すべてのおすすめ
大草原の中で
馬と暮らしたいな
森の中で
狼と暮らしたいな
暖炉の前で
猫と眠りたいな
わたし
疲れてるんだな
空を黄土色に染めたと思ったら
一度だけ雷鳴を響かせて
通り過ぎた冬の雨
なんて足の速い雷神様だと感心しながら
窓を開けてベランダに出てみる
後姿を見ようと身を乗り出したら
忘れ衣の ....
最後に故郷に帰った日
灯台に座って
風に舞うとんびを
いつまでも見ていた
神様の木のてっぺんに
命を抱えるとんびたちは
巣に近づくと魔法の笛を吹く
目が回るほど
螺旋に ....
古い温泉街の
しめやかな抜け道を思い出す
真上から照らされる焼けた道は
傾いた屋根の
濃い影ができている
つぶれかけのタバコ屋の角に
赤茶けた古いポストがあって
その手前を曲 ....
朝が
気持ちいいことも
夜が
切ないことも
ぜんぶ知ってる
生きていると
知りたくないことも
知ってしまうものだ
いいなあと思うのは
いつもつまらない地味なもの
特別じゃないありふれたもの
あなたの声や
地面に映った夏の葉影や
洗濯されてぶら下がってるチェックのシャツや
音のない雪の夜
生き ....
宵闇 白い息
ナトリウムランプの
並木道
ぼんやり明るい
冬の道
人や車のはけた道を
猫の影だけが
ゆっくり横切る
いいなあ
ランプの精が
炎をジャッグルしながら
....
しんと凍る大気の中
思わず足を止めた
鮮やかな赤い実は
雪ウサギの目
誰が作ったのだろう
儚げで美しいものだな
いつか溶けることも知らずに
可愛らしく私を見つめている
尖った月を見上げて
寒さに首をすくめた
枯れた街路樹の枝のスキマから
冬の夜空が広がる
凍った街灯がぼんやり
あなたの影を映す
鋭い月を背負って
あなた怪物みたい
優し ....
優しさゆえに
幸せになれない気がした人は
優しさゆえに
「幸せやで」って笑う
足の爪に
塗っておいた海が
夏のどこかへちぎれて消えた
地図の上をなぞる指が
コーヒーの匂いをたどって
最果ての島に着く
ふと顔を上げれば
見慣れた街並み
寝過ごした朝のよ ....
愚痴を言う人を
心配はしない
吐き出してまわりを不快にしてでも
自分は楽になりたいという図々しさがある
むしろ心配なのは
愚痴を言わずに耐えてる人なんだ
魔法使いが
ドライバーを手にやってきて
雪原を走る夜汽車を止めました
壊れた換気扇の交換
最後に頑張って回る姿が
とても可哀相で
「よく頑張ったね」って二人で言いました
私た ....
邪悪な自分が
恐ろしい
闇に埋もれた暮らしがイヤで
太陽の下に
憧れたのに
普通がいいって
普通を選び
普通だなって がっかりしてる
闇が近づいて
満ち潮のように
音もなく
あたりを沈める
冷たい空気に
体を震わせて
やっと夜に気づく
なんという 孤独だ
何か
大切な物が 欠けて
情緒が欠落している
月に
力を
借りただけ
魔力が落ちないように
ヒトを
食っただけ
だから どうした
眠れない夜だったから
架空の国へ出かけた
王位継承
森の魔物
結界の霧雨
本を閉じると
外も
いつのまにか雨
この雨が結界なら
私も連れ去ってくれ
見わたす現実の
....
掃除も料理も嫌いだけど
洗濯だけは好きで
洗濯物がよく乾くから
夏が好きだ
洗いたての洗濯物を
ひとつひとつ太陽の下に干すとき
いい匂いがして
気持ちよくて
カゴの中身が宝物みたい ....
西瓜の産地が
北上していく
夏が通り過ぎるのを
毎年スーパーで見かける
多分、今年最後の
西瓜を食べながら
高校野球の
決勝を見ていた
季節というのは
うまく出来ていて
....
綴る 言葉は
うちなるもの
枠の無い無限の大地も
心には持てるものを
空でなく
海でなく
大地でなく
私は 貴方という
果てしない宇宙を
心に綴ってゆく
いろんな感覚が錆びて
緩やかに死んでく
街に出れば疲れて
ヤキがまわった、なんて
ぼんやり思う
頭に魔法の欠片が残ってて
誰かに秘密を教えたくなるが
その呪文はおそらく
言 ....
完璧を求める心ほど
少しの歪みが許せずに
破壊的になるけど
人は
曲がったり
間違えたりして
整わなくても良いんだ
整わないから
かすかなたわみの中で
呼吸が出来てい ....
人差し指を
口に押し当てて
シッというポーズをした
サイレンサーで
撃ち抜かれたような
痺れがきた
午後の図書館
土砂降りの雨を見ると
あの日を思い出す
鮮明な夏の一日
雨の中
泥だらけになって
野球したよな
ずぶ濡れになるのが
めちゃくちゃ楽しくて
笑い死ぬかと思った
お前とは ....
許しは請わない
愛してないわけではなかった
だけど
許しを請うても許されない
愛がいつも
お前たちを包んだわけではなかった
届かない荷があって
時の河を越えていく
お前たち ....
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