「ママ、ママ、ママ」
と呼ばれて
振り向く
ホームセンターの中
カゴの中に
ふくろうの仔
ああ、
お前かあ
覗き込むと
何度も何度も
「ママ、ママ、ママ」
ふと気がつくと
周り ....
土砂降りの晴天のなか、駅を降りた少年は
まっすぐ立ち向かうべき仕事場を放棄した
夜はまだ長い。と、呟いた手のひらの生命
それでも、まだ電車は過ぎていくのだと、
かすかな罪悪感の中で、思い至 ....
君に伝えたいことがたくさんあって
電話しようと思って君の電話番号をディスプレイに表示してみるけど
どうしても発信ボタンを押せない
僕からの着信コールを見て君はどう思うだろう
不安がよぎ ....
他の女と遊んでるとすぐに怒って
そのくせ
中指を突っ込んでやると
悲しそうな声をあげながら
すぐに抱きついてきた
寄ってくる女を全部食ってた頃の話
たぶん好きじゃなかったと思う
包丁 ....
君は
紙飛行機の
折り方を
知っているかい
空に投げつける
紙飛行機の
ことじゃないよ
....
ぐるぐる果てしないエンドロールの中に
僕の名前がながれてきて
そんなことには誰も気付かなくて
誰かが気付いたとしても
次の瞬間には忘れてしまうけど
僕はせめて
最後に登場するこの世界の ....
小学校6年生時、オレのクラス6年2組にはガキ大将がいた。
彼はN君と言って、頭と身体のでかい小学生だった。
ジャッキーの木人拳の木人のような身体と言ったら、伝わるだろうか。
イヤ幾らなんでも ....
真珠を育てるあこや貝のように
ぼくは詩を育てるあこや貝でありたい
2005・02・17
畳の上で死にたいとは思わない
むしろ畳の下敷きになって
老人ホームにも行かないで
遠く遠のく意識の果てで
頑固ジジイと罵られ
諦めながら死んでいく
そんなカッコつけた
馬鹿げた死に方
....
そうだった
雪融けだってつららになる
不意に落下するかもしれない
雪下ろしだって命がけさ
ぼくらはどうしたらいいんだい
大雪だっていうじゃないか
天気予報の雪だるまは
幸せすぎる、たしか ....
冬の陽射しの中
公園のベンチに座って
君のことを想う
悲しみの後には
きっと喜びが来る
凍りついた涙も
きっと雪解けのようになくなる
冬の陽射しの中
....
きみといた場所に
花を植えました
きみが笑った時間を
音楽に変えました
きみの言葉に
鍵を掛けました
涙が零れそうになったら
空を仰ぎました
それでも
ぽっかりと穴の ....
昔ネコを飼っていた
私が拾ってきた野良猫
私がまだ幼い頃
飼っていたネコは
病気にかかり亡くなった
初めて「死」という存在が身近にあり
本当の涙 哀しみを知った
それは鉄棒から落ちた ....
待ち合わせの時間まで
僕は地下街の書店で時間を潰すことにした
詩集のコーナーで数少ない詩集を二、三冊めくってみたが
どれもこれもピンとこなくて他のコーナーにある書籍も
黙りこくったまま ....
真夜中の詩人が歩き出す
まだ眠らないのは
月も星も眩しいから
銀色の煙が美味しいから
愛だとか傷痕だとか
嘲笑を抱えて孤独を彩る
真夜中の詩人が歩き出す
聞こえているか?この詩が ....
1
通りかかったカマキリに
僕以外の卵は食べられた
奇跡的なこの誕生を
誰が祝ってくれただろう
2
ある日道路を這っていたら
目の前で仲間が鳥に食べられた
姿か ....
娘は将来アイス屋になりたいと言う
好物のアイスを好きなだけ食べられるから
ではなくて
沢山の人を幸せにしたいからだそうだ
いっしょにお風呂に入ると必ずその話題になって
バニラ ....
結婚したてのころ
奥さんがバスンバスン布団を叩く音を聞いて
親のかたきじゃないんだから何もそんなにまで
なんて思ったけど
十年目に
「布団は親のかたきなの」
衝撃の告白
親のかたきに ....