どんなに濃い風が吹いてももう思い出みたいなものしか書けなくなって、
名前はもちろんその表情、片側に多いほくろや厚い手のひら、
柔軟剤の匂い、街の音も乗り換えかたもぜんぶ変わって
そりゃあ ....
氷の針が心臓に突き刺さって苦しいと思うとき 海から全ての海水が巻き上げられてぼくの口へ吸入器のように入れられるとき きっときみはひとつの歌を口ずさむ ひとつの祈りを口ずさむ、ひとつの海の駅名を口ずさむ .... それが大きいのかちいさいのかわたしには分からない
数だということだけ わかる
くらやみを射抜くような空ろないたみがビルを覆っているので
ひとびとはたえまなく降ってくる
切りそろえられた三角 ....
お誕生日はよく晴れた。いつものように洗濯機をまわして床をみがいたあと、夫がベビー・カーを押してくれたので公園まで娘と手をつないでいることができた。
午後は眼鏡を新調したあとでお鮨をたべにいった。安い ....
陽当たりがいくら良くても 部屋は部屋 風は吹かぬがあなたもいない グーグルアースのそこに眠る街の火が見える
かそけき線だ、名づけ親たちはみな
後悔している
野について知らず、またあなたについて知ろうとしない

生っぽい白いシーツが夕暮れても
なぜか不完成 ....
湿る土を体育座りの
月はひとつできみはいない
頬をきる高い緑の草が痛くて
ここはどこだろう
握りしめる切符
大きくて体温のある動物の
おなかでねむってしまいたい
今晩くらいは ....
猫が転ぶとき
そこには道路と猫とわたしがあって
あたかもおのおの一番遠いもの同士のよう

二月にふる雪はぴらぴらとして細かく
手のひらにのせるまもなくとけ消えてしまう
ひとひらひとひら ....
実家にはいま父と母が住んでいて、いまは、黒い子犬も住んでいる。
母が名付けた、「宝籤」という意味の名前を呼ぶと、尻尾と耳をすこしふって転げてくる。それも、この二週間でずい分としっかりした。
宝 ....
インベーダーゲームみたい。bang、それからshoot、戦うことしかでき
ないので自滅の最終章。これはきっと運命なのって、ブロックひとつ
壊して、はねかえるビームにやられた。コンティニュー ....
むかし熊だったころの話をすると
わたしの手あしの毒虫に噛まれたところがどくどくと痛むので
これはむかし熊だったころにも同じところを噛まれたのだろうなと
予想できる

それくらいの頭で
 ....
あかぐろい肌をして
山盛りの雲をあおぐ
雨を待つわずかの間に
なんども恋におちる

季節はぎしぎし言う
発情のおわらない猫が
前足で引き留めている
濃緑が
少女を溶かしてしまった ....
ひかりがあふれすぎて
窓が溶けている
高速道路のインター、
群れ、群れ、群れ、群れ

むこうのほうに少し風が吹いているのが見える。

川沿い、
はんたい側には
ささやかな川
流 ....
そこまで行きたいのなら
ボートを編んでおいで
おもいきり細く
しなるような枝で

祈りはきっと
どこへも届かないだろう
願いはきっと
どこへも結ばれないだろう
それでもそこまで行 ....
それが単純な答えなら、
「愛などない」
それが単純な答えなら、ぼくはラズベリーになろう
それも間違いないさ。


わすれてみよう



涙ぐんだ水晶にそっと白い布を掛ける。
死ん ....
私の恋人はとても天才
だれより天才
だってマーメイドに花の名前を教える。
「グラジオラスの花の色のドレスが欲しい」
「どくだみの花のような控えめなドレスが欲しい」

マーメイド、
君に似 ....
それ以上どこにも行けない場所で
言葉をどれほどつみあげてもかたちにはならなかった

ささやいて
抱き合って
口づけあって
交わりあって
罵りあって

それ以上どこにも行けない場所 ....
「浮遊感をどーぞ。」

少年
少年
過ぎた期間の
少年、
日常生活
ニチジョウセイカツ
過ぎた期間の、
少年の、
完璧主義者に成り損ねて
十八になってしまった少年像、
過ぎた期 ....
僕以外は、みんな神様だと思っていたけど
結局神様だったのは僕の方だった。

設計図通りに僕のために作られた夜に
僕が死なないこと、僕だけが知らなかった。

あの日君は笑っていた?

笑 ....
尼崎を超える頃に日付は変わる
川をわたる鳥のむれも
一日分の年を取る

吊り革に群がる背広を押しのけて
酸素のうすい車輛で
どうにか息をしている

神様
今日が正しくなくても
息を ....
浅ましい魚に餌をやるように君は俺に言葉を与える

殺したいから死にたくて音楽はごまかすために聴くばかりだと

死にたくて動けませんが通じませんだれか俺にゆすらうめくれ。

つらいのは ....
曇天。呼び出しに答え、すぐに放り出されたあと、ひとりで水族館へいく。
締め切り時間間際にくぐるゲート。入ったあとすぐに、うしろでシャッターが閉まる音。

館内は暗く、ごく控えめな音量で歌詞のない ....
はずかしいことや
はしたないことを
たくさんしてきて
じゃあ今からなにか新しいことを

思ったときに
なんだかひどく
疲れてしまったなと
思った

スカトロジーは愛と同義だ
 ....
 
 
筆箱の上に夜が広がる 
父のてのひらは冷たいまま 
砂丘を触り続ける  
ゼリー状の月がのぼる
妊婦が口元を押さえて笑う
 
 
言うべきことは
みんな言ってしまった

あげるものも
みんなあげてしまった

ま上では
曇天が
甘ったるく
張りさけている

見あげても
見さげても
灰色がつづく
 
 
自転車のか細いペダルが
今日は博物館の
涼しい庭にまで届く
始まったばかりの夕暮れの中
まぶたの絵を描き終えて
少年は柔らかな繊維になる
 
 
トンネルの途中でせんせいが朝が来たよと言った
どこに来たのかなんてこわくて訊けなかったよ

それよりもiPodの電池が切れそうでおそろしいのです

地上のあの子の爆発がおさまるまでもつだろう ....
冬の終わりです
雪です

女を埋もらせています
深さ九十センチ
春ともなると
シャベルがやってきて
雪を掻いたり
女を掻いたり
シャベルも
女も
シャベルも
女も

みんな ....
 
 
兄さんが虹を見ている
祈るべき神を持たない僕らの祈りは
それでも決して無力ではないはずだ
兄さんの肩にオウムが止まる
救急車が静かに横切って行く
 
 
 
 
曖昧な朝の手元
行ったきり帰らない
水のブランコ
皮膚なの?ここは
過疎の村に、春
 
 
アオゾラ誤爆さんのおすすめリスト(661)
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はめごろし- はるな自由詩412-7-19
ボート- はるな自由詩312-7-2
20120624Sun- 榊 慧自由詩612-6-26
とくべつなやつら- 榊 慧自由詩412-6-10
それ以上どこにも行けない場所- はるな自由詩8+12-5-14
科学者がいない- 榊 慧自由詩312-4-3
春休み- 昏(ヤッ ...自由詩512-4-2
川をわたる- はるな自由詩612-3-28
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age22- たもつ自由詩612-3-15
ミラーボール- 佐伯黒子自由詩412-3-14
春近く- オイタル自由詩7*12-3-11
age18- たもつ自由詩312-3-11
age17- たもつ自由詩312-3-10

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