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朝起きたらまず
しゅろの箒で部屋を掃き出す
すると部屋の隅々から
夢の中で捕まえそこねた小人や
夜のうちに死んだ蝶々などが
硬くつめたくなって出てくるので
プラ ....
何十年も
他人の話を
盗み聞きしてきたソファに
座ってみた
革はただ
つやつやして
知らん顔して
深く深く
うけいれてくれた
でも
今日は
盗み聞きできないよ
だってわたし
独りで座ってる ....
焦点をぶれさせるため朝はある 指のすきまに宿る色彩
眠り明け 耳鳴り低く響くので 夢のはしから余白を殺す
むしられる前のつぼみに似たひとの、首をしずかに傾けるさま
唐突に遠さ ....
捨て猫に飼われている
私は 捨て猫に飼われている
飼われているから『捨て人』ではない
飼われ人なので
そのしるしに首輪をつけている
鈴もついてるので歩くたびに
リンリンと鳴 ....
あの人が眩しく見えたのは
わたしが光に弱いだけで
あの人が美しく見えたのは
わたしが色彩に弱いだけで
あの人の言葉にクラクラしたのは
わたしの心が欠陥建築だったのであって
いえ
きっ ....
「おーにさーん、こーちら。」
「てーのなーるほーえ。」
何気ない遊びも。
いつかは、勝利者。
いつかは、敗者。
いつかは、片思い。
いつかは、親友。
いつ ....
名、をつけて、指間からこぼれ落ちる、もの、そこまで愛せ、そこまで愛せ、よ、
彼はいろ我はひかりか 赤青黄おなじ要素で対極に立ち
半分の顔で笑みたるその闇が満ちて怯えん君温け ....
おしまいは
呆気ないね
今しがたまで注いでいた目線を
手元のカップに移して
囁くようにあなたが嘆いた
続けてのため息は
ほんのり紅茶の匂いで
外には
すぐそこに夜がある
北西 ....
そうです
あれがゾウです
あの巨体の半分は
「優しさ」で出来ています
あれはキリンです
あの長いくびは
星をたべるためです
いいえ
あれはゴ ....
寂しい気持ちが居座って
なかなかお帰りになってくれない日は
意地悪な人のふりをしてキッチンヘ
「今日は、アボガドサラダを作ることにします」
まっぷたつに切ったアボガドを左右にずらし ....
湖の絵葉書が届いた
大して親しくなかった人からだけれど
きれいなので捨てられない
大して親しくなかったけれど
その人を思い出す
お互い積極的に話しかけていれば
きっといい友達になれ ....
弁当を開けると
中に海が広がっている
故郷の海のように
凪いできれいだった
朝の静かな台所で
君がどんなふうにこれを作ったのか
想像しようとしても
後姿しか目に浮かばない
帰れ ....
1.
かみさまはいるよ、
って
教えてくれた人は
もうすぐ死んでゆく人だったけど
それは黙っておいた
だって、あいしてるんだ
2.
きのう、かみさまを見か ....