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地をふりかえる
もはや人でないものとして
山に分け入るべき時だ
鼻を濡らして
舌を濡らして
人としての重荷を下ろす
頬を赤らめ
森を通って山の頂上にたどりつく
おしり むずむずする
....
確かに
すべての物語は 語られた
それは真実
疑うことの出来ない 真実
だが
人々の ひとりひとりの
それぞれの物語はいまも
日に
夜に
生まれつつある
やがて
歩くものとなる物 ....
彼は
街角の信号機に吊るされている
頸に
太い縄を巻きつけられて
どんな罪なのか
どんな過ちなのか
それを知る者は誰もなく
彼は吊られながらも 笑っている
それはひとつの風景
この世 ....
世界は正常で
人間は生まれた時から既に正しいと
信じる脳天気な操り人形たち
彼等のはきはきした口調
輝く瞳を尻目に
いま空高く
首が飛ぶ
もう数世紀も前に胴体から切り離されて
わが骸を ....
春の鼻先で鶯どもが歌う
淋しい発声練習
その声に誘われて わが幼年の町へ向かう
死を虐殺する季節
音も 物も
すべてに色がつき始めるが
この骨のような町はいつまでも
錆付いた単色のまま
....
空の中に沈め
どこからか
笛が聴こえる
それは君を呼ぶ笛だ
やがて君も
死者の隊列に加わる
その時のために
空が君に向けて吹く笛だ
山の稜線があまりにもくっきりと際立っていて
空はあ ....
夜は暗い
夜は寒い
いまこの荒野を
この時間にしか在ることが出来ない騎士が
ひとりゆく
彼は自らの馬を失くした
それは五百年前のこと
彼は自らの体を失くした
それは五百年前のこと
い ....
あなたの子供は駈けていきました
あなたの急を知らせに
道の向こうの
そのまた向こうまで
私が知らない間に
他の多くの大人たちが
それぞれの世界の片隅で
何も変えられないでいる間に
あな ....
道は渋滞で
バスの中は混み合っていて
みんな一日の疲労でうつらうつらしていて
外はもう真っ暗で
バスはなかなか進まなかった
ドアの側に坐って
ぼんやりと前を見ていた
ふと目に留まった ....
夏のかかとは海を渡る
渡って向こう側の大陸へとたどりつく
潮くさいにおいに魚どもも逃げ出し
伸びる砂浜ほどの清潔さを持たない
夏のかかとは山を渡る
渡って峰から峰へと踏み越える
傲慢な ....
僕は淋しかった
または、淋しくなかった
だから 僕は森を歩いた
だから 僕は空を仰いだ
しんしんと
珍しくも降ってくる雪に合わせて
その降ってくる音に合わせて
僕は息を吐いた
....
荒野の中に人柱が建つ
立ったまま
石と化して
柱のように天に伸びる人の残骸
人生に遅刻した者
あるいは 人生から早退した者の
群れが
向日葵のように咲き揃っている
そんな人柱の
列石 ....
千波 一也さんの岡部淳太郎さんおすすめリスト
(42)
タイトル
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カテゴリ
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日付
尾のあるもの
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岡部淳太 ...
自由詩
11*
05-5-15
物語
-
岡部淳太 ...
自由詩
7*
05-5-7
鋭角の風景
-
岡部淳太 ...
自由詩
6*
05-5-2
異常気象
-
岡部淳太 ...
自由詩
5*
05-4-30
骨の町
-
岡部淳太 ...
自由詩
4*
05-4-13
空笛
-
岡部淳太 ...
自由詩
4*
05-4-1
夜の騎士
-
岡部淳太 ...
自由詩
5*
05-3-28
駈けていった
-
岡部淳太 ...
自由詩
12*
05-1-30
求めています
-
岡部淳太 ...
自由詩
10*
05-1-16
歌_3
-
岡部淳太 ...
自由詩
3*
05-1-15
歌_1
-
岡部淳太 ...
自由詩
5*
05-1-14
人柱
-
岡部淳太 ...
自由詩
4*
05-1-13
1
2
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