与えられた運命のがっちりつなぎあわせられた糸
ほどこうともがくぼくは
一匹の昆虫としてもぞもぞと眠るだけ
何かしなきゃってわかってる
信じようとしている運命を
それが正しい道 ....
両思いになってどうなる
信用する事まで
愛に変えて
どうなる?
太った男の人が
日向で陽の光を浴びて
まだ少しずつ
太っている
やがて坂道経由の犬がやって来て
すべてを食べてしまった
+
お座り、が得意な子でした
お手、もしたし
....
一瞬で
それと分かる匂いは
金木犀
幼き頃の庭遊び
細かな花びら
摘み取って
硝子の瓶に蓋をした
秋の陽だまりにも似た
満ち足りた表情で
その濃い芳香さえも ....
幼い頃のひとり遊びの記憶は
影となって私に纏わり
誰かを愛そうとするたびに
耳元で呪文を投げかける
楓の色づく様を
薄の頭をゆらす様を
人と分かち合うやすらぎを ....
終わりだ
と思っても
まだまんなかだったりする
ずるいよ、世界は
球形なんだ
トップもない
ビリもない
ただ人々は
人々のまんなかに
いるだけ
嗚呼、
世界のつぎ ....
何があっても離さない
手を離さない
堅く約束する声が
一晩中 木霊して
待合室に消えた
内股で歩く癖がついた
堅く口を結ぶのを忘れた
立ち小便が上手になった
放 ....
ビジネスホテルの白い天井に映される
窓枠の形は青白く
夜の闇にある光源を証明します
いつしか街で一番高いビルの
冷たく四角い丘の上で
僕も証明されたいと立ち尽くすのです
月 ....
手を引いてもらわなきゃ
歩けないような
子どもじゃなくて
道を選んで
ひとりで歩いていけるほど
大人じゃなくて
こうして
あいまいなまま
ドロドロに
溶けてしまえばいいの ....
一 うろこ雲 雨が来るのを 知らせに来
二 夕空の 空気にとけて かきあかね
三 縁日の 思い出してよ 浴衣の子
四 洗い立て 昨日の事は 日の匂い
五 逢いに行く ....
今日の仕事は うさぎだった
陽気なピンクだ
道行く車にいっぱい手を振ったよ
振り返してくれる人は
みんな笑顔で
おいら、ちょっと
幸せを振りまいた気分。
....
わたしは みにくい獣だ
鋭利な刃物を知っている
(わたしの爪はいつも)
鋭利な言葉を知っている
(やわらかな皮膚だけを)
鋭利な視線を知っている
(傷つける)
みよう ....
秋の匂いのする風は
夏毛にふわり優しくて
愛なんてものを
かたちにして
誰かに見せたい気分になる
さっき
薔薇の棘みたいに
剥がれ落ちた爪は
カナシミってやつと戦ったから
ゆらゆら尻尾が休憩 ....
モノを置かないでください
と張り紙のあるところに
モノを置いた
そんな些細なことがきっかけで
そんな些細なことの積み重ねだったのだろう
「いつもの」
そう修飾された朝は
あっ ....
膝をたたみ 目を伏せて
思い出すのは
折りたたまれた空に見つけた夏のかけら
黒髪が 風を誘った雨上がり
わたし ここで猫が飼いたいの
....
ごらん、
イルカが橋を飛び越えて行くよ。
ふと遠いところへ行きたくなる
通過電車に手をのばせば届きそうで届かない
本気で身を乗り出すと本当に連れ去られてしまうから
「危険ですから、黄色い線の内側までお下がりください」
というアナウ ....
あの頃、君に告げられなかったことを今
***
ねぇ、君
冷やし中華を誰よりも早く始めたいの、とはりきる君の姿が僕は好きだったんだ
ねぇ、君
扇風機の首フリに合わ ....
すすんでゆく先には
行間が待っていて
いつも 立ちどまってしまう
深呼吸、する
( ふかく、ふかく、吸って、
( ゆっくり、ゆっくり、吐いて、
ふりかえる
ふりか ....
妻よ
おまえが夜眠っているとき
味噌汁は走り出すのだ
家人が寝静まると
味噌汁はお椀にはいり
玄関からそっと抜け出し
町内を走り出す
味噌汁は走る
(けして薬罐が空を飛ぶのではなく ....