一
僕らが互いに
傷つけあうことで
互いの心に
拳を打ちこむことで
五月の空に
広がっていく亀裂
それは、樹のようにも見える
幹の下から仰ぎ見る
真っ白な枝の広がりに ....
閉じられた扉
こじ開ける勇気も無く
ぼくはまた瞳を涙で濡らす
君の声
君の姿を思い浮かべるたび
切なくて
切なくて
痛む胸を押えた
ねえ、夢で逢えたら
ううん、夢ではなく ....
なにやら
胸の奥が粟立って
仕方がないから
五月を
描こうと思った
ところが
緑の絵具を切らしていて
仕方がないから
青と黄の
絵具を混ぜてみたが
五月にはほど遠い
....
シャッターのおりた憂楽街
眠りに落ちた改札口
プラットフォームの底
沈んだレールから
明日が聴こえますように