「廃墟/光」

その人は
十月の淡い光がこぼれている
窓際に立っていた

下生えを啄む鳥たちが
驟雨の後に立ち去った庭で
透過性の
グラン・ジュテ
軽々と
その人は
超えてゆく ....
二〇一九年四月一日 「?」


 烏丸御池の高木神経科医院に行って、睡眠誘導剤やら精神安定剤を処方してもらって、隣のビルの一階にある、みくら薬局で薬をもらったあと、いつもいく河原町のバルビル近く ....
白く切り取られた窓枠を
鋭角の冷たさで打ちつける
無数の横顔が
冬の静脈に溶け込んでゆく

*

血の色をした道標を
ひとつ、ひとつ
指で辿りながら
埋葬した言葉を
ひとつ、ひと ....
待っていたのは太陽光線を浴び始めた雪の結晶だった
億千の結晶の乱反射が
きら きら、きらと
生き物のように動きながら
わたしひとりの岳人のために
おびただしくひかりは踊っていた

駆り立 ....
仮寓の蝸牛には
やり残したことがいっぱいあるのだが

奇遇という気球に乗って
無音の空の旅をしてみたかった

修羅場という修羅場がなくて
絵になる風景も知らずに

雑踏に紛れて遺伝子 ....
二〇一九年三月一日 「考察」


同じ密度で拡散していく。


二〇一九年三月二日 「箴言」


仏に会えば仏になるし、鬼に会えば鬼になる。
ひとはひとと出会って、ひとになる。
 ....
若く美しいモデルもまた画家をみつめている



背景は色彩を分割する役割しか与えられず


一つの静物も足されない



窓からの景色はいつまでもあらわれることなく

 ....
猛烈な冬の寒波に見舞われた
はるか上空の雪雲のなかで
ひっそりと生まれたのは

ちいさなちいさな
六角柱の結晶たち

雪雲の中を風に吹かれて
上昇したり落下したりと

いろんな雪雲 ....
まったくお前みたいな可愛い夕焼けにつま先で挨拶すると深海みたいな鱗が踝に貼り付いてプラタナス並木が裸で震えてら
俺は嘘つきでインチキな星座だプラネタリウムの秘密を暴かなきゃならないし何処までもプラス ....
最近やたら難しい漢字を使った詩が多い。いちいち検索するのも面倒なので
、そんなものはスキップする。いったいこれらの詩の作者たちは何様なのだ
ろうか。有名な詩人のものなら、そんな手間をかけても読む価 ....
冬の曇天が続き部屋の中は寒い
セラミックヒーターから出る温風だけが温かい
背中で詫びながら
16本390円のフォルテをまた買ってきた
1本149円のコカ・コーラも止められない
赤字覚悟の確信 ....
二〇一九年二月一日 「現代詩集」


 集英社から出た『世界の文学』のシリーズ、第37巻の『現代詩集』は、まず学校の図書館で借りて読みました。のちのち、ネットの古書店で買いました。ウィドブロの『 ....
青空にぽっかりと
雲が浮かんでいる
どこを見るともなしに
宙をぼんやり 見つめていると
空っぽの自分のこころに気付く時がある
空っぽだ

けれど こころに
何も無い時というのは
かえ ....
ハロー、ハロー
青い旗が揺れている
燦々と降り注ぐ光のなか
どてら姿のおじいさんが過ぎ
わたしはイートインでコーヒーを啜る
長閑な午後の一時です

雪の吹雪く北の国
寒風吹き荒ぶ東の国 ....
抜けるような
美しさを保ったまま
時が経過する
微かに
彼女の息遣い
振る舞われる
原色の舞い
忘れさられて
過ぎ越して
上昇する
下降する
もう一つの世界
もう一つの夜
も ....
・あおあおと、月明かり浴びてしなやかな 尾ひれで描くないしょの入り江

・ひみつなの、鼓膜は波の底なのよ いつでも波の歌を聴くため

・仰向けで、おさかなごっこ波の音 しゃらしゃら星も降り出す ....
林檎が声を殺して
泣いている

想像ですが
ずっと信じていたことが
裏切られたのでしょう

聞き飽きた励ましの言葉では
林檎は泣き止みません

境界面に滲み出ている
涙みたいな光 ....
日々は坦々と過ぎてゆくようにみえても
沢山のトラップの集積なのかもしれない

科学は未だ心を捉えられないまま
運命の神にすべてをゆだねている

誰も閉塞してはいけないと思う
誰をも不幸に ....
二〇一九年一月一日 「ウルトラQ」


 元旦からひとりぼっち。ウルトラQのDVDを見てすごす。やっぱり、ウルトラQの出来はすばらしい。ちくわを肴に、コンビニで買ったハイボールも2杯のんで、いい ....
 探り吹き

小さな羽根飾りが付いた
中折れ帽子のヒデキさんは
ハーモニカ歴六十年だ

楽譜は読まずにメロディーを
口で探って覚えていくから
僕は探り吹きだ、と言って笑う

特別養 ....
雨滴は絶えず穴穿ち
佇む神々の声は木霊して
わたしのひとりが
目覚めるとき
大地を覆う涙は枯れ

帰っていく
帰っていく
たましいのふるさとへ
ひとりにもどり
帰っていく 
 ....
タチアナ
灰色の軍事博物館の
白黒の写真の向こうで
微笑む若い女の名前
重苦しいくすんだ
軍服を着ていても
その笑顔だけは
すげ替えたかのように明るい

タチアナ

戦場で死ん ....
 明日

空は雪と一緒に

枝は小さな蕾と一緒に

冬の指は
いつかの冬の指と一緒に

夜明けを待っている

 
 ピアノ

女の子が帰ったあとは必ず
ピアノの蓋が開いて ....
二〇一八年十三月一日 「記憶」


 感情の発展過程で、ある点以上には絶対成長しない人がある。かれら
は、セックスの相手と、ふつうの気楽で自由な、そしてギブ・アンド・
テイクの関係をほん ....
時折
君の身体から星が発生した
君はいつもそれを
無造作に僕にくれた
――君は星が好きだから
そう云って微笑っていた

何故身体から星が発生するのか
君自身も知らなかった
――何故だ ....
嘘が本当を含んでいた

感情論に任せた自らを責めても
雪は降り積もる

白い世界に
雑言ぽつり

(この雪が根雪になればいいのに)

嘘に蓋をして
忘れた頃に芽吹く
泥にまみれ ....
凪の果ての
遠浅のアデンに垂れていた
ことばの鈎をゆわえた
誰かの想いの糸
深海の流れはつめたく速い
願望がのびきって
次つぎ崩れる
砂浜にうち上がることばたち
鮫の群れがねむるまで
 ....
僕達は此処にいる
この川に隔てられ
君と僕、大空の下
絶え間なく落ち続ける

洋上で過ごすように日がな一日
此処で待ち続け絶えず思い出し損ねる
なぜ僕達はやって来たのか
なぜ僕達は此処 ....
壁を叩いて何でも喋れ
と耳を当ててみたが

押入の二段目に上がって
寝そべってみたが

時計を裏返しにして
息を吹きかけてみたが

鍵括弧の付いている
ここだけの話だらけが

 ....
物はかたちに応じてもちうべし人も同様なり

魂魄は困難を内包している
詩人は血を吐かない程度の筆圧で

如才のない道化師は盛り上がりの
緩急などばかり考えているが

誰にも優しくなれな ....
黒木節子さんのおすすめリスト(68)
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稜線- 山人自由詩10*22-1-26
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詩の日めくり_二〇一九年三月一日─三十一日- 田中宏輔自由詩13*22-1-24
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雪のさだめ- st自由詩822-1-24
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詩の日めくり_二〇一九年二月一日─三十一日- 田中宏輔自由詩13*22-1-17
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