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ジャンプして
空の高さをめざしていた
虫たちの翅が透明になった


さみしいね
ぼくたちの夏が行ってしまうね


とうとう本も読まず
砂だらけの栞を挿んだままで
ぼくたちはまた
 ....
夏は
山がすこし高くなる
祖父は麦藁帽子をとって頭をかいた


わしには何もないきに
あん山ば
おまえにやっとよ


そんな話を彼女にしたら
彼女の耳の中には海があると言った
 ....
見上げれば星屑が眩ゆすぎて
さすらえば闇が深すぎて
若いぼくらは歓喜で眠れなくて
そんな国があった


言葉でもなく指きりでもなく
確かめ合った
赤い木の実を食べて
甘い草の根をかじ ....
わたしたち
流れて
真夜中の水になる
あなたの喉をやさしく潤して
そっと
夢の中にしのび込む


水は落ちてゆく
あなたの肩から腕をなぞり
そして
温かな水の中へと
導かれて
 ....
ずっと向こうの
そのまた ずっと向こうの
背中の海で
泳ぐひとがいる


しずかな潮がつぶやいている


わたしたち
泡ぶくだったのね
小さな水とたわむれて
いつか
生まれた ....
その本を開くと
ガラス玉のような星がこぼれました
しみだらけの古い本です


星を見失わないために
すべての星に名前が付いていました
本にはページがなかったけれど


ページをめく ....
雨が降ると いつも
あまだれをじっと見ている
子どものままで
いまも


樋の下でふくらんで
まっすぐ地面に落ちてくる
あまだれ 一ぴき死んだ
あまだれ 二ひき死んだ
あまだれ い ....
古い家の
納戸の隅とか仏壇とかに
小さな暗やみがいっぱいあったけれど
おばあさんがいつも座っていた
土間につづく台所にも
深い暗やみがあった

その暗がりに何があったのか
覗いたことも ....
コップに水を満たす


ごくり
夜のなかにひろがる
水域


遠い水を飲みこんでは吐き出す
夢のそとへ
背泳ぎで渡る


水が満ちる
遠くまで水が満ちる
とう ....
室生犀星の『我が愛する詩人の伝記』を読む。
その中で、立原道造のことを次のように書いている。
「彼は頬をなでる夏のそよかぜを、或る時にはハナビラのやうに撫でるそれを、睡りながら頬のうへに捉へて、そ ....
この日ごろ、季節の風が吹くように、ふっと立原道造の詩のきれぎれが頭を掠めることがあった。背景には浅間山の優しい山の形が浮かんでいる。白い噴煙を浅く帽子のように被った、そんな山を見に行きたくなった。
 ....
ゆうがた
ひとびとの背がかなしい
ひとびとの背を超えてゆく
魚がかなしい


水が均衡する
まずめどき


幻想の水をしなやかに
幻想の魚がおよぐ


しのびよる色が
 ....
きょう
ぼくは少年だった
両腕をいっぱいに伸ばして
いちにち
空を憧れていた

ぼくのノートは
かなしい文字でいっぱいだ
さようなら
さようなら
みんな さよ ....
雨あがりの道を母と歩いていた

虹だ
おかあさん
虹だよ

ふりむくと母はいなかった

手の感触も覚えていない
母はよく左の胸をおさえていた
あれは母の癖だとばかり
思ってい ....
近くに小さな森がある
魔女も赤ずきんちゃんもいない
妖精も小人もいない
むろん南方熊楠もいない

サワグルミの木がある
トチの木がある
両手をまっ黄色にしながら
固くて苦いトチ ....
石瀬琳々さんのyo-yoさんおすすめリスト(45)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
虫たちの消息- yo-yo自由詩7*07-8-24
つくつくぼうし- yo-yo自由詩23*07-8-17
きみの国を探している- yo-yo自由詩12*07-8-10
流れる- yo-yo自由詩8*07-8-3
背中の海- yo-yo自由詩9*07-7-27
星の本- yo-yo自由詩13*07-7-20
あまだれ- yo-yo自由詩12*07-7-13
夏は、山の水が澄みわたるので- yo-yo自由詩16*07-7-6
水域- yo-yo自由詩9*07-6-29
若き詩人の手- yo-yo未詩・独白6*07-6-22
ひとよ_昼はとほく澄みわたるので- yo-yo未詩・独白4*07-6-15
ゆうがたの魚- yo-yo自由詩18*07-2-16
ぼくは少年だった- yo-yo自由詩12*07-2-9
- yo-yo自由詩606-7-20
Into_the_Woods- yo-yo自由詩5*06-5-30

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