四角く
明るい暗闇の中で
僕は不透明なオイルライターを灯していたんだ
外に出ればどうなる
はみ出せばどうなる
消失する私
崩れ落ちる
世界は丸くない
だけ ....
点と線を結んだら君がいたよ
今
気が付いた。
ラジオの向こうがわから
何やら ざわざわ聞こえるね
きっとそれはノイズ
ふたりが擦れた、音。
衣擦れだけが ....
安楽な笑みより
哀しい涙
痛みが欲しい
さよなら さよなら さよなら
君の名前は
「サヨナラ」
もう後戻りはしてはいけないよ
さぁ 賭けるんだ賭けるんだ
いまこそ約束の時と場所にむかっ ....
あなたがひとを殺しても罪になりません
ドクターは宣告した
石ころだらけの世界
まして
モラトリアムの真ん中で
ひとのこころくらい
かんたんに壊れてしまうでしょうに
....
安全ピンに とめられた
近くで 鼓動が聞こえる
建てられた家の壁の 奥
にぎやかな笑も 枯れて
この 残された クサビだけが
奪われたものに対する こたえ
やがて 消えた鼓動の ....
そらはただ
おどるように青くて
鳥の音だけが
そらを支配する
眠る君を描いていた
ひいやりと冷たくなった指先を
ガスストーブで暖めて
背骨をなぞる
腰から辿り
肩から首へ
すべらかな皮膚は
美しき筋肉を
骨を
透かす
薫製肉のよう ....
世界が一回りしたら
迷いこんだ
雨をさがしにいこう
8.5.05
僕にできることは
なんだろうと
とにかく探していたけど、
ただ分かったことは
僕のあまたのまんなかに
あると思っていたものが
じつはなくて、
そんなものなく ....
耳をふさぐと雨は遠くの国みたい 目をふさぐのをためらいながら
台風の日だというのに 僕たちに降る風はもう諦めている
キャミソール の 裾 を破いてもう少し生 ....
太陽はひとつの色をうしない
温度がとけていくように
置いていかれた記憶は
そらを重たくさせる
買い物袋から
オレンジが転がったのは単なる偶然で
私の爪の端っこに
香りが甘くなついたのも単なる偶然で
果実が転がり出さぬよう
そろりと立ち上がった頭上に
飛行機雲を見つけ ....
私小説というものがほぼ死に絶え、小説はエンタテイメントとして書かれ・読まれ・消費されるものになって久しい。それに対して、詩というものは、未だに“私詩”とでも呼ぶべきものが大半を占めているように思える。 ....
十二番目で
いつも言葉を間違えてしまう君は
その次の交差点では
左折ばかりを繰り返している
東京
狭い夕暮れで
夢から覚めたばかりの抜け落ちた体を
ついでのような角度でドアの隙間に潜り込 ....
何を忘れたかったのだろう
街に一つしかない小さな駅で
男は窓の外に向かって手を振った
無人のホームでは鉢植えに植えられた
カモミールの花がゆれるばかり
やがて男を乗せた列車が発車すると
駅 ....
世界が終わる
っていう前日に
僕は書き溜めておいた詩集を燃やすことにした
特に意味はなかったけど
自分が詩を書いていることは誰にも言ってなかったし
もしかして生き残った人が
これを見た ....
あのビルは
誰の羽なのでしょうか
あんなに高くて
空に届かない
見上げるわたしたちは
いつまでも
一枚の写真でした