{引用=晩夏におとずれた出会いを、わたしはいとおしくてたまらなかった。}
最初のデートでどこへ行ったかも忘れてしまうくらい、あなたのことだけを見ていたので、わたしたちにはアルバムをつくる時間 ....
君が流した涙の粒を
宝石に変えてちりばめたのが
今夜の空だよ
悲しい夢を見ないように
どうか涙を拭いてください
右目を左目
かたっぽは一重でかたっぽは二重
引っ張っても縮めてもやっぱり一重と二重
ちぐはぐ
ちぐはぐなんだけど不完全なわけでもなくて
ちゃんと顔のパーツも体のパーツもみんな揃ってる ....
今朝ひとり海に行って
砂浜でナイフを拾い
海賊になる運命を知った
ああ
そうだったのだ
これまでの人生はすべて
海賊になるための
複雑な道程だったのだ
風をいっぱいに受けた帆が ....
猫が空風の空き地を歩いている。空耳。夕暮れのネックレスはもうすっかりラピスラズリの感触だ。味わったはずのコーヒーの苦みは、いまやどこにいってしまったのだろう? 透明な連鎖。青ざめたトルソが、臍のあたり ....
かのん、は
「入院」がだいきらい
だから高熱で白目をむいて
こんなにも
「あつくてさむいよお」ってふるえているのに
「いきたくないの」って
ベッドから起き上がっておかあさんにしがみつく ....
けれども
身じろぎもせず息をひそめて
眠ったふりをとおす
それがきみのためになればいいのだけど
夜が終わるのを待つあいだ
カーテンの裾からもれる淡いひかりに
痙攣するまぶたでこたえなが ....
その皇子
東へ進軍し
その剣
雲を斬り
丘を割き
沼を埋め
戦に次ぐ戦
謀殺に次ぐ謀殺
返り血の乾く間も無く
川にかかれば妻を売って渡り
海峡にかかれば妻を売って船を買い
船を打 ....
木の音
水の反射
日なたの匂い
奪われたあと
残るもの
木の匂い
水の音
日なたの反射
午後の恐竜 ※
砂に埋まる墓碑
言わないさあれこれ
ひと ....
緑なす
鬼
の
木々の梢に
切る切る
さえずる
鬼
も
母なる
鬼、
子、
の、
底に泳ぐ
鬼、
子、
の、
魚影を
踏む、飲む、 ....
・保育器の硝子を叩き切れ長の瞳で世界に問いかけている
・足指のかげろふ色の肉の子よ赤き頬よせ目を閉じてみる
・あくがれて恋人のごと抱きよせむ赤子のキスに二の腕泡ぶく
....