陽の光がさみしい それは
常緑樹の隙から洩れ来る
ひとつの悲しい思い出
私は一人
誰といても一人
木を眺めても
火を焚いても
風音に紛らわせ叫んでも
私は一人
そして
そう ....
夏が終ろうとしている時
世界が昏くなりたがっているのを感じる
私は台風一過の荒れた林道を歩きながら
その名残りの水のしたたりを見る
一滴の雨の子供のなかに
自然のすべての理が凝縮されているの ....
遠い話とほいはなし
ああそんなところだね
いまとなつては
大気は海の継子じみて
地中海色のタイルの
すました青磁のなかに透けてゐる
カラカラした浴場のなかで昼寝してたら
いつのまにやらお ....
充血した眼球は茶褐色の世界を眺めていた、時計は高速で逆回転を続けそのくせ何ひとつ巻き戻されてはいなかった、四肢の長過ぎるアビシニアンが毛玉対策を施した餌を欲しがってはガラスのように鳴き続けていた、 ....
ピンクの花びらが舞う風の冷たさを
両の頬で受けて流した涙の乾きを覚える
暖かな陽射しが降り注ぐ癒やしを
否が応にも受け入れる
項垂れてはしばしの抵抗を誇示し
成す術のないことを思い知る
や ....
夢見る魂が裂果する夏が来る前におまえはおまえの首を咬む
鬱蒼とした緑から忍び寄る脚韻の多い名も知れぬ虫たちが
肉体の時計の固い門に射精すると逆回転でさえずる鳥がいた
首の長い古代の母が組み上げら ....
おまえはやわらかなうたを抱いて
音のない振幅をくりかえす
サンデー・モーニング、ディランは60年代のまま
新しい世紀にまた産声をあげる
高圧電線のそばで甲高い鳴声をばらまく ....
いつか死んでほしい人のための家路ほど
悲しいものもない雪夜でした
窓のあかりとうなるボイラ
湯をあびるひとの気配
耳なりのむこうのやわこい声
わたしは悪党だったから
全身が指先みたいにかじ ....
この文学全集でこんな短編を読めたらなあ、という夢想。『筑摩世界文学大系』は言わずと知れた高名な文学全集だが、その素晴らしさは歳月を経ても色褪せることは無い。そんな『筑摩世界文学大系』の続きに、もしこ ....
「炎の惑星」
炎暑で痙攣する夏空の真ん中
涼風吹き込む洞窟に
途方もなくでっかい入道雲が
安置されている
SはNのプラグマティックな個室で
SF小説を嘗めたりして
可愛い旧式のロケッ ....
実はアメリカが嫌いではない
何度か行ったカリフォルニアは
ゴージャスおねえちゃんが一杯で
「イッツアカリフォーニャー!」だったし
ニューヨークのバーで
トム・ウェイツみたいなダミ声で
....
ね、みんなは、恐竜だったころをおぼえている?
むかし博物館に家族全員を、父がつれて行ってくれた。幸せな会話で窒息しそうな電車、はやく終わらないかな。
父はティラノサウルスが好き。わたしはトリケ ....
さっぱり
書かなくなり
箱庭のような
自己愛を
感じる
ものを考えると
考える米が
かたいから噛むと
歯が抜ける
詩を
書いたことがあった
人に見せると詩は
ミルクセー ....
ガラス越し
ひとつの思い出が横切る午後
指をのばしてももう届かない影よ
その横顔はいつか見たシネマ
唇が動いて――と言った
蒼いカモメの夢を見た
夜明けの波 ....
中田満帆さんのおすすめリスト
(14)
タイトル
投稿者
カテゴリ
Point
日付
陽の光
-
Giovanni
自由詩
11*
24-12-23
昏迷
-
岡部淳太 ...
自由詩
6
24-9-22
裸足_(旧作)
-
石村
自由詩
9*
23-9-26
ブラッシュアップ症候群
-
ホロウ・ ...
自由詩
3*
23-9-20
繰り言は今日もまた
-
坂本瞳子
自由詩
1*
22-3-24
羽衣呪術
-
ただのみ ...
自由詩
3*
21-6-20
サンデー・モーニング(ダンス)
-
ホロウ・ ...
自由詩
3*
21-6-20
雪と阿片
-
平井容子
自由詩
8
21-1-16
Sci-Fi_anthology_筑摩世界文学大系編
-
道草次郎
散文(批評 ...
2
21-1-15
五惑星物語
-
道草次郎
自由詩
3
21-1-9
さようならトランプ、さようならアメリカ
-
花形新次
自由詩
1
21-1-8
卵化石
-
田中修子
散文(批評 ...
14+*
20-12-25
さっぱり書かなくなり
-
道草次郎
自由詩
3
20-12-21
冬のシネマ
-
石瀬琳々
自由詩
11*
20-12-12