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北へ向かえば
沙羅(しゃら)と響く、雪の羽音―――
心地いいほどに
絡まる、しらべ
高みにずれてゆく、音階
いつだって夢から、さめたら
君が立っていた
両の手に
....
あなたの電話に繋いだら
あなたが出る
そんな当たり前のことを
確かめたいと思った夜に、いま
窓を開けて出逢いました
複雑な涙ほど
単純な味がして
離れてゆくほど
迫って ....
かみ合わない歯車に、また少しだけ時がずれる
秒針のきしみは それでも
壊れたメトロノームのように 私を、
追うから
逃げ込んだいつかの雪原で 私は、
細雪がわずかに切れる夢を見た
....
一 琴引浜
さくら貝は、はかないという言葉がお好き
はかないという枕詞がつくものには
とりあえず歌ってみる
それらはかつては量産されたものだが
貝は、そんな厄介なものは持ち合 ....
★調整中
金木犀の
金木犀の
花の陰が
心にはらり、落ちてゆく
この道は
この道は
いつに辿ってきたのでしょう
金木犀の
金木犀の
花の香は
昔にかよう
消えかけた
面影一つ ....
コスモス揺らめくかの丘に
置き去りのままに鐘が鳴る
なにも言わず別れた日さえ風に鳴らされ
君は今は誰かと
夜に沈むのでしょう
明日は晴れです
君なしで始めた暮らしが
君な ....
夕闇の
あの色が好きです
切なさをひとつぶ
いとおしさを一粒
弄んでは
つぶすたびに
広がってゆく葡萄色
甘いあまいのは
街の匂い
あなたとはぐれた
秋の匂い
五 ....
とれそうなまま
しがみつくもの
制服のボタン
放課後のバッタ
ほどはるかな道
引きずった影
空笑いで蹴飛ばす
夢の石ころ
かたむいた道
走り出すバス
遠ざかってゆく
....
五山の文字の
ゆえんなど知りません
それでも私は
わずかに香る炎が尽き
夜が少し涼しくなるのを
ただ待っているのです
まだきっとどこかで生きているだろう
あなたを見送っているのです
....
眠れぬ夜が
大きな口をあけ
数珠繋ぎの言霊を
ひとつ食み
またひとつ食み
私をおいて
月の光ばかりが蒼白く
強くなる
溢れた涙を
瞳に返せはしないけれど ....
障子のむこうでは
雨の簾が揺れています
重なり合う影を
私の分だけ
一枚引き剥がして
あなたの流れに
耳をすませ
聞き取りたいのです
....
さざなみが月を潤ませて
消してゆく二人の名前
ゆうなぎは心の糸まで
もつらせて切ってゆくのか
灯台も暮れ馴ずめば影にまみれ
境をなくす浜辺と海
こわれた砂の城に波が
さよならを塗 ....
街よりも少し高く
空よりもずっと低い
僕はここにいます
街には今日も
ひとりきりがひしめいていました
あなたがはぐれているのは
海です
僕がきらきらの粒を
あなたのため ....
いい友達関係にはそろそろうんざりしてきた。僕は彼女が好きだ。自分から告白するのが恥かしくて、僕が何気なく口にした言葉が、彼女の長い告白を引き出した。長い長い、哀しい告白。僕にはどうすることもできなかっ ....
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