足りなかった言葉を
埋めるものが見当たらない
思い出を引き合いに出しても
それはもう終わって閉まった言葉
いつか折れてしまった
あの桜の木の枝が
足りない、足りないと 泣いている
....
....
しなもん
ひとりぼっち
ミルクティーを入れてみた
しなもん
いつもよりお砂糖多めに
甘くしてみた
しなもん
くるくるくる、と
まるを書くシナモンスティック
し ....
明日で人生が決まる
全てが決まる
どう足掻いても
とにかく明日で
明日の俺を見て
あんたは笑うのか?
哀れに思うのか?
冷静になれ
人生が決まる?
人生なんか
決まる訳がな ....
根
絶
や
しの風が吹いている
まあるい果物だった俺
は
癌
のような種だけを残して
根絶やされて
る
か
も
母親
ゾ
ウ
がいった
あんたって
恥ずか ....
物事の本質という名の傍若無人が
背後にするりと忍び寄る
斬り付けられる意識
覚醒したそれは
黒い影を纏って立ち上がる
踏み出した足は
敷き詰められた石を穿つ ....
お池の向こうにみえていた
小さな山は 削り取られた
星の数 名もなき命の ゆりかごが
その上に新しく建った家で、子供が育つ
私も そのようにして育った子供の一人です
祈るよう ....
朝、
目が覚めると紙幣のベッドで寝ていた
床も壁も全て紙幣になっていた
洗面所も紙幣で出来ていたので
もったいなくて水を流せなかった
福沢諭吉に囲まれて取る朝食は食べにくかったが
....
二つの空に二つの雲があった
風が吹けば波打って
雲に霞が立ち込めた
二つの空に二つの月があった
大気の澄み渡る晩には
無限の星屑が月を囲んだ
二つの空に二つの陽があった
全ては朱 ....
もしも許されないなら
この瞳を抉り出して捧げますから
貴方の薬指を飾る石にしてください
蝕まれてゆくのはいつも正常な意識ばかりで
何かを伝えようとするたびに奥歯が軋んで
上手く ....
私は尖っている
ある面はつるつるのまんまるなのに
いつも微笑んでいたい
という願いが
そこにはある
ざらざらと大きくくぼんでいるところもある
このくぼみは
がっちり滑らないよう ....
カカオの濃度が高いビターチョコレートは
とろりと濃くて、苦くて
その分、甘くて
癖になる
目尻にこびりついた塩分
投げ出された、ベッドのうえ
海みたいな
もう、此処でいい
....
白い粒が視界を埋める
朱の浸食が終わり
黒の支配が始まる
茶色の世界を白く染めあげ
灰色の鎌が嘲笑う
もう痛みはない
もう疲れはない
不意に蜜柑色の影が
....
オリオン座が西の空に瞬く午前三時
部屋の中で独りの男が
机を照らすランプの明かりの下
白紙にペンを走らせる音
時を忘れ
宛先の無い手紙を{ルビ綴=つづ}る深夜に
眠れる街の何処か ....
***** 妻へ
ねぇきみ
文金高島田と南京玉すだれは語呂は似てるけど
全然ちがうんだ
お色直しで再登場する新婦が
「さては なんきんたますだれっ!」
ってやったら会場は大騒ぎになるは ....
乾いたシグナル
うつむいたままのマテリアル
洗練されすぎて意味を失ってゆく
弱弱しいカルチャー
凄みのない場所へストンと
落ちてしまっているデザインの氾濫
二十一世 ....
つま先をそろえて
腰の位置を安定させて
白い天井を見上げ
白い光に
遠近を失う。
救いがあるとすれば
かすかにある染みが。
何故、天井に
染みができるのだろう。
とても届かないよ ....