車は走る。

酒などなめる程度にしか口にしていないのに、なぜか疼痛があたまにしつこくこびりついている。
ウインカーの点滅音。
そのメトロノーム。運転手はハンドルを大きく右に切った。
ゆるや ....
僕らはそっと歌い出す
僕らが作ったその歌詞で月を見ながら独りごと
私はあの星取ってきてピアスにするの
そう呟いた妹はあははと笑って輝いた

海辺で私たちが散歩する
私たちの歩いた足跡で浜辺 ....
僕らの虹が逝った
二人で棺に入れると
弓型に過不足なく納まった
最後まで色たちは
混じることも濁ることもなかった
一緒に入れた物がはみ出ていたので
係の人が少し押し込み
蓋は閉め ....
そのみこなし、柔らかな幾何
そのあしあと、極短時間の化石

猫は固体でも液体でも気体でもなく
都会につきさす、猫の武装!

極彩色や鈍色
生き延びた影にただ延びた陰
絵画の ....
雷鳴ひとつ



雷が遠くの方で鳴きました
光るたてがみは見逃したみたいです
秋雨をきっと連れてくるのでしょう



     ぽつぽつぽ
     ことんことんことんことんこと ....
星をみるんだ

この街の真ん中で
分厚い手紙を齧りながら
発泡酒で侘しく
それも公園、
結構サムイもんだ
どこかの朝焼けまで
ずっと続いてる電柱に
ひっかかった安穏
夜の天井は低い ....
弁当を開けると
中に海が広がっている
故郷の海のように
凪いできれいだった
朝の静かな台所で
君がどんなふうにこれを作ったのか
想像しようとしても
後姿しか目に浮かばない
帰れ ....
粒入りのオレンジジュース飲みながらもうやめようと思う煙草は


目を伏せて下唇を噛み締める航海はまだ始まったばかり


ハンガリー舞曲聴きつつ描く絵の少女はとわに止まったままで
 ....
僕の言葉なんて、消えちまえばいい。

さわさわの雨が濡らした石畳

めくればそこにも、孤独なんだろう?

犬よ、僕の大好きな犬。

おまえが大好きでたまらないのだけれども、

おま ....
 夜が 明ける
 空には 厚い雲

 満ちた潮は 
 海面を押し上げ
 目の前に迫ってくる

  魂が 振動する

 青灰色の空気
 水墨画のように
 空と山、
 海を区切るラ ....
月は満ち
体は徐々に
開いてゆく

体外に出た
血液は
ほんわか
あったかい
布に受け止められる

布を水で洗う
ついでに心も洗う

水の冷たさは和らぎ
春の訪れを感じる
 ....
私は、何処へ行くのだろう
やらなきゃならないならない
お墓に入ったからって終りゃしない
だからってその後は知らない
失礼だわねぇ
カラスの伝導師
あっちむいてほい
眼鏡をかけなおす
夕 ....
嘘をつかない人

きっとあなたも何か持っているでしょ?


嘘につかれた人

きっとあなたも何か持っているでしょ?




ぼくね、しってるよ、そらのいろ。

目には見えな ....
その日を過ぎると
君の背中から栓が抜け落ちて
とろとろと水、のようなものが零れていった
舐めてみると、海の味がする
帰っていくんだな、なんて思う
薄いお酒を飲みながら
時計の針を見ていた
 ....
  昔、あなたに宛てて書いた手紙
  あなたが受け取らなかったので
  まだ手元に残っている


  手渡そうとすると
  あなたは決まって困った顔をしたから
  わたしは何故なのだろう ....
旅先の朝はいつも
どことなく空々しくて
慣れた町のそれより音が少なくて
まるで耳鳴りのように迫ってくるもんだ

僕は重たい体をゆっくりと起こす
さすがに他人の蒲団じゃそんなに眠れないな
 ....
戦争ということばは
ことばでしかないような
そんなおじいちゃんの傷跡は
僕が
大学をでるころ
白と灰のまじった骨になって
それをみたぼくは
その前に
においがきたのだ
骨が炎で焼かれ ....
こすもすもくもく
ゆけむりもくもく
おはなむずむず
おなかゆるゆる

よかぜぶるるん
こすもすゆらゆら
あかトタンやね
くずれておちた

いつかわらった
こすもすころころ
みづ ....
すこしのことで
こんらんする
ざらざらななみだ
たまりて
できた

なみだぶつ

なにかありがためいわくな
そんざい
ぼくのなみだぶつ

まいにちいのっているよ

くさのに ....
ひとり
ひとときの 
なぐさみに
ときばかりを 
ほうりなげれば
ひきはがされて 
かたちどられた
からだのなかに
なにもはこばぬ 
かぜ ふくばかり

わだつみの  
みぎわ ....
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