日- nonya自由詩28*12-11-16
毎日が木曜日- nonya自由詩16*12-10-19
心が空いた- nonya自由詩24*12-9-26
パレードには行かない- nonya自由詩29*12-8-22
残暑- nonya自由詩21*12-8-16
背の虫- nonya自由詩19*12-8-12
カキ氷- nonya自由詩18*12-8-9
盛夏- nonya自由詩18*12-8-4
- nonya自由詩20*12-7-28
ジブン_(_ヒト_)- nonya自由詩21*12-7-21
鈍痛の南側の季節- nonya自由詩22*12-7-18
- nonya自由詩19*12-7-14
鉄橋- nonya自由詩25*12-7-9
刹那的発泡詩_<_2_>- nonya自由詩22*12-7-1
サイダア- nonya自由詩24*12-6-27
クハ_モハ_クモハ_サハ- nonya自由詩24*12-6-23
バタ足- nonya自由詩23*12-6-17
あまがみ- nonya自由詩20*12-6-3
朝_(五月)- nonya自由詩27*12-5-12
絵の具- nonya自由詩22*12-5-10
げんこつ- nonya自由詩31*12-4-19
刹那的発泡詩_<_1_>- nonya自由詩26*12-4-7
センス- nonya自由詩22*12-4-1
遠回り- nonya自由詩24*12-3-29
ころころこころ- nonya自由詩23*12-3-24
光の点描- nonya自由詩19*12-3-20
詩っ!- nonya自由詩22*12-3-19
砂時計- nonya自由詩21*12-3-3
表面張力- nonya自由詩28+*12-2-25
春のタクシー- nonya自由詩20*12-2-18

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