泳ぐことができず 手足を
遊ばせているだけの水夫
笑いぐさで
赤く硬い
蕾が 夜の上で冷えている
折り重なった 死の ガーゼケット
重い目蓋を 持て余していた 沈黙の ....
(544)するすみ(匹如身)
かつて派遣切り暴力企業全盛のころ
日比谷公園での炊き出しがあった
大空を翔けていく その前に
あの子犬タロモモとの暮らしと生涯9年と11年も
わ ....
[鬼子母涙次キシモ・ルイジ冬の句③]
風邪引きの貴女が今日もミニとはね
水鳥や水掻き持つは足掻く為
取り敢へず手を繋いだり冬夕焼け
風呂吹きは裸に昆布コブを纏ひたり
....
溶けないで音なく積もる白いゆき
今日は満月だから
と安心して空を見上げて
国際宇宙ステーションを眺めてたら
不意に星が落ちてきた
落ちてきた星はまだ新人で
どう光っていいかもよくわからないし
流れ星になるときの流儀も ....
こたつに眠るねこを
羨みながら 外に出る
今日もあなたのいる場所へ向かう
小雨が 雪に
ここは山だから
どんどん降ってきた
強い風に消えそうな灯しびを
手でふさぐ
あわてて落ち ....
君が去って行った方角から
雪の匂いがする
さようならと引き換えに
雪雲を連れて来る
笑い合った日の空気は
すっかり消えてしまった
どんなに懐かしんでも
現実に戻ることはない
儚い夢のよ ....
金など要らぬとか 愛さえあればとか
それなんの真似? 雑な論
抱くはマネー まっ、そんなもん
頑張りすぎじゃないの? 少し、お休みなさいよ
重たい荷物抱えて 頑張る
それは、君のため 僕のた ....
一週間前が期日だったのに
できなかったことを
今日やろうと思っても
一週間も前のことだしなって
諦めてしまう
1日遅れでも行けばよかったな
2日たっても許してくれたかな
3日って実は ....
激しく葉先を揺らし首を振る若葉
陽射しで白く光る緑と黄緑のコントラスト
まるでお互い語り合い討論しあっているようだ
穏やかな何もない
時だけが過ぎてゆく空間に放り込まれた我が身と我が魂
....
家から一番、最寄りのスーパーマーケットは、マックという店で、厳密に言うと、マックはドラックストアなのだが、生鮮魚類は別にして、食品はもちろん、生鮮野菜や精肉も取り扱ってくれているので重宝している ....
ブロッコリー、ブロッコリー、ブロッコリー、です父上。
それはブロッコリー、あれはカリフラワー、これはキャベツ、あれは菜の花。
ブロッコリーはね、花のところを食べるの。
白いのがカリフラワー、緑い ....
坂の最後に名が落ちていたら
さかなにあげてください
と坂が頭をあげて願いでた
ひとに頼むなら頭を下げろ
と坂をふんであがっていくと
坂が途中から逆立ちをして
先に下げておくべきでした
と ....
わたしはとびうおだったので
まばたきもしなければ
泣きもしないし
空腹のために蹲ったりもしない
愛のために飛んだりしない
跳ねて すべりおちる
生きることだけをする
そして ぜったい ....
アハッ
雨のなか、走ってきたよ
出された水をぐっと飲み込んで
プロポーズした
でもきみは
窓の外は目まぐるしく動いているから
せめてわたしたちはこのま ....
寄せる波、返す波
うねり唸り、
瞬間 瞬間が生成し
時間 瞬間より成り
只、瞬間の持続のみ 在り。
雨露が木漏れ日に焼く夢は、泣きはらした金魚鉢に
気まぐれな短針を見せ、白い腕は褪色を止め
しっかりした骨格で成年を待つうちに折り重なり
いろが付いてすっかり 変身してしまいま ....
壮麗な科学技術の夜明けまえ
ボクとあなたが苺の関係だったということ
そのことが不可解な生き方に付加価値を付けてボクの証明につながり
つなぎ合わせのリボンを引きちぎる獣たちの姿を予見し ....
くるくる廻って空の青
開けて明るみ輝き
白雲の流れ急速に
呑まれいく呑まれいく
世界はただ泰然と美しい
在ることの驚きは神秘は
退屈な日常に転がりながら
私たちはいつも見逃す
....
あの空の下からあの空の向こうまで、なだらかにせりあがりなだらかにくぼみながらどこまでも続くみどりの丘、その丘を白くつぶつぶと覆いつくすほどのあの羊たちがいっぺんに、シーツをめくりあげるように消えて ....
「rain」
雨、という現象が
印象派の庭です
水の詩集をさらさらとめくる雨音が
萌芽の眠りを妨げて
やわらかく湾曲してゆく
午後からのカーブを描いてゆきます
「あの人は、光 ....
「へえ、すごいね」
流れてく広い月
多機能トイレに
死なない程度
埋め尽くす闇
知ってるんでしょ
いらない体液のゆくえ
教えてもっと
すっごい大好きな
絶望を
毎日 ....