アテネの丘から
陽の落ちるのを眺めた人
暖かい心がある
鋭い頭脳がある
広い度量がある
だが そのどれよりも弱々しい男の魂が
彼自身を求めている時
かたい指がある
細 ....
靄の籠る水面に
深緑の影が霧散する
確かに脈打つ枝と枝
不確かな夜の梟が
泣いている
曖昧な景色と
あなたが目を合わせた時
悲しくも
あなたの望みは
煙りとなって
梢の間に薄ま ....
陽に焼けた褐色の肌を晒した少年は
海の深さを恐れずに
コバルトブルーのうねりに逆らいながら
遠くの大陸を夢みて泳いだ
その汗は海の水に溶けてゆき
何処までも 何処までも 泳いだ
ア ....
すべての夢が燃え尽きたあと
僕と君とはふたたび会うだろう
そこには静かな風と
穏やかな光があるだろう
そして僕は
もはや語らないだろう
叶った夢のこと
叶わなかった夢のこと
た ....
かぶりつく
リンゴに
歯をたてて
型が残るように
果汁を歯に
吸わせるようにして
思いの丈を
すべてぶつけて
憎しみも
悲しみも
すべてを噛み砕くごとく
かぶりつく
ゆびでそっとふれる
ふかふかしたものが
やがてしぼんで
くたびれて横たわる
むなしさをむねにしまう
かなしさを昇華する
垂直にいきたものは
ささえあってこそでしょう
あなたの ....