201・前へ
ねぇそれでも。
進まなきゃならないんだ
一歩でも 1cmでも
なんて
甘い事いってないで
駆け足で
足は摩耗して すり減って
息 ....
あと何度
逢えるかなって
数えたことが
君は ある?
あと何度
抱きあえるって
考えたことは
君は ある?
あと何度
夜が
ニュースを運ばずに
静かに明けていくだろう ....
今にも泣き出しそうな空
鬱屈する憶いまで塗り込めていく
しらちゃけた大地に空が投げキスのダイブ
待ち詫びた花弁にもジャンプ
透明な繭になって落ちてくる
ぽたぽたと追憶を綴る
忍び込む甘 ....
時を刻むより他に
自分にはすべきことがあるんじゃないか
時計は思った
けれど何をしようにも
手も足も出るわけがない
ただ柱にぶらさがって
そこはそれ時計の悲しい性なのだろう
正確 ....
コンクリートの丸いもようは、踏んじゃだめよ
って、
しあわせになれないから
って、
きみが言ったとき
さっき
二度ほど踏んでしまったぼくは
ちょっと泣きそうになって、あわてて
声をだし ....
すべてが終わると
その町にも銃を担いだ人たちがやってきた
彼らはこの国の言葉や
この国の言葉ではない言葉で話すものだから
町の人々はますます無口になった
少年は喧騒と沈黙でごったがえ ....
はっぱをめくればなめくじ
みんなにきらわれて
しおをまかれたりする
おまえなめくじ
うまれてからずっと
からだじゅうでないている
おれだっておなじ
みんなにきらわれて ....
郵便受けに溜まった新聞が日焼けしていた
古い日付は、風に晒されて
更に風化した遠いあなたの
背中に張り付いて
帰ってこない のに
201号室の、窓から入る西日を受けながら
忘れて ....
だれか ひとりのひとを
すきになって すきになりたいんよ
だけど 遠距離でも つづくコじゃないと あかんなぁ
純粋に 恋 がしたいんよ
あい やのうて 恋 がしたいんよ
それ ....
まわりくどい
いいまわしとか
いわんといてや
さっき何で
もめてたんや?
消えた消えた
元栓止めた
そんなことして
どないすんねん
10階から携帯おとしなや
で壊れんか ....
地面を打つ雨の音
ぽつぽつと ぽつぽつと
惜しむように奏でられる水上の音楽
とつとつと とつとつと
長雨の予感 ほわんと浮かび去る吐息
硝子の向こう まどかに映える懐かしい ....
コウちゃんはお兄ちゃんだから、
小さなアヤちゃんの めんどうを見てあげなければいけないの。
アヤちゃんがしゃがみこんでしまったら、
いっしょにしゃがみこんで、
「どうしたの?」ときいてあげ ....
嗚呼 君の視線は何処へ向く
此の愚かな世からは目を逸らすのか
狐火が光る 湖面を照らす 蒼の焔
笑えなどしない どうして笑わぬ 能面の君
泣きたいと望むのならば 夜を裂いて泣けば良いものを ....
いらないもの
ひとつひとつ
思い浮かべて
どくんどくん
主張している
命というもの
黙らせようか
ことき り
こと きり
こ と
き り ....
仕事の休憩時間、ひたすらスロットを叩いていた。
コイン噴きまくりだ。
でもこんな日々はダメだ。一体何千枚のコインを
スロット台から吐き出させたら、幸せになれるというのか。
もしそれで百 ....
またそんな見え透いた嘘をつくのか。
窓にもたれて、風鈴を揺らして、視線を上手く逸らすのか。
胸が、しくりとする。
青い魚眼を見上げる、この日陰の部屋で
こんな風に、輪郭だけ向き合う事で ....
永遠なんてことは
ありっこないけど
毎日を重ねてゆけば
近づけるかもしれない
風が冷たくなりました
空は遠くへ行きました
星も澄んで輝きます
小さなぬくもりだけは
君のそばに
空から落ちた
星の砂
母さま想って
泣いている
優しい浜辺の神さまが
お空へ返して
あげました
お空へ返して
あげました
白い雲がばらけて見えるのは錯覚ではない
夏は終わりを告げず
静かにわたしの前から去っていた
挨拶はしないことにしている
涼やかな朝の前にそらが幾らか高い
いつも薄れていく記憶の中 ....
あけましておめでとう
そして僕たちはそのように死んでいく
あけましておめでとう
死んでいくのではなく殺されていくのだおそらくは
お互いに
殺されあいながら
あけましておめでとう
生き ....
永劫の深淵を覗く
少年時代の自分を
背後から
突き落としたい衝動に
襲われて
気がつけば朝日で
目が覚める
用も無く
高層ビルの上空から
地面を眺めよう
すれば
黒蟻が蠢き
....
土くれの上で
ブクブクと肺をうごかして
息を吸う
息を吐く
それから
しらじらとした空気の中で小さくワルツをする
手はこう、角度はこう、小さく、チラチラと、
....
一九八七年八月五日、暗い森を抜けでるとそこは水門だった。水門は二重の柵に囲まれていた。水門を見つめているうちに私は携えていたノートブックとペンを川に投げ捨てていた。呼吸が乱れ歩行に苦しさが増す。私は ....
ひとが愛した草花の名前を手帖に書き留めて、日記にしましょう
ああ、憐憫というものは
秋の日の袖口に風があたり空がやたらに高く仰ぎひとがいつまでも遠くにいてぼんやりとした輪郭をにじませている ....
夕暮れになると
ばくは星間に漂いはじめるのだった。
追いつめられてすきとおっていた
声なき声は銀河の構造
肉体を失って誘いを待つあなたは光の粒子
粒子は崩れぼくは光速で見えないあなたを通 ....
娘は将来アイス屋になりたいと言う
好物のアイスを好きなだけ食べられるから
ではなくて
沢山の人を幸せにしたいからだそうだ
いっしょにお風呂に入ると必ずその話題になって
バニラ ....
〔3月の風〕
風上に向い口を開ける
口の中を短い鼓動で回流する風は
粘膜を乾かすことをやめようとしない
〔幼少の頃、〕
「この子は他の子より唾液が多いみたいで」
母は決まっ ....
銀河の天秤がゆっくりと傾いて
月がかろやかに昇ってゆきます
夏の星座の中心へです
澄んだ湖面は夜空をうつし
魚が背びれに月明かりをうけて
チカリ、チカリと輝きながら泳ぎ
まるで流星のよ ....
どこから。
ひやりとしている土の上で生きている梢の揺れる(揺れる)末端に刺さる光、が
わたしの温い肌に染む ....
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