ごくありふれた電車がほとんど間断もなく何台も続いてゆく。そんな止めどない彼女のお喋りにその遮断桿が上がり切るのをただひたすらに待っている。しかしどうやら彼女の遮断桿は今のところ、その上がってゆく、ほん .... 団地に風が吹く
床屋のおじさんが
大きな欠伸をする
口の中で夏が過ぎていく
金魚鉢が宇宙を漂っている間
友達の一人は
セメダインでおかしくなった
ベランダの無い人が
ベランダを ....
船の窓から宇宙を眺めると中性になる
雲は薄っぺらな模様になって
海の青のところどころに
赤茶色と緑とに塗られた陸地が
安物のTシャツのプリントになっている


そのプリントの上で
生ま ....
部屋の中に桜が咲いて
僕ら三人は
お花見をすることにした
見上げるだけでも
綺麗なのだけれど
せっかくだから、と
レジャーシートをひいて
君が作ったお弁当を食べた
それからちょっぴ ....
地球という星がある
国境はない
猫に餌をやってから
今日のことを考えよう
子宮から出てきて随分経った
時々帰りたいが
もう帰れない
もう帰らない
今朝出したゴミがそのまま残って
「燃えないゴミは水曜日です」と張り紙がしてあった
水曜日の朝も残ったまま
「今日は水曜日です」

仕方なく持ち帰り部屋の隅に置きっぱなしにしていたら
いつの ....
レタスの先端
心音のひずむところ
温度の終わりに
少し触れる
つめたさ
教室みたい 、
と思う

穏やかな湾の入口を
句読点が航行する
健康的な食事
その後で
わたし、 ....
異国の言葉とびかう
井戸は若狭につながっている
帰省していた彼は
重い瓦に押しつぶされた


壁は厳然とそこにあって
何が起こってもくずれない
宇宙が一点に収斂しても
また膨張して壁 ....
夜空を切り裂く光が
万華鏡みたいに泣いて
涙も乾かないうちに
新しい顔をする

打ち上げられた花火を
こんな風に見ている君は
どこかへ行きたいのに
どこへも行けないまま
僕の夏に飛び ....
吾ここに
大きくゆったり
生きている

考えみれば
すべて皆

小さい吾
小さい街
小さい国

けれどここには
あるんだよ

しかと暮らしが
しかと命が

猶更ちいさ ....
オレは世の中の99.9999%以上の事象を知らない
バカで バカで どうしようもないバカなのだ
酒を飲んではくだを巻き
夜の闇に溶けるだけ

たったそれだけの存在を
月だけが優しく頬笑んで ....
 もやぐ朝 

夜が朽ちて
朝が生まれる
霧に覆われた街は
港へと変わる
赤い太陽は
無音の出港の合図

けれど想い出は
いつでも切ない
胸に
錨をおろしたまま


 さ ....
お骨はゆうパックで送れるんだって
へぇ
そんなわけで叔父の骨を預かって
春と夏が過ぎた からんと
最近は近所に犬を見なくなった
骨を差し上げるあてもなし
わたしが咥えてしまおうかしら
叔 ....
  なまこの指に溜まっていく
  季節はうつくしい
  ゴム長靴が 二、三組
  傘もささずに駆け去っていく
  この場所が 貴方の 唇であったなら
卵を割ると中には
砂しかなかった
食べ物を粗末にはできないので
そのまま火にかけると
砂の焼ける匂いがする
今ごろ砂場では妻と娘が
いつまでも完成できない
卵の城を作っていること ....
風が強く テントを打った
毀たれるような寒さの中で
ストーブにあたった

5つの頃 寂れた駅の入口で
飴色の夕日の中で
吹きすさんだ風と
おんなじ音が聞こえてきた
目を閉じると
あの ....
慌ただしい年の瀬に
同行支援の依頼がきた

入院先は山裾にある個人病院だったはずが
いつのまにか医療法人化されて
有料駐車場付きの
大きな心臓循環器疾患専門の病院となっていた

四十歳 ....
都で流行っているひげ茶です
これはご丁寧にどうも
と、そのような取引があってから
何度か顔を洗って
学校にも行きました
戦争があったかもしれません
泣いて帰って戸棚を開けて
ざざーっと海 ....
お前のことを聞いたのは
つい最近のことだった
婚約者を残して逝ってしまった と

お前はビールが大好きで
出張先のホテルで溺れたと聞いた

お前は技術屋でオレは営業屋だった
オレたちは ....
曲がり切れないカーブは
初恋の人の背中に似ていた

触れたくても逃げていく
それは風のように柔らかく
ほんのちょっとの憧れを
焦がしてしまった
胸の中に太陽がいる

私の瞳だけは
 ....
ボーカルのテンコは機嫌が悪い。
向かい合わせの椅子に座った彼女はだんまりを決め込み、ウミネコみたいな目つきでひたすらもつ鍋を食っている。
今日のライブで声の調子が今ひとつだったこととか
取材にや ....
鯛       花は桜いろ
サワラ     甘やかなピアノのメロディーは
赤貝      血潮の香りが胸を刺す
はた      深く広がるハーモニー
つぶ貝     彼方を眺め噛みしめる
え ....
朝は曇っていたけれど
天気予報を信じて洗濯した
どうせ一日では乾かない
束の間の外干し

冬生まれの子はよくミルクを吐いて
深夜に洗濯機を回したものだった
洗濯物はいつでもエアコンで部屋 ....
あのラーマが販売を終了する
ラーマとは、インド神話最大の英雄の一人で
タイの現国王もラーマ10世なのだが、
販売を終了するのはマーガリンの名前だ

ボクたちは、あたりまえのように
毎朝パン ....
ほら、見てごらん
指先が少し光っているよ

表情のない肖像画が呟いた

ベランダに出て
夜空に透かしてみたけれど
少しも光っちゃいない

ん… 指が石化している
でもキーボードを打 ....
 雑然とした卓に
 ちょっと戯れに挿した
 寒椿の 紅い沈まり

 眠れないのです

 時は重たいものですね
 全て寝静まっているのに
 音があるのです

 秒針が刻む
 藍 ....
お下がりの大きな自転車は
不躾な轍を踏んでいた
5時のサイレンが鳴る頃には
納屋の隅の方から
古い天気予報が発掘された
曇りと雨の日には
ばってんが付けられていたけど
晴れの日は見たこと ....
思惟のふちから
言葉が崩落してゆくとき
僕は君の夜を抱き
君は僕の夜を抱く

その暗い球体の中に
守るべきすべてが
あるかのように

たとえばそこに
紅い薔薇
暗さの中では
も ....
白と黒の、うっとりと時の踊り場で寛いでいるかのような、冬
雪は未だ、ここに居てもいいのかどうなのか、
わからないでいるように見えたりする、初冬
暗い雪の夜道を歩いてみれば、小首をかしげた四つ足獣 ....
 止まらない
 人類の負の動力源は
 一握りの
 山脈より
 大洋より
 強い者たちの
 掲げる道理なのだろうか

 連日報道される中東紛争

 はためく旗の下、
 生きねば ....
AB(なかほど)さんのおすすめリスト(2344)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
開かずの踏切り- 本田憲嵩自由詩624-4-14
故郷- たもつ自由詩624-4-8
ヤー・チャイカ- 藤原絵理 ...自由詩1124-4-6
お花見- たもつ自由詩524-3-30
太陽は影をつくるが道を譲らない- 空丸自由詩1524-2-23
今年のさくら- wc自由詩1224-1-18
ぽえむ- たもつ自由詩10*24-1-5
地震- 藤原絵理 ...自由詩224-1-4
君色花火- ミナト ...自由詩423-12-30
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ナメクジの唄- レタス自由詩9*23-12-30
この世に錨をおろしたまま- そらの珊 ...自由詩16*23-12-29
お骨の味噌汁- 松岡宮自由詩13*23-12-29
なまこ- 草野春心自由詩423-12-28
卵の城- たもつ自由詩9*23-12-28
ひとり- Giovanni自由詩9*23-12-26
合成写真と判明した囚われの宇宙人- 板谷みき ...自由詩2*23-12-26
ひげ茶- 春日線香自由詩623-12-26
訃報- レタス自由詩11*23-12-25
真白- ミナト ...自由詩4*23-12-23
いつか星になるまで- そらの珊 ...自由詩5*23-12-23
寿司【改訂】_- レタス自由詩12*23-12-23
冬日のこころ- そらの珊 ...自由詩9*23-12-20
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アンニュイ- リリー自由詩12*23-12-19
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抱_擁- 塔野夏子自由詩9*23-12-19
冬の時計- 山人自由詩12*23-12-19
ソラリスのブルー- リリー自由詩7*23-12-18

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