1.
ぼくは風邪をひいたので目を閉じる。まぶたは、いつもよりもなめらかに溶けていく。まつげの長さを、指のはらで確認する。ぼくは人よりもまつげが長いといわれるからだ。
2. ....
インターホンが壊れてしまって
不在票ばかり、溜まってゆく
ドアをノックする手を
誰も持たない
再配達を
今日は頼んだから、
夕暮れにつづく時刻に
言い訳を抱えて
ドアの内側に寄 ....
膝をたたみ 目を伏せて
思い出すのは
折りたたまれた空に見つけた夏のかけら
黒髪が 風を誘った雨上がり
わたし ここで猫が飼いたいの
....
朝六時
七月の光が窓から差し込む
最愛の恋人の微睡を照らす
TAIYOOの声に
挨拶を交わす
白くはためく洗濯物たちに
神の存在を感じる
美しい寝息のリズム
天使の胎内の世界の中の
....
あたしの町のあたしの川の向こうにはあたしだけの工場が在る。
其処は終日稼働式で、何時でも好きな時に好きなだけ眺める事が出来る。
くすんだ灰色の煙突は大した高さでも無いのに
チ カ チ ....
こんにちは
おはようございます
こんばんは
みしらぬひとが
あたりまえのように
あいさつをかわす
みしらぬかぜが
みしらぬひかりが
あたりまえのように
あいさつをかわす
....
そんな恋は、落雷みたいなもんだ。遠くのほうでピカリ、と、気づいた頃には、サングリアのワインと果物のような関係でいたい。それで、ぼくらは届かない空も君も何もかもを見上げて仰ぎ、ピース、と言って逃げる。平 ....
透明はいよいよ流線型に歪み
ところで季節も
そろそろ夜がいいではないですか
言葉で武装してはならない
言葉を武器にしてはならない
争いは銃からではなく
言葉から始まることを知らなくてはならない
言葉で武装してはならない
言葉を武器にしてはならない
言葉の扱いが ....
ロ慕Joeの詠む暗T句が月を濡らす
天に地に満ちるブリキの錆
蝶や蛾のレゾンデトルは火薬の中
美ニールの羽には異存無し
花畑、蜂たちが射るオルガンは
遠い雷声にすがりて ....
沈みかけた夕日に
灰色のカーテンを浸せば
世界は爆発する
*
うつくしい言葉を残すのはやめろ
あれは悲しみで あれは俺じゃない
夕暮れに
ひめりんごの花弁が
雪のように散ってゆき
落ちた先は
あの子の眠る
寒い土の上でした
最期の言葉も
交わさぬまま
突然
冬空へと消えた
一つきりの ....
さかさまつげ と診断され
父に手をつないでもらって
眼科に通って いた頃
診察してくださった先生は
遠くをみつめなさい と言った
遠くの山の緑 遠くの景色を
とても 眼にいいか ....
1.
かみさまは、どこですか。
2.
かみさまは、どこですか。
道すがらたずねると
あっち、と指をさした人がいたので
ひたすら あっち、に向かって歩いた
歩いて歩 ....
abc.ソープ罪にヨるロープ神!
光り顕つ複眼の百葉箱
白したshirtsを射通す羊光の一閃
飽和-it縫う糸針に
未然の蝶car燦千思惟
C洗濯肢を眩ますミュー頭は
遥か酔兵戦に接見する ....
賛美歌!サンクチュアリ!サンド!A、祝砲!
3×3×3 正立方体な教会 天にて強回転er
響くオペ霊ション 大麻er 座標は業火の点
にて宣誓する聖立法はDancing in the Sun!
....
静寂が満ちるのを待つ
あなたは
広げた想像の張力に身をゆだねて
空を映す水面に静かに浮いている
手のひらをつぼみにして
ゆっくりとふくらませるとき
わずかな空間の揺らぎが
水中を ....
ミルクが欲しい1歳は
男が欲しい21歳に
あっけなく捨て去られる
新しいゲームソフトが欲しい12歳が
プラダが欲しい32歳の
財布から金を抜き取る
夢が欲しい33歳は
安定が欲し ....
覚えてる
迷ったときの指先のちょっとした仕草とか
暑い室内でむっと漂ってきた身体の匂いとか
正午、君がサイレンの口真似をすると
僕らは作業を中断して
いつも小さな昼食をとった
今日 ....
洗濯機が、地響きも小さく回っています(グオーヤ、グオーヤ)。床をころがる、ずり回る、LANケーブルの蛇たちはついに世界をぐるぐると征服、電線のフリをして鳥たちをからめとりました。地響きの回転は早くなっ ....
たった一言交わして
すれ違うだけの人にも
私を憶えていてほしい
それは贅沢なことだろうか
食卓や墓地や廃屋にさえ
いつも人の面影があった
私の生まれは人だから
....
それは私ではない誰か
窓際の花瓶の水を
新しく換えるのは
いつも気付かぬうちに
橙色の陽が差しこむ
開け放たれた窓から
手を振って身を乗り出す
あれは私ではない誰か
肌 ....
結婚したてのころ
奥さんがバスンバスン布団を叩く音を聞いて
親のかたきじゃないんだから何もそんなにまで
なんて思ったけど
十年目に
「布団は親のかたきなの」
衝撃の告白
親のかたきに ....
拝啓、ムジーク。音楽的な夜が、ルララルラとやってきます。コルゲンのようなうずら卵のような、つるりと白く圧倒的にやわらかく飛び散りそうな、つきぬけてせつない月。ぼくらはぼくらなの ....
午後いや午前も
コルゲンのようなうずら卵のような
つるりと白く圧倒的にやわらかく飛び散りそうな
つきぬけてせつないぼくらなのです
ただポケットでヴァイブする神経が
吸い付くように研ぎ澄まされ ....
どうにもやるせない自転車です。雨水の玉つぶてなサドルの革を「そうでもなく茶色だ」と言って、拭き取ればままよ、と走りました。光、スロウ、アウェイ。そして溶解するするりとした残像を肴に、ウィスキーに言い訳 ....