ろくがつの洪水の夜に
しばらくぶりに泳いでみたが
溺れるすべを知らない僕は
たいへいようおうだん
とうとう魚になってしまった
今となってはもう
せめて、魚大好き!な君に食べられたいと
だ ....
小さな傘だけど
お前ひとりくらい入れるぜ
俺は
何も話さないかもしれない
俺は
前しか見ていないかもしれない
でも
お前を濡らさないようにする
持ってな ....
あほう
からすが
俺をみつける
てんてんとはしくれを伝い
屋根に字を書いた
硬いくちばしで
盗まれぬようにと
視線を気にし
おまえら
影より黒いじゃないか
瞳の中にさえ
....
子供の時に付けたルゴールが
こんなにも大人になってから染み出す
小児科の匂いだ
私の喉からは
子供の時によく連れて行かれた
お医者さんの匂いがする
とても体調が悪い
母さんは
....
解放されたからだで
地面を舐めてから飛ぶんですよ
地面の味を覚えてないと
きっと降りてはこれないからね
鳥は飛ぶ必要があったんですよ
飛ばなきゃ生きてはいけなかった
あなたも飛ぶ必要があれ ....
思いがけない玩具から
いくつも朝が現われる
適度にすすけた声からは
何羽も鳥が飛び立ってゆく
現われては消え
融けこんで
小さく小さく また現われる
朝も 鳥 ....
でっぱらない 私
仲間と入ったレストランで
おんなじものを食べて
美味しいと騒いでる中で
一人だけ
まずくて食えないとは
言えない
まあ 好みは色々だからねえ なんて
誤魔化したつ ....
3つどれでも228円という
お得なラーメンを買った。
☆ヒラーのおはなし☆
しばらく歩くと
雪をこんもりかぶった
ポストと会ったので
袋のまま口に入れてやった
ゴショ ゴショ
....
ぼくららららの東京音楽はスピーカーから
店内のボーズが屏風に上手に絵を描いて
店頭のラジカセの上にカラスでアーアーと鳴いて
例えばその街には かわいい人も悲しい猫もいます
ひるがえって部屋 ....
キャラメルを舐めたらボンタン飴だった。
そんな午後。
矛と盾で「矛盾」
結構、最近まで気づかなかったのよねぇ。
カラメルとキャラメルの違い・・あるのか。
....
支柱にくくりつけられたブランコが
凍りついた蜘蛛のように空を見ている
荒れた鴉の羽の朝
外灯に雪は群がり
連なる柱を傾けている
曇のなかの雫の陽
道を分ける蒸気の壁
ふた ....
ねえ私はお箸うまく持つこと出来ないんだけど
それでいつもスプーンでたべてんだけどさ
昨日、あんた唇がふれたら黙った だまった なんでだ
びみょうになるな
微妙になるなよな
ただ私にお箸を ....
がたんごとん
がたんごとん
随分と長い間
揺られている気がする
騒音にすっかり慣れ親しんで
静寂の中ではきっと暮らせない
窓の外が良い具合に湾曲して見え
それもまた楽しい
....
工事現場の
オレンジと黒の看板の上で
蛇のように這った赤のランプが
入れ替わり
点滅してた
土の山に停まったショベルカーが
深呼吸して
街の明かりはほとんど
....
起きたら
三島由紀夫だった
下唇を噛んだら血が出て
三島由紀夫の血はこんな味なのか とか
白くて小さめの歯は けっこう硬いのだ とか
会ったことないのに懐かしむ
せっかくだから ....