(幸福な土曜日の夜に捧げます)
あんたは片方の羽
飛びましょ
ばたつかせて
金色の雨つぶの中を
あたしは片方の羽
行きましょ
行き止まりは
無限の宇宙
F ....
涙は
流れることを許されず
瞳にとどまっていた
雨が
かわりに泣いてくれたので
辛うじてプライドを保っている
物語は
最終章を目の前にして
頁を閉じられた
栞を
....
赤が 赤く見えること
青が 青く見えること
それが不思議 だから それは魔法
花が 雪が 光のきらめきが 夕焼けが あの人が
美しく見えること
それが不思議 だから それ ....
伝えることは
誤解を生むこと
そう理解した日から
少年は口を閉ざした
はい と いいえ
があれば充分だった
長い間そうして過ごした
これでもう あのはがゆい思いを
味わなくてい ....
神経質な夜に
まじないではなく
欲しいものは
精神安定剤と
ただ話を聞いてくれる人と
主の祈りと
虹の記憶と
腹をかかえて笑うカエルと
あの人のやさしさと
壮大なうねりの如き黒潮と
....
くもっていく
息をすればするほど
生きれば生きるほど
くもっていく
もう見えない
それが外か内かわからないけれど
気にしても仕方がない
もう見えない
途方にくれていたら
....
僕は季節の花を知らない
風に乗って飛んでくる
その日その日の荒波の日常
生きていくのに四苦八苦
でも死に憧れるほどでもない
それほど深刻でもない
共有する時間だけが ....
メールでは返信を促しているようで
そんなことを期待しない今日の私は
便箋に走らせてみようと思うのです
書き出しは、季節のことや天気のこと
やわらかに二人がつながっている
なんてことを ....
この星この時に生まれた
このからだが私
煙と骨になる日まで
私を運んでね
今日も歩けました
蝶を見ました
自転車に乗れました
ヒヤッとしました
お食事できました
しあわせです ....
幼い頃のひとり遊びの記憶は
影となって私に纏わり
誰かを愛そうとするたびに
耳元で呪文を投げかける
楓の色づく様を
薄の頭をゆらす様を
人と分かち合うやすらぎを ....
憧れが
ささやかな私を満たす時
ひとつの幸せを見る
あなたは
時間とともに
美しくなってゆく
朗らかに広がる樹木から
眩しくはない光が差すように
あなたがいる場所には
精霊が ....
詩は 眠れないときに書けばいい
詩は 暇なときに書けばいい
詩は 落ち込んでるときに書けばいい
詩は 寂しいときに書けばいい
詩は 怒っているときに書けばいい
....
点数は気にするな
評価は気にするな
順位は気にするな
周りと比べるな
大事なのは自分自身
向上心だけを失うな
と
言ってくるひとがたまにいる
いやけっこういる
でも
そ ....
なんでこんな駄目な自分の周りに
なんでこんないい奴らが
いてくれるんだろう
落ちるとこまで落ちて
今更それに気付くなんて
どうかしてるよな
普段は気が付かなかった
あいつらの存在 ....
今日こそはと待っていても
やっぱり届かない
あなたからのメール
けっして
がっかりしたりはしない
楽しみが明日に延びただけ
こうやって
日々を重ねてゆけば
いつのまにか
心痛 ....
ほんの少しピッチのずれた
不安な音楽を
誰のためでもなく
自分のために
僕はなんでもないという顔をしながら
ぼやけた空を見上げていた
そうしたかったわけじゃなく
僕の掌じゃそれしかつかめなかったから
空に強がりをしてみせる
空に強がりをしてみせる
心にも空 ....