ようするに
私はひどい
おくびょう者で
「貴方が好きだ」
などというたった
七文字の音ですら
うまい具合に言葉に出せず
それを誤魔化さんとするために
長々と詩なんてものを書いているので ....
青や緑の絵の具を
うすくのばして
あの透明をあらわそうとして
さっきから
なんども失敗している
{引用=
手をひいて
石を渡る
ぬらりとした光沢に滑らせた足を
からだごと、ぐいと引き ....
夏だというのにコールテン
それに草履をつっかけて
尻のポケットに煙草と籐村
緑色の国鉄に乗る
大塚などという細かく単純でない駅で降りたりして
俺は手ぶら
スーツは暑いかい
鞄は重いかい
....
右手と左手は私を庇った
夏の風が苦しくて しゃがみ込んで目を伏せた
風が止んでふいに目を開けると
波の上で躍ってる銀色の光が 近づいてくる様な気がした
その風は優しかった 気付いたのは日が暮れてからだった
流星群のようなどしゃぶりの下
みるく色の傘のおんなと
革靴を濡らして駆け寄るおとこを
われらはまるで永遠のように見た
ことばは ときに うらはらで 正反対を 表す 。ことばに 誠実性を 求めるのが間違い 。ことばは うらはらです 。
再加熱された論理の中に
探しているものはありませんでした。
こどもはいつのひか
すぐそこにあるしんじつをみないように
つとめるようになって
ぼやけたみらいにぼやけたしんじつを
さがすよ ....
彼の目は
像をまあるく切り抜いて
切り抜いたまあるの淵は
切れそうなほど鋭くて
(声)い
{引用=
夜中に眼球が旅をする話を知っているでしょうか。
主人が眠りにつくとすぐ ....
校長室には牛がいました
校長先生の牛でした
健康に育ちました
たくさん話かけました
ある日牛が大きなあくびをすると
校長先生はその中にとび込みました
牛だけが後に残されました
旅 ....
{引用=
きみと
ぼくを
たして
にでわると
おんがくのかたちになった
}
{引用=一、くじらヶ丘
口に出してごらん
うるおい、と
その
やわらかな響きは
途方もなくひろい海の
すみからすみまで
満ち満ちてゆくようなものではない
干 ....
水が
光のように満ちる
その上に折鶴を浮かべ
はるかなその波紋を数える
ぼくは詩を書きたい
楽しむことに一日を使うよりも
楽しめるものを探すことの方が
その一日は長い
今日もまた
朝の散歩をしていると
向日葵に出会いました
そこには
たくさ ....
バラが咲いた
灰色の地衣類コンクリートブロックに這い上がる
暗い庭に真っ赤なバラが
古い光が正午前の短い時間に射し込んで来る
祝福の時間は短いほど真摯だ
寂しかった僕の庭にバラが咲い ....
晴れわたっていた
ページをめくるたびに
空はその青みをまして
澄んだ悲しみのように
雲ひとつ見つからない
その向こう側から
誰かが僕の名を呼んでいる
今朝旅立つことは
すでに決めていた ....
幹さん、
どうでもいいですけど
高円寺のキャバクラで詩人っていう名刺配りまくるのはやめて下さいよ。
大将二号店で2本目のつくねをほおばりながらキムがつっけんどんに言い放った
どうでもいいけどキ ....
でもね
ショッカーにもママがいるのよ
って教えてくれた
幼稚園のさゆり先生が
交通事故でびっこになってしまったと
ママが教えてくれた
ボーイフレンドのバイクで事故ったのだ
ランドセル ....
人の嘘で
鳥は空を飛ぶ
鳥の嘘で
ドアは人を
閉じ込める
ドアの中で
人は鳥を
飛ばし続ける
+
いつも
三人なのに
いつも
八等分
してしまう
+
....
ミルクが欲しい1歳は
男が欲しい21歳に
あっけなく捨て去られる
新しいゲームソフトが欲しい12歳が
プラダが欲しい32歳の
財布から金を抜き取る
夢が欲しい33歳は
安定が欲し ....
若く情熱があり頭の回転の早い人たちは、はやく自分が何者であるかを定義したがる
早く世界に出て自分の態度を説明しようとする
どれだけ自分が一人前であるのかを社会に認めてもらおうとしている
分かる、 ....
外で誰かが ドアをドンドン叩いている
そのあとにありえない音がする
最近同じ二階で引っ越していった中国人がいたのを思い出す
この前アパートの消火器の箱を開けたら包丁が入っていたのでうちで ....
倉吉病院にきちがいを連れて行くと5000円もらえる
倉吉病院の裏山には隔離施設と秘密の沼と竹林があって山を越えると
東伯郡になって梨園に出て夏になるとおいしく食べられる
竹林の奥の井戸のトタン板 ....
吉岡君
電車の中で思わず声をかけそうになった
よく考えてみれば
こんな時間、こんな場所に
吉岡君がいるはずもないというのに
あの日と同じ顔
学生服のままで
そんな僕はまだ
....