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港町にて箱に入り
眠ろうとしていた

メトロの船が
あなたを連れて行った夜

ずっと見ていた
小さな光

あれから
光合成を求めて
もがいた日々

傷だらけの背中
涙を流す ....
あなたがなげた 紙飛行機。
十一月の 校庭で、
ふわりと浮いた 魔法みたいに。 
飛べ! そうあなたが命じると、
あっというまに クスノキの、
いちばん上の 枝より高く、
もっと高く 舞い ....
それは何処か 
消化不良の感情に 
少し似ていた 

不恰好に千切られた{ルビ蒟蒻=こんにゃく}達は 
それぞれの皿に逆立ちして  
晩の食卓に並んでいた 

  
 午前一時 机に肘ついて 見えない国道を眺める
 建物の奥には陰険がある そして街中にもそれはあった
 ブランコをこいでるときに 
 どこか知らないとこへ飛んでしまうおそれなんか抱かなか ....
コンクリートの隙間へ
手をひたすとき、

かなしい人魚の
ほほえみが
過ぎる

その、
行方を追いかけやめた目の
放ってみせる空には
青のにじみが
よく似合う



 ....
なにひとつ 同じでいることのできない私が
潮に洗われている
洗われているのは 海なのか 私なのか 

あなたの口ったら おさかなみたいに うごいて
「ほら みてごらん海蛍だよ」と、教えてくれ ....
赤い血なんかたぶんうそだろう
ぼくはそれを見たことがない、ぼくはそれを
それを見たことがなくて
頭を掻きながらぶつくさ言ってばかりいる
赤い血なんかたぶんうそなんだ
信じられ ....
無いものは無い
で済ませたい
欲しがることから今夜
卒業します
この小瓶で最後です
相変わらずわたしは荷物が多い

どこかからどこかへ、なにか必要なものを、過去になった場所から現在生きている場所へと運んでいる


大変に邪魔な荷物と夕暮れすぎの中央線。

昔々にオーダー ....
キミが得意なカルボナーラ
てっぺんにポコッて黄身がのってるやつ
僕はその光景が味と同じくらい好きだった
『キミは料理が上手だね』
と誉められると決まって
『キミって呼ばないで』
って怒られ ....
暖まってきた空底をゆきかう
つららとのびた水面の宿り木

てん てん
おちて 

なぞらずに許してくれる
しまい忘れられて
陽に 壊れていく冷たさ

包まれてしみこむ
沈黙の前
 ....
海野小十郎

きみ子        宮房さのみ作曲
           海野小十郎作詞
停留所、待っていた君の
横顔、どうしたの
待っていたんです
さっきから
とっても嬉しかったん ....
マスマイ
マスマイ
ナリマスマイ
生キテユカネバナリマスマイ

ツラクテ
ツラクテ
悲シクテ

詩ヲ書キ
絵ヲ描キ
泣キナガラ

マスマイ
マスマイ
ナリマスマイ
生キ ....
何かがちょっとおかしい
あなたも
わたしも
穴の開いたバケツで水を汲んでるみたい
すくってもすくっても満たされないの
何かがちょっとおかしい
あなたも
わたしも
空が燃えた、瞳が赤、涙

キリンは夏の数え歌、オレンジ

白いドアが砂漠に夢を撒き散らす、虹、雨上がり

水溜まりに写った未来に見とれた君がたまに見せるその表情

俺は死んでもいい

口の中に残るねっ ....
ぼくは彼女と校庭で
たったひとこと言いたくて
彼女はぼくと校庭で
たったひとこと聞きたくて
ぼくと彼女と校庭で
染まってたよね
たったふたり
きょうはちゅうしゅうのめいげつ。

まんまるなおつきさま。

ぼくがそこまでたどりつくのにあとなんねんかかるの?

ぼくがひゃくぱーせんとのぼくをさらけだすにはあとなにがたりないの?

 ....
 



 
人が何かを捨てるのはね、
もっと大事なものを拾いたいときなのよ、
捨てる勇気もないのに拾いたいものばかり思うって、
それは夢とは言わないわ、

妄想というのよ。

 ....
あなたがいた
ある午後のことを
ただ
あおいビー玉と
して


ふと
体をわるものと認めたら大人になり
わるさがすでにこころに及んでいることに
気付くころには、あ、 ....
憂鬱な部屋の片隅で
身勝手な思いを走らせる
優しさを突き飛ばし
悲観に暮れる毎秒を
皮肉混じりに励ましては
動かない表情を差し出した


大人の為りした子供
呆れて言葉もでない
情 ....
ひさめがとけて
しづくになった

あなたは
笑う

いとしいと云って
いとしいと謂って

息をすって
すべての酸素を
吸い尽くすように

あなたの分すら

いとし ....
とじたふくぶの所々にぬらめく私の臓器、とても愛苦しそうに斑点模様のあかぐろくろずんだとびら、ワインの味がしみたドアノブ、明かりのスイッチは、どこに、あるの、白い電話機が鳴る、そのボタンのイルミネー .... オレンジジュースをコップに入れて
飲んでいる時、貴方の顔が
僕の頭にぶつかった
でも君は平気!と何もなかったように

君の部屋にはアマリリスが2つある
クロネコヤマトで配ってあると言う
 ....
朝起きて
台所
ざくざく ことこと
朝食を
じゅうじゅう かちゃかちゃ
おべんと二つ
君はすやすや夢の中

ひどい
ひどいね
ひどいよ
君は


帰宅して
晩ごはん
テ ....
調子はどうだ。
大学には慣れたか。
都会は楽しいか。
食事はきちんととってるのか。
父さんは心配だ。

ダイエットもいいが
野菜と肉も食べろよ。
風邪引くぞ。
たまには実家に帰ってこ ....
ぼくはまた、
何も生せなくて水を求めるばかりか。

 水をください、舟を洗うから ぼくが
 飲むのではありません。ぼくは
 ほとんど飲まない。
 砂漠で生まれたからです。


    ....
アルコールの力を借りて
こじ開けようとした世界がある
無理にこじ開けようとしたんだ
その度に嘔吐して
のた打ち回る
もう少し
もう少しだったのに

強力な抑制効果で
頭痛がしてくる
 ....
汚れのない響き 細かく震える音
その弓で 僕の魂も奏でて欲しい

唇に そっと指をのせてみたい
僕のタクトで 思い切り鳴かしてみたい 


ベートーベンも ワーグナーも きっと君に惚れて ....
胎児が 私の心臓を 小さな小さな手で 優しく撫でている

わたくしと 胎児の 太陽ふたつ。

わたくしと胎児の小さな宇宙で  

天上で音楽が鳴り響いている、

太陽の鼓動、

つ ....
{引用=映写機の音がする}



彼は 人のいない小さな劇場の

 古く湿った 客席に座り


 白くぼぉっと光るスクリーンを見つめる




 {引用=ただ、かたかたと廻 ....
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