恐いものなど
一つも無い
恐いものなど
僕
夢見る術を知ってる
空を飛ぶことも
愛すべきこの街に
このアスファルトの道に
自由に白線を引く
方法も知ってる
フ フ
....
僕の黒いノートの表紙に
ときどき
窓が出来ていることがある
その向こうで
君のかなしみが
淡い落下をいつまでもつづけている
(背景はいつも夏の
{ルビ誰彼時=たそがれどき}か
{ル ....
黄昏だけを掻き抱いたんだ
わかってもらえるかな
あなたがむかしひいてたアイライン
その色を選んだのと同じ理由
この気持ち
それを伝えたくて
「空は太陽を愛して、そ ....
蝋の羽根を手折って
身体ひとつ飛べ
陽に灼かれて墜ちたなら這ってでも
光に眩んで盲(めし)いたなら 耳を立てて
澄まして
心音を聞いたなら行け
望みを抱 ....
賢しい男であった試しはなく
理性と欲望の区別すらつかなく
1、2、3、4、
千鳥足
認識
認識
この通り
無知の極みはその通り
5、6、7、8、
目も ....
ラジオをつけると
聞いたことのある曲が流れていて
愛とか希望とか自由とか
そういったことを叫んでいた
壁に掛けてある絵は
何の絵であるのか解らなかった
右下の隅に小さな文字で
ユリネ ....
アドリアの真珠
烏羽玉
饒舌な罪
無限階段
閉鎖
欺かれた空間
尾を咥えた蛇
厳かな闇
畏怖された光
美しい入り江
消し去られた物語
テ ....
夢はまっくらだった
時折水面が光る
あぁ、川だ
笹が沈みきれず、流されてゆく
・・・短冊になにを書いただろうか
....
水に流すは あなたのいたみ
流して晴れぬは わたしのおもい
春なら雛に のせましょか
夏なら精霊に のせましょか
秋なら紅 ....
あなたはすっかりひろがってしまって
異常透明のあきぞらを
霞ませるだけの実態すら持たないらしい
昨日のゆうぐれ
おはようございますと挨拶しながら
工場のエアシャワーを浴びたとき
唐突に ....
あなたがいなくなってから
私の書く詩は
あったかくなったと
ひとが言う
あなたに向けられなかった
優しいきもちは
今になって
紙の上に溢れている
滝のように
伝えるべ ....
夕涼みに飽きて
地平線へ君を沈めた
ぬくもりと共に沈めた
幾つもの日々を沈めた
夕涼みに飽きて
突き抜けた夜の先を想った
ぬくもりを求めて
冷えた心に息を ....