蛙の学校では、生徒たちが歌声の大きさを測られている、太陽は
乾ききらない血の色に染まって、もう四角になってしまいたい、
夕焼けは蛙の先生を慰めることはできない、助けてください、の
叫びは、鳩たち ....
「『たたかう』んだよ。」
生まれて初めてRPGゲームというものをやった私に
見るに見かねた兄はそういった。
ブラウン管に広がる広大な異世界を前に
右も左もわからない私は
兄の言うがままにカー ....
鍬が土を耕す音が どこかから聴こえる
(ざっくざく) (ざっく)
長靴が玄関に放って置かれている
雲雀はもう鳴かない
当て所もなくさまようだけが
僕らの権利になる日が近い と
ふらついたヒ ....
私は瓶の底で
静かに沈殿している
焦げ茶色の液体に{ルビ塗=まみ}れて
歪曲した夕日ばかりが
私の唯一の慰みになり
頑なに拒んだ日はいつだったのか
もう思い出せはしない
幾ばくか ....
天使の胎内の世界で私達は
楽園を希求する、完全なハーモニーを
屑篭に堆積した睡眠薬のシートや
血の斑点で汚れたティッシュ、空のアンプル
其れは私達の詩の産湯だ
神父の死後の、祝福の欠落し ....
ああ、たまんない、二つの体・カラダ・身体峰一番上がったおっぱいのないよい身体は、線を武装させ、それは染めている若い肉夏色に汗をかかせ、それは、腹筋のもとでのくねくねしたものが、ああ、困難な筋肩の筋肉を ....
どんな呼吸をしようか考えていたら
肺のひとつひとつが切なくなって
僕はため息をついた
生きるために生まれてきた
それだけでよかったのに
人は人を殺 ....
流行性感冒になったまま
廃棄物処分場の見える小窓の角の
名前も知らない虫の屍骸を睨む
新しい靴はまだ買いに行けそうにもなく
何がしか捕食しなければならないが
手足はとっくに死んでいる
....
神や天使は
私を救うのを忘れている
死神や悪魔は
私を殺すのを忘れている
忘れられるのが辛いから
誰とも関わらない
私は惨めで醜くくて
時代はしらけてしまってる
人類の ....
壁の無い部屋。隅っこに落ちているフライパンには
38口径の歯型が付いている。夜毎、俳優達の頭を
ハンマーで叩いてまわるという老人。彼にありったけの小銭を渡せば
修理してくれるという。
(喪失の物語)
一人きりで出かけることのないよう
常に用意周到に手筈を整えていたのに
この日に限って
使える者はだ ....