すべてのおすすめ
夏ではない海に
沈めてしまえるものでしょうか
私たちが紡いだ金色の思い出
もう 灰色の霧に閉ざされて
セピア色の彼方の風景
春ではない草むらに
置いていけるものでしょうか
遠くか ....
なつかしげに からまった
毛糸玉をほどけば
ふわふわと 手触り柔らかに
つながっている糸
すべてほどいてしまったら
もう一度 からまりあった玉に
丸めてゆきましょう
もう一度 ....
まよなかに
すずのねが
ひとふり ちりりん と
きこえはしないかと
めをとじて
まっている
もうすぐ きこえても
いいように おもえて
まっている
これも ほね
はくぶつかんの
くじらの ほね
わあおおきいな と
おさなごたちが
みあげるので
かなしくはない
くじらの ほね
わあおおきいな と
わたしも みあげている
....
顔見知りの小さな川に
小さな女の子の幻影が
駆け抜けて 消えて行く
風も
駆け抜けて 消えて行く
結ぶ糸の切れた光が
ふりそそいで
確かなところを
踏みしめることの
でき ....
私が見た程には
写っていなかった写真を
やっぱり写っていない と
ため息つきながら
見ている
風も光も
写っていないので
もういちど
写しに行きたいけれど
あの風と光は
....
ふみつけると つぶれるように
なげつけると こわれるように
ことばにしてしまうと
こわれてしまうものが ある
たくさんのことばつかったので
おびただしく こわれたものたち
たい ....
こわれているようなので
そっと さわらないようにして
ふたをしめておきました
あれから なんども なんども
あけてみましたが
やっぱり こわれているようなので
さわるのは やめておきま ....
とおい ひとりごと
いつも とおすぎる ひとりごと
まよなかの いすにすわって
どこかへ ひとりごと
すこしうえのくうかんをみながら
ひとりごと
しずかに はばたい ....
あいの おしり
よろこびの おしり
なぐさめの おしり
しんでしまった おしり
いきている おしり
うたの おしり
はなさく おしり
げいじゅつの おしり
....
太郎さんの雪 ひとひら
次郎さんの雪 ひとひら
あやちゃんの雪も
ワタナベさんの雪も
みんな みんな ひとひらずつ
なんにも言わずに ひらひら
なんにも言わずに まいおりて
みんな ....
おとぎばなしで
ねむらせてください
ちいさな わらやね
ふりつむゆきで
ねむらせてください
おにさんのなみだで
ねむらせてください
たろうどんや たごさくどんと
いっしょに ....
雲のよく見えるところまで
歩いて
写真を撮ります
残された言葉を
写真に撮ります
笑顔や うつむいた顔も
まぎれこみます
今 撮らないと
もう 2度 ....
闇のふたを開いて
いってしまったのだから
どこかで
光のふたも
開けられていて いい
さがしてみよう
せかいのきを
みつめていると
ああ おおきいね
だれにも
かぞえられないほど
えだわかれして
たいへんだね
ひとつひとつのえだに
はっぱがついて
あったかいね
ねもと ....
ふりかぶって
いっしょうけんめい なげたものは
とどかず
こいしを ほうるように
なにげなく なげた
そんなものだけが
とどきます
ふしぎですね
きっぱりと割り切れるものは
割り切れないものたちに
負けてしまった
くるりと円いものは
いびつなものたちに
負けてしまった
さらさらと流れるものは
意固地に止 ....
無闇に 夏が好きだった
何もかも心開け放して
えんえんと暑くてたまらない中を
息はずませながら歩く
汗まみれの夏が好きだった
今は 冬もなかなかに好きだ
ストー ....
庭で ウサギを 放し飼いにしている
撫でてやろうとかまえて近づくと
手の届く寸前で逃げてしまう
かといって 何のつもりもなく歩いていると
突然 足元に駆け寄ってくる
庭の ....
かみさまをつくった にんげんたちは
くるった かみさまのかみさま
つくられたかみさまは
いつも ぜんちぜんのうですが
かみさまのかみさまの
おもいどおりには
せか ....
1 2