彼の香水は大好きな薫り
マフラーに残った移り香が彼を思い出させる
あのけだるそうな話し声も
甘えたわがままも
意地悪な焦らし方も
全部香水の薫りより愛しい
決して鳴らない大好きな着信音
 ....
ポケットの中

甘い匂いのそれ


本当は

全部あなたにあげたかった



弱かったんだね


不思議なポケットも

叩き割る勇気も

あの時の僕は持ってなかった ....
溺れたければ、どうぞ?



初めて笑った日のことを覚えてるよ
白い肌より白い包帯に血が滲んでた
君の無感動な眼差しに背筋は寒くなったけれど
君はたわいもないことを喋りは ....
白く
抱かれている女の子を見て
きれいだな と思う
やさしくふれられて やさしいことばを感じて
ため息を漏らすの
メロディーのように
たぶん アイラインを落としても
つむった瞼にまつげは ....
大切なものは手に入れない
失くしてしまったら悲しくて
その悲しさのあまり
手に入れてしまったこと自体
後悔してしまうから

大切なものは失くす前に
自ら手放すことにした
自分から望んで ....
秋雨というのはひどく冷たく
(ほんのりと金木犀の匂いがして)
ちょっと生っぽい
(フレッシュではなく、賞味期限切れの刺身のアレ)
トイレ、みたい
(芳香剤の匂いは金木犀らしいですよ ....
神よご慈悲を

呟いてただ目を伏せた
オルゴオルから舞い上がるような、
リズミカルな祈りの小枝

あなたが残していったもの

ほんの少しの後悔と
罪の紅玉

あなたが残してくれた ....
 
砂の神様が遊ぶ町
子供の人形が溶けて舞う空
誰かの吐息や、タバコの煙すら
その空気に必要のない、神聖な領域
 
踏み締めたガラスにつまづいた少女は
どのまどろみに消えてしまっただろう ....
もっと
川であれば良かった
素直に
下っていれば良かった

もっと
月であれば良かった
律儀に
満ち欠けしていれば良かった

もっと
波であれば良かった
健気に
寄せては ....
寝ても醒めても首を絞めてもあなたは死人つまんない生き返んない。


つめたいおまんこあたたかく射精するあなた生き返るあたし屍鬼。


庭に髑髏なりやがて ....
みんな大好き!
と叫んだアイドルがいた

その場の誰もが
「みんな」には自分も含まれている
と信じようとして
アイドルの名前を大声で叫んでみたりする

「みんな」
そして「わたしたち ....
私が育った家庭は

彩りの足らない

塗り絵の様な家庭でした






野球ファンだった父から

野球選手になる夢を ....
僕もポイと 捨てられるのかな
君が次々と 失くしてゆく手袋や
指輪みたいに

捨てるんじゃないよ
逃げてゆくの
大切にしていた 手袋も 指輪も
男達も

にらむように前を見つめて
 ....
セックスを知り過ぎると


人間でいる事が


余りにバカらしくなる








 ....
プライドって言葉が世界一嫌いだ
頑固で意地っ張りだって素直に認めろよ
固執する価値がお前にあるのか
少なくとも僕にはないよソンなもの
残業することが勤勉だとは
能率主義の時代に懐古主義思想 ....
太腿に触れるだけで
イクかも知れないし
冷たい瞳をみつめるだけで
夢見心地

女の乳首で踊る月
陰毛にもつれる暗闇
脇に鼻をうずめる甘夢
絶頂はあと一息

ナイフを取り
その命も ....
もうラブソングを歌わなくなって
しばらく経つ
そんな事に気づいたのは
煙草を立て続けに吸って
気持ち悪くなってからだった

恋をすればラブソングを歌い
失恋しれば失恋の歌を書いた
頭の ....
 
 
 
 オナニーはセックスか?だなんて
 
 疑問に思うもんじゃないよ
 
 
 オナニーが素晴らしいと叫ぶ俺が
 
 それを見ながらオナニーを始める君へ
 
 
 セ ....
純粋ならざる錬成から生まれ、
おぞましき獣となりて、
いまだ人ならず。

異物、
或いは汚物を喰らい、
蛆と成り果て、
蔑まれようとも。

いつか人と呼ばれる ....
ふくよかな双丘には
産毛のような若草が萌えていて
双丘を駆け登る風が
君の可愛らしい鼻歌を遠く麓から運んでくる

双丘の頂きから下界を眺めると
みぞおちへ下る急斜面は
真っ逆様に転げ落ち ....
知っている曲が 途切れて
知らない歌が とぎれとぎれに
髪の先 さわり ふれる

冷蔵庫にジュース
飲みたい けど
動きたくない

どうやってたんだっけ
時間て
なんて
数えるん ....
赤と黄と
ラムネの包み紙色をした
オシロイバナ
濁り月夜に照らされ
隘路の脇に華やいで
鼻腔くすぐる慎ましい芳香
帰宅の人を誘惑するよ

水煙りの朝に
頭の膨れた花弁は重たくなって
 ....
ちゃんと誰かと向き合うことをやめた先週末
それた台風を恨めしそうにたどってみる指が
金曜の雨を思いださせる
死んだ言葉を弔うための言葉があるから
人はののしりあう言葉に困らない


 ....
深夜二人で食べるさくらんぼ
みずみずしく甘い木の実は情熱の赤
とろりとした思いを胸に
黙ったまま次々口へ運ぶ

一箱分のさくらんぼ全部

積み上げられた種と茎は 明日庭へ埋める

膝 ....
腕の中で燃える子供を
抱きしめながら歩いてく
私自身が
すでに 廃虚だ
それでも

生きていくこと

人は
人である前に
影かもしれない
 
 
 
 
 
四角いベッドに僕は横たわっている

四角い枕に頭を埋めて

四角いパネル模様の天井を見上げてた

四角い窓はあったけれど

丸い太陽は長い四角のカーテンが塞いでいた

四角い機械が ....
かくれんぼはきらい
とくいだから

かくれ切る
自信があるから

ひざを
抱え息をひそめ
草の
こすれる音を聞く

わたしは
どうなっちゃうんだろう
って

思いながら眠 ....
 余韻を残したまま
壊れたグラスを見て
あたしは嘲笑った
ざまぁーみろ

あたしの頭の中で
延々と繰り返す
あの音は
しっかりこの耳に録音。

これを、証拠としてとっておきたくなる ....
超高層の120階に呼び出された
社長室までの道のりは
美人の秘書と共に在る
淡い恋とは別種の鼓動

「明日から来なくていいよ」
最悪のビジネスパターン
妻と子の笑顔が遠ざかる空想
「落ち込むことはない ....
いつもは嫌いなウイスキー
飲み干そうとすればするほど
拒絶の閃光が{ルビ肉体=からだ}を走りぬける

・・・・まったく使えないやつ・・・・

酔うことを欲する{ルビ精神=こころ}とは別に
 ....
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