人は
たくさんの事柄を
忘れながら
生きています

朝起きてみれば
隣の空き地は
白く覆われて
ただひとつの足跡もない
とてつもなくやわらかい
真新しい道に思われました

その ....
さっき
セックスをしながら
メールをうってて
いきそうに
なったときに
「イク」

送信
して
しまった
ことが
ある人とは


ひらいて
話しを
しても
いー ....
友と杯を交し 
日々の想いを 
語らう夜に 

酔いどれて独り 
家路を辿る 
夜の道すがら 

何ヶ月も同じ場所に坐り 
路傍の石と化した 
家無き人の 
汚 ....
空に放った矢が雲を引き剥がしてくる、その時刻の塊。一面に熱い空、概念の残像で傷つく。空に入浴する鳥たちは、空の傷から液体の星々を舐め摂る。雲の角度たちに照らされた矢は、角度の海の寝返りで折れて、鳥の影 .... 遠い空とつながったきみが
小さな点になる
それは消失してしまいそうな
さびしい孤独であるのに
ふしぎな水色に輝いている

逆さまから立ち上がるときのきみは
やさしい速度でやってくる
淡 ....
指組みのように身体を絡めゆく 二人で今日の夜空をつくる



ひとつずつ舌でたどれば直列の熱に融かされてゆくビイドロ



「ねえ、君にアイスピック突き立てたらブラックホールができたの ....
 
ひとさし指で手紙を書く
砂のうえに
潮が引くときだけ
ゆるされる

返事が来る
潮が満ちるときだけ
あなたから
光と光の
波にさらわれる

こぼれた文字の
貝殻をひろう
 ....
空から
落ちた日のことを
おぼえていない


海を
ながめることを海として
その浅きをのがれる
すべにおぼれる


太陽はもう
ことばではないけれど
確かにぬくもる
 ....
砂を
体中の空いてる
穴に詰めていく
埋め立てた人工の砂浜の
ほつれたぬいぐるみが
さみしそうに息をしている
「あなたのコドモを産むよ」
と笑い
雨上がりの
草いきれで肺一杯にして
 ....
親指でしか語れなくなった


指先が覚えてしまったのだ
無機質な凹凸に触れるだけで
整然とした文字が手に入ることを


まっさらな紙の緊張や
そこに落ちるイビツな文字
との格闘も捨 ....
六月の薄い胸に
雲の痣が白く浮かび上がる

体育座りの女の子の膝のような
山々は
深緑にけぶる

出発するはずの電車は
死んでしまったかのように動かない

信号機はうなだれ

 ....
花弁を剥きだしの裸にして、白い水仙が咲いている、
その陽光で汗ばむ平らな道を這うように、
父を背負って歩く。

父はわたしのなかで、好物の東京庵の手打ち蕎麦が、
食べたい、食べたいと、まどろ ....
未来に
あくびをさせるな
過去なんかに
囚われるな

高ぶる感情のまま音を紡ぎ上げ
楽器を演奏するジャズメンのように

その瞬間に熱狂しろ

目一杯着飾って
トランペットを持ち
 ....
今日の風は西から湿り気と
憂鬱の温度を運んで
まだ頑ななガクアジサイの毬に
青、を少しずつ与える

日増しに色濃いぼんぼりを灯して
夏空の予感を語るのは
滲む青と翠と


傘の冷た ....
自由の森に放たれて

あたしは一人寝る

愛撫をして 抱きしめて

叫んでも

野はやんでいる

草木がざわめくけれど

あたしは一人寝る

にぎりしめて 抱き寄せて

 ....
朝起きて冷蔵庫を開けたら
祖母が入っていた

さみくてさみくてなんだかも
生ぎてぐのがいやんなっちま
なんて言うので
そんなに寒いのなら
もう死んでしまったっていいんじゃない
と思った ....
   一  アンタレス disk1


君と夜の海辺を散歩していた、
はずなのにいつのまにか
空を歩いていた

頭上に、海
でも今日はよく晴れていたから
涙の一滴も落ちなくて ....
 1

もう、
ふりかえらないのだ
髪をゆらしていった風は
束ねることはせず

つまさきは
後ろに広がる汀を
走れない世界にいて
こころだけがいつまでも
波になりたがっている
 ....
窓硝子を挟んで
浅い春は霧雨に点在し
わたしに少しずつ朝が流れ込む

昨夜見た夢を
思い出そうと
胸を凝らしたら
微かに風景が揺れた

なかば迷子の眼で
周りを見渡 ....
音楽室の
Yちゃんの真新しい椅子の後ろに
Yちゃんの埃を被った椅子
その後ろに
Yちゃんの足が折れた椅子
その後ろに
ばらばらになった
Yちゃんの椅子
その向こうは
床が崩れて
そ ....
定年後 
趣味で油絵を始めた親父が 
キャンバスに向かい 
一枚の絵を描き直している

 さっ さっ 

と音をたてると 
窓辺から
午後の日が射すこの部屋に 
絵具の匂いが満ちて ....
冬の寒気が細く伸びて
岬の先のほうへ
鋭く尖っていった
遠くで生まれた赤土の丘が
最後に海へこぼれ落ちていく場所で
わたしの そしてあのひとの
フレアスカートのはためく裾から
なめらかに ....
キリンが疾走する
大都会 夜の東京
一頭の巨大なキリンが
闇雲に
走る
走る

第一京浜 渋滞中
銀座和光の時計を見上げ
レインボーブリッヂ 観覧車を横目に
紅い車列を
蹴散らし ....
雨が止みはじめた頃に、
傘を差しはじめてみた。
びしょ濡れになって傘の下、
僕は何かに守られていると強く感じる。
道の向こう側から、
少年が歩いてくる。
あの懐かしい長靴の黄色が、
僕の ....
ほどけた靴紐を結びながら走った
朝はいつも苦手で
腕組みしている先生の顔を見ないように
校門を駆け抜ける

一時間目から六時間目まで
机に突っ伏して眠り
部活だけはさぼらなかった
そん ....
複雑
というところだけ聞き取れた
二人しかいないホテルの部屋で
あなたが自分の言葉で何を言おうとしているのか
Complicated
何が

人生はときに難しい
だが
ときに易しい
 ....
無口な草原
冬も過ぎて
知らぬ間の
春も過ぎて
風の切っ先
夏を過ぎ
記憶の片翼に
秋を送り
空を仰ぎ
去りゆく年月に
心を奪わせ
失いつづけるきらめき
忘れ難き、遠き
いと ....
tomtom_poemさんのおすすめリスト(27)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
残り雪- そらの珊 ...自由詩2913-2-2
「イク」- モリマサ ...自由詩2810-9-5
光の夜道_- 服部 剛自由詩909-4-23
生空- 葉leaf自由詩508-10-26
空中ぶらんこ- 佐野権太自由詩19+*08-10-23
黒点- 石畑由紀 ...短歌16+*08-10-23
人指し指から、お願いします- 小川 葉自由詩12*08-10-20
かなしい理由- 千波 一 ...自由詩24+*08-8-30
水のための夜- モリマサ ...自由詩3708-8-5
メール症候群- 渡 ひろ ...自由詩29*08-1-7
六月- ふるる自由詩13*07-6-7
森番—透過する森のなかへ- 前田ふむ ...自由詩38*07-6-6
Dig- Porter自由詩26*07-6-3
夏までの波- 銀猫自由詩21*07-5-28
みなしご- yoyo自由詩7*07-5-25
悩ましい朝- 吉田ぐん ...自由詩35+07-5-24
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朝の名前- 銀猫自由詩37+*07-3-12
Yちゃんが道を渡ろうとしている- 片野晃司自由詩2707-1-27
窓辺の花- 服部 剛自由詩14*07-1-12
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キリン- 岡村明子自由詩606-7-24
ある雨の日、君の弟は。- 葛西佑也自由詩26*06-6-18
卒業- 岡村明子自由詩906-3-11
連作(3/3)_Life_is- 岡村明子自由詩105-7-4
−詩−_no.3690- 小笹綾子自由詩3*04-11-24

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